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初めて告られたのは小3だった

小3の夏休みが終わり、ちょっと鬱な気分で登校した日に、好きでも嫌いでもないクラスメイトの子から「好きだ」と言われた。
初めて告られた日だった。

まだ小学生だった私には意味がわからなかった。

なので「どうして?」とだけ私は言った。

相手の子はすごく困ったような顔をしていた。
私は何も気がつかないふりをして、そのまま教室に向かった。

中3の夏休みの部活の休憩時間だった。
私は軟式テニス部に入っていた。
同級生は夏休み前にみんな引退し、勉強に専念していた。
私はなんとなく暇で、勉強するのも嫌で、だらだらと部活を続けていた。

疲れてぐったりしていたら、元クラスメイトから「好きだ」とまた告られた。
元クラスメイトは私と同じ中学に進学していた。

私は眩しい太陽を見上げながら「知ってる。前にも告られてるから」と言った。

相手はまたすごく困ったような顔をしていた。
私は何も気がつかないふりをして、そのまま部活に向かった。


高2の時、私は交換留学生としてオーストラリアに留学することになった。
初めての海外だった。

出発の日、誰から聞いたのか元クラスメイトが空港に見送りに現れた。
違う高校に行った元クラスメイトと会うのは卒業以来だった。

私たちは型通りに久しぶりの再会の挨拶をした。
そして・・・ やっぱり告られた。
私は正直に「ちょっと無理・・・」とだけ言った。

元クラスメイトはすごく寂しそうな顔をしていた。
私は何も気がつかないふりをして、ゲートに向かった。

それから12年。
私は28になり、その間、大学を卒業し、就職し、生涯を伴にするパートナーと巡り合い、結婚し、子供もできた。

昨日、実家にイタリアのパルマから絵葉書が届いた。
元クラスメイトからだった。
元クラスメイトはパートナーを見つけ幸せに北イタリアで暮らしているのだという。

彼女の幸せを願うばかりである。

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