やばい、まじやばい! 家に帰ったら落武者がいた!
やばい、まじやばい。
何がやばいって、学校から帰ったら、家に落武者がいた。
玄関のドア開けたら、玄関のマットの上でこっち向いて正座してた。腕組んで。
超びびった。
だって、落武者だせ。ボロボロの甲冑とかつけてるし・・・。
なんで落武者が俺んちの玄関のマットでいきなり正座してるんだよ。
ありえねぇだろ。
「うおーーっ」って思わず後ずさりして叫んだら、あっちも俺を見て超びびってた。
こっちはもう心臓バクバク。
「えっ誰?誰?」って思わず聞いたけど、全然話通じない。
「はあ?」ってな顔してる訳。
はあ? じゃねえよ。 ここ俺んちだよ。
「何? どっきり?」って聞いてもダメ。
「はあ?」ってな顔のまま。
そしたら落武者がなんかごにょごにょ言い出した。
けど、つっかえつっかえだし、なんかすっげーなまってて何言ってるか全然わからねー。
「おっ落ち着け、落武者」って言っても話通じない。
「何言ってるちっともかわかんねーよ」って言ったけど、それすら通じてない。
会話するの無理。 いや困ったぜ。
落武者も困ってるみたいで、額に汗をだらだらかきだした。
玄関に突っ立ったまま、にらめっこになった。
なんか息できない。
落ち着け俺。
「ちょっ、タンマ」
そう言って、後ろ手でドアを開けて、いったん外に出た。
落ち着け・・・俺。
一回大きく深呼吸をしてから、郵便受けから中覗いてみた。
やっぱり落武者がマットの上で正座してた。
なんでいるんだよ・・・
そうだ。友達に相談しよう。
スマホ出して、女友達の朋ちゃんにラインした。
去年からAIがメッセージにマッチする画像を勝手につけてくれる。
まだ完璧じゃないけど、みんな使ってる。
すぐ朋ちゃんから返事が来た。
いや、”うけるーーーーーーー!” じゃねーよ。
困ってんだよ。こっちは。
仕方ないので友達の隆明にもラインした。
速攻で隆明から返事。
そんだけかよ。隆明。
何か打開策を考えてくれよ。
なんでお前サルなんだよ。
俺は郵便受けから中をそっと覗いた。
落武者は正座したまま。顔面蒼白。
口開けて白目で固まってた。
ぶぶっ・・・
思わず噴き出した。手で口を押える。
やばい。苦しい。笑いが止まらねーーーー
床にのたうち回りながらそれだけやっと隆明に伝えた。
玄関のドアの前で仰向けになったまま動けそうにない。
腹筋がぴくぴくしてる。 苦しすぎる。
頼む、笑かすな。落武者。頼むーーー
ピーン。隆明だ。
ちびりそうなのは、こっちだって。
隆明、なぜか自撮りになってるし・・・
痛む腹筋を押さえながらなんとか起き上がって、もう一度郵便受けから覗いてみた。
落武者、口開けて白目むいて・・・ 今度は汗まみれになってるーー
ぶぶぶっ・・・ 腹の底から笑いがこみ上げてくる。
だめだ。落武者の破壊力、ハンパない。
俺は震えながら・・・やっとこさ隆明にラインした。
ヒュー、ヒュー、ヒュー
もはや肺からそんな息しか出て来ない。
白目の落武者、最強過ぎ。
2分ぐらいして、ようやく息が落ち着いた。
いや、ホント死ぬかと思ったぜ。
ぜいぜい言いながら上半身を起こして、また郵便受けから中の様子を伺った。
え?
・・・
俺は肩をぶるぶる震わせながら隆明にラインした。
よろしければサポートよろしくお願いいたします。