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マジェルカの今後の話

マジェルカが閉店することに対する反響が、想像していた以上に大きいことに驚いています。

閉店の発表をした前回のnote記事やSNSへの反響。
オンラインショップはたった3日で150件以上ものご注文を頂きました。ショップに足を運んで下さる方も毎日後を絶たず、その中には遠方からおいで下さる方も数多く。
久しぶりの再開となる方々にもたくさんお会い出来、嬉しくも思っています。

そんな皆さんからは、沢山の声やメッセージを頂きます。
残念がるお声や、これまでのマジェルカの活動を評価して下さる声、そしてこれからのマジェルカに期待を寄せる声など。。。
それら沢山の声に、期待を背負い続けられなくなってしまった事は申し訳なく感じます。

「嬉々‼CREATIVE」の横溝さやかさんが描き下ろしてプレゼントしてくれました(T_T)

そしてやはり、「この後マジェルカはどうなるのですか?」とのお尋ねや、「また再開を願っています。」という声も。

我々が目指したウェルフェアトレードが、まだまだ世の中と、特に福祉の側に思うほど理解を広められないままに閉店することには忸怩たる思いがあります。
あるスタッフからは涙を浮かべながら「悔しい!」という声まで出ました。

誰よりも私達自身が「マジェルカの再開」を叶えたいと考え、出来るならもう一度チャレンジしたいという思いを抱いてはいますが、マジェルカを気にして下さる多くの方へ、今の状況をご説明しておこうと考えています。

マジェルカの今後を考えて

賃料の安い物件に移転して再開という道
たとえコストがかかっても、リアルな場所がある事の意義を強く実感し理解している私達なので、これは真っ先に考えました。
その中で、実はとても有難いご提案があり、期待をしましたが、それも残念ながら上手くは運びませんでした。。。
手頃な物件を見つけてひとまず再スタートしようと思えば出来ますが、月々の家賃だけでなく、契約や入居時のコストも大きいのが店舗物件です。
また、たとえ今よりランニングコストが抑えられても集客力が下がることで売上も減ります。
今回の轍を踏む事は二度としたくはありません。
シビアに試算をすると非常に難しいのがが事実です。

店舗はやめてオンラインショップだけでの運営という道
場所がある事の意義を置いておけば、たしかに店舗物件でなければコストは抑えられます。
それでも、家賃とたった1人分の十数万円の人件費を捻出するためにも月に100万円は売り上げなければなりません。
それを一人で作り出したりこなすことは難しく、出来たとしてもそれ以外の事は出来なくなります。
(今までもそれ以上の売上を目指してきましたし、再開するならこれからも目指します。でもまだまだハードルは高いです)

マジェルカのモデルの継続は不可能?
採算が低く非効率な面も多い福祉雑貨販売、なおかつ店舗を、その売上利益のみで運営し継続していく事には無理があると今は判断しています。

では、採算が高い商品を集めて、効率的な売り方をすればいいのか、というと、確かにその点には大いに努力や改善の余地はあるし、ある部分ではまさにマジェルカはそこに切り込んできたつもりですが、そこの部分ばかりを高めようとする事は、福祉施設で障害のある人たちが作る製品の魅力を高める事と相反するとも考えています。
福祉雑貨には市場原理を当てはめきれない難しさがあると同時に、既成の市場原理に当てはめられらない楽しさや魅力があるのがこの世界です。
マジェルカは後者に虜にされ、前者に苦しめられているという感じなのかもしれません。

実は今回の件で、スタッフたちには10月末で退職してもらいます。
11月からは、閉店までの店頭業務や、それ以降の片付けや移転作業等をボランティアとして手伝ってくれるということになっています。感謝です。
そして私自身もこの半年近くマジェルカには無報酬で関わっています。
(ただし、それは私の自己責任だとはわかっています)
でも、どれだけ素晴らしい活動であっても、正直になると、これ以上自分たちの無理を重ねてまで活動をする事は出来ないと考えました。

他の福祉雑貨販売ショップでは

それでも、私達が続けることが出来なかった福祉雑貨販売を行っているショップは今でも全国に数多くあります。
それらには様々な運営主体や運営方法のショップがありますが、その中でも、ショップなのに売上げを気にせずとも、また、売上げに代わる他の活動による収益が無くても成り立っているという存在が全国に数多くあります。
従来から存在する行政の支援のもとで運営されている公的なショップです。
そもそもそれらのショップの多くは、製品を売上げることを目的としておらず、障害者施設で作られる製品の売上増加と("売上げることを目的としてあらず・・・”とは矛盾しますが)、それに伴う作り手への工賃還元、障害者や障害者施設と社会をつなぐ場所としての存在等々。。。
こういった公的な役割を果たすことを期待され、そこに対して公的な予算が投入されて運営が成り立っています。
ちなみにマジェルカがある東京都では都内の百貨店などで民間業者に委託して3店舗を運営し、お隣の三鷹市では福祉事業所に委託して駅前の路面店を1店舗運営しています。
それらが期待された役割を果たしているのかどうかは正直わかりませんが、マジェルカから見ると、予算がある事で、売上に左右されずに運営し続けられる事はある意味羨ましく感じます。

繰り返しになりますが、予算がどこからも出ない私達の立場で、福祉雑貨ショップを、自分たちの営業努力のみで運営し継続していく事はもう出来ないと判断しています。
今までもこの問題には常にさらされ続け、それでも諦めずに挑戦をし、常にギリギリで乗り越えたりごまかしてきたつもりですが、コロナにみまわれたこの数年で、その限界を強く突きつけられました。

では、ここまで社会的なインパクトを生み出したマジェルカですから、公的な支援を受けて運営できれば良いかもしれません。
でもそれは難しいのが現実です。
だからといって福祉ショップが担うべき公的な役割として上に挙げた"売上や工賃還元、障害者と社会をつなぐ役割や発信”といった事をマジェルカが担えていないからではありません。
むしろそこは公的な支援を受けている福祉ショップや活動よりも、よほどマジェルカの方が機能をしているし、数多くの全国の福祉関係の方々から(時には行政からも)有益な情報源としてマジェルカが発信する内容が活用されているのは時に皮肉な事だとも感じます。

そんなマジェルカの未来はどうすれば再び拓けるのか。

マジェルカの今後を考える

1つ目は
マジェルカを市民活動とする
社会的意義の高い活動をしながら公的な支援が得られないマジェルカの活動と場所を、世の中の皆様からの力で活動を続けられる仕組みを作り、皆様からの付託を受けて我々がマジェルカの活動と場所を運営するという形を実現する。
企業スポンサー(法人会員)や個人サポーターなどの共感資金を運営原資の一つとする。
昨年にはクラウドファンディングを行ったが、それよりも継続性のある仕組みの構築を目指す。

2つ目は
マジェルカの営業努力をさらに高める
人頼みだけではなく、営業面での努力や工夫による基盤強化は絶えず努力する。
これは単に収益を高めるためだけでなく、マジェルカのミッションであるウェルフェアトレードの意義を高め、広める上でも「売ること」が必然となるから。
ただし、日々の店舗運営・オンラインショップ運営とともに行うためには人員体制も必要。

3つ目は
マジェルカの雑貨販売活動以外での事業収益を作る
マジェルカでの福祉雑貨販売を継続し、店舗という場所を維持するための手段として収益の柱を他にも探る。
自主製品のコンサルや研修事業など、できればウェルフェアトレードに関連がある活動にしたいとは考えるが、過去に研修実施主体(行政や中間支援団体)へ働きかけた結果を思い出せば、そこに期待するのは時間や労力の無駄になると考えているので、その点は方法を変える。。。
場合によってはウェルフェアトレードをすすめる為にウェルフェアトレードと全く関連性のない事業でも。


マジェルカを運営する中で、これまでにも数多くの困難や苦悩に出会いながら、それを今日まで持ち前のしぶとさ(鈍さ?)で乗り越えて来ました。
そんなマジェルカがとった今回の閉店という決断は、何度も何度も行ったり来たりしながら、考えに考え抜いた上でのことだったのは間違いありません。
次をやるかやらないかは、しばらくゆっくり考えてから判断をしようとも考えていました。
もしその時にやらないという結論になったとしてもそれはそれで。

でも、今、予想しなかったほど沢山の方々からの再開を望む声に気持ちでは再開をする方向になびいています。
しかし、もし続けるとしても今度は、内側から関わる自分たちももう少しHappyになれるやり方を構築出来なければ続かないと考えていますし、むしろそうする事でマジェルカの活動の魅力も高められると考えています。
そのビジョンが見えなければ今回は再開すべきではないと考えています。

今後の動向についてはここの場やSNSなどで発信していきますので気に留めて下されば嬉しく思います。

ふじもと


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