登記は自分でできるのか

「マイホームを買った、新築した」「相続が発生した」など、登記が必要になった際に自分で登記をしたいというご要望を持つお客様もいらっしゃいます。

登記手続きは、本来、ご自身でも可能なものではありますが、不動産の取引の際などでは、リスク管理などの理由から、自分では登記できない場合もあります。
今回は、自分でできる登記・できない登記について解説します。

1.建物の表題登記

新築された建物は登記簿がまだ存在しないので、建物の表題登記という、登記簿を作るための登記手続きが必要です。


所有者が単独で行うことができるので、比較的ご自身での登記手続きもしやすいとは思います。


しかし、建物表題登記の際は、建物を建てたハウスメーカーから印鑑証明書や会社の実印を押印した証明書を提出してもらう必要があります。

印鑑証明書や会社実印を押印した書類は土地家屋調査士にしか渡せないというハウスメーカーもあります。


また、建物表題登記の際は、建物の図面を作成しなければなりませんので、ご自身での登記手続きを行うには、難易度が高いのではないかと思われます。

2. 建物の所有権保存登記と抵当権設定登記

建物の表題登記が完了した後に行う登記手続きで、所有者を登記記録に登録し、権利証(登記識別情報通知)を作る登記です。


この登記も、所有者が単独で行う登記手続きのため、ご自身での登記手続きは比較的行いやすいと思います。

住宅ローンのお借入がある場合、金融機関は、ほとんどの場合、抵当権という担保を付ける「抵当権設定登記」を行います。所有権保存登記と、抵当権設定登記はまとめて申請を行う場合がほとんどです。

抵当権設定登記は、所有者と金融機関が共同で行う登記手続きです。金融機関としては、数千万円という住宅ローンを貸すので、抵当権設定登記を行いリスクを軽減します。


抵当権設定登記の手続きを、借主である所有者に任せるというのは、リスク管理上、難しいという判断をされるケースがほとんどです。

また、先ほど述べたとおり、所有権保存登記と、抵当権設定登記はまとめて申請しますので、所有権保存登記に万が一ミスがあり、手続きが却下もしくは取り下げ(やり直し)を行わなければならない場合は、抵当権設定登記も却下もしくは取り下げを行わなくてはならなくなります。

却下もしくは取り下げを行ってしまうと、金融機関としては、無担保で住宅ローンを貸したという形になってしまいます。

このような理由から、住宅ローンのお借入がある場合は、ご自身での登記手続きは難しいと思われます。

3. 中古住宅を購入した際の所有権移転登記

所有権移転登記は、売主様と買主様の共同で行う登記手続きです。

売主様がお持ちの権利証や、売主様の実印を押印した書類、印鑑証明書が必要になりますので、買主様ご自身で登記手続きを行うためには、まず、売主様がこういった書類を預けてくれるかどうかが重要になります。

また、売主様が登記簿上の住所から住民票を移している場合や、売主様の住宅ローンの抵当権を抹消する手続きが必要な場合などは、売主様にもご自身で登記手続きを行っていただく必要があります。

そのため、売主様にも登記申請書を作成してもらったり、法務局に出向いてもらう必要が出てきますので、この点もご了承いただかなければなりません。

一般的に、中古住宅の売買には、不動産の仲介業者さんが間に入っている場合が多いと思われます。不動産業者様も登記手続きを問題なく進めるため、司法書士に依頼することを進められるケースが多いと思われます。
 
住宅ローンのお借入がある場合は、抵当権設定登記も必要になることがほとんどですので、ご自身での登記手続きは難しいと思われます。


まとめ


登記手続きは、法律上は、ご自身でも行うことは可能です。

しかし、売買を行う場合や、住宅ローンのお借入がある場合など、売主様や金融機関などの協力が必要になり、ご自身だけで手続きが完結できない場合は、ご自身での登記手続きは難しく、土地家屋調査士や司法書士へ依頼するということが多いのが実情です。

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