中国語の初期衝動。

ある日、梅田近辺で旅行中の4人組の女の子達に声をかけられた。「KIDDYLAND」はどこですか?

「KIDDYLAND」とは阪急三番街の中にある有名な雑貨のお店だ。私は中学生の頃に友達とよく行っていた。外国の人なのに知っているんだ〜!

私は少し嬉しくなって、その場所から近かったこともあってお店の前まで案内することにした。私は英語も覚束ないので「こっち!」みたいな感じであたふたしながらKIDDYLANDまでその四人組と歩いた。

四人組はきっと同い年ぐらいで、楽しそうに話していて、オシャレな感じで、中国人だと自分で言っていた。

お店の前まで着いた。四人組のうちの一人がなんか「あなたはとても親切〜!」みたいなことを英語で言っていたように思うけど上手く言葉が出て来なかったので笑顔で何とか手だけ振りそそくさとその場を立ち去った。

歩きながら思った。

「私も中国語ができたらさっきの女の子達と仲良くなれてたのかな。」

私は仲良くなりたかったらしい。中国語を喋って誰かと仲良くなりたい。会話がしたい。コミュニケーションがしたい。仲良くなりたい。


また、こんな事もあった。

日本語教師養成講座で、比較言語学という単元があるのだが、日本語と中国語の語順の違い、日本語と韓国語の語順の違い、特にSVOの順番の違いを覚えるのは当時私には難しすぎた。

SVOが記号にしか見えないし、これは中国語や韓国語を実際にやらないと分からないんじゃ…と思っていた。

今では語順の違いについてや文法の話を聞くことが好きになった。中国語と日本語の語順の違い、発音の違い、そして比較言語学にはより興味を持つようになった。

そんな2つのきっかけのすぐ後、

中国語文学院の「新入生無料体験会」の看板を見た。今どき珍しい手書きで、すごく達筆で美しい字だった。

私は美しい字を見ることが好きで、王羲之の書の展覧会を大阪市立美術館に観に行ったり、空海の直筆の写経を見て感動したり吉田松蔭が弟子に宛てて書いた遺書を萩の資料館で貼り付くようにして見ていたので、

この時もなんて美しい字なんだと思いながら

吸い寄せられるように中国語文学院の門を叩いていたのである。まさにこの時がきっかけとなって私の世界は徐々に広がることとなった。


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