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どうせいつか死ぬのなら【500字くらいでなんか書く】

どうせいつか死ぬのなら、好きなものは好きと言っておきたいと思う。

好きなドラマと映画の話しかしていないので信じてもらえないかもしれないが、私は好きなものを好きと言うのがとことん苦手だった。今でも好きなものについて書いたり誰かに伝えたりするのは少し怖い。私の「好き」は間違っているんじゃないかと不安なのだ。

本当はそれが杞憂だと分かっている。私の好きは誰かの嫌いで、誰かの「興味ない」で、その逆も然り。映画の感想にも正解など存在しない。「こんなこと書いて大丈夫?」と不安になりFilmarksで他人の感想を眺めているときがこの世で最も虚無な時間だ。誰かを説得したくて2時間もかけてその映画を観たわけじゃないのに。

それでもやっぱり好きなものは好きだと言いたいと思う。好きなものに出会うのが簡単じゃない世の中だから。

世界は変わった。私の手元には観るはずだった演劇のチケットがある。開催するはずだったオーケストラの演奏会のプログラム案がある。まだ観に行けていない映画のチラシがある。好きになり得たものたちが、ひっそりと引き出しの中で眠っている。

私の叫んだ好きが誰かの好きになったらすごく嬉しい。ならなくても私が好きなものに出会えた事実は揺るがない。観た映画。聴いた音楽。会った人。どうせいつか死ぬのなら、出会った「好き」にひとつでも多く、大きなはなまるをつけたい。

ちなみに、半年近くしつこく好きと言い続けた映画『くれなずめ』が今日から公開です!(しつこい)


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