第三十一回文学フリマ東京 ラドン作品紹介
来る2020年11月22日、ラドンは小説集と詩集を発表します。ブース番号は「オ-31」ジャンルは「小説・純文学」です。どちらも創刊号となります。傑作揃いとなっておりますので、覚悟してお読み下さい。
小説集『上陸』500円
A5判178ページ。1万~4万字ほどの短編集となっております。収録内容はこちら。
『ぼくは手を擦りきれるほど洗いながら』(張 文經)
『小説2(夜の家族)』(宮元 早百合)
『本当は二駅であるところの一駅』(朝倉 千秋)
『AH.エクスタシー 大阪という街について』(西井 貴恒)
『多面体(上)』(本田 智也)
『笑う人たちの故郷』(西井 貴恒)
『Slip and Slips』(直嶋 犀次)
以下は各作品のあらすじとなります。
『ぼくは手を擦りきれるほど洗いながら』(張 文經)
ウイルスが出てくる、部屋にこもる人が出てくる。けれどなぜかこの小説は現在の世界の模倣にすらなりえなかった。現実から滑り落ちた終わりの願望が僕のなかで声の堆積になる。歌にはならない。けれど歌は流れる。
『小説2(夜の家族)』(宮元 早百合)
東京には伝説の連続殺人鬼がいる。一生忘れない作品だと思っていても、見返したら覚えてないシーンがあったりする。真の実況者は爆破テロの最中でも雑談配信ができる。ところで筋トレは大事で、ネコの正体は宇宙人だ。
『本当は二駅であるところの一駅』(朝倉 千秋)
青年はいつものように電車に乗った。急行電車が一駅を飛ばして二駅を移動する間のわずかな時間、老夫婦との間に些細な会話が交わされる。ほんの短い時間に起こる、青年と老夫婦の物語。
『AH.エクスタシー 大阪という街について』(西井 貴恒)
大阪府で生まれ育った筆者が、これまで目にしてきた情景を振り返りつつ、府民としての自意識を内省する。都構想が否決された今、大阪とはなんだったのかもう一度考え直したい方は是非。
『多面体(上)』(本田 智也)
若い会社員である優紀は、彼女もいない上に仕事も上手く行かず、ぱっとしない日々を過ごしていた。しかし、会社からの帰りにふと眠りについてしまい、目を覚ますと自分がいたのは知らない寝室。しかも、ひとりの女性と同棲していてーー? 『多面体』の上編。
『笑う人たちの故郷』(西井 貴恒)
予備校に通いつつ、工場で肉の繭を吊り下げるアルバイトにいそしむ主人公・笹田。同じクラスに在籍する老人・原田から、その繭が分泌する汁を集めて一儲けする話を持ちかけられる。しかしその結末は、様々な形で繰り返される自失だった。
『Slip and Slips』(直嶋 犀次)
彼氏がいるにもかかわらず、主人公は浮気をした。その理由を考え、過去を振り返るが、どうも釈然としない。彼女が納得のいく答えを見つけるかどうかとは無関係に、世界は淡々と進んでいく。
詩集『光線』200円
A5判48ページ。5人による合同詩集です。内容はこちら。
張 文經……こきょう/ゆび/単旋律/しづかにわらつて/フットボール/かたみ/よぶ
hzwr……便りが無いのは良い便り/初旭/秋思/夏夜/春眠/星影の言ったこと/オルガン弾き/世界蛇/文通/飛行艇/叙事詩
灰沢 清一……シンギュラリティ・タピオカ
宮元 早百合……救急車/ペンギン/五色人間/kujiranouta/自販機壊し
西井 貴恒……冷たい歩み/記憶
内容紹介として、張文經『かたみ』の一部と、hzwr『夏夜』『春眠』の掲載ページを抜粋して掲載します。また、全参加者の作品より、それぞれ一部抜粋も掲載しました。当日までのご参考にして頂ければ幸いです。
いまある、この終わりは
じぶんをなんとよぶのだろう
(『よぶ』張文經)
踏切の音は沈黙を照らし
風をいっそう孤独にします
(『世界蛇』hzwr)
愚かにタピるヒトは自ずから死んでいる。わたしは、次なるステージに向けて、果てなく旅る者。
(『シンギュラリティ・タピオカ』灰沢清一)
夕焼けがきれいだった。
おまえの内臓ちらばってごくさい色で月並みな言葉だが、とてもきれいだ。
(『自販機壊し』宮元早百合)
震えるのだって昔は罪じゃなかったってことを……
(『冷たい歩み』西井貴恒)
それでは、当日現場でお待ちしております。よろしくお願いします。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?