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美術館デビューのはなし

2021年、私は博物館デビューをした。ミイラ展と徳川展に行った。どちらのこともほぼ知らない状態で行ったけれど、展示はとても面白かった。

その翌年、2022年に私は美術館デビューを果たした。
私は美術に興味が無い。アートってよく分からない。わざわざ見に行く必要性ある?全然分からない…と思っている人間だった。

東京に住んでいる父はよく美術館巡りをしているらしい。たまに、めちゃくちゃお洒落な缶や瓶に入ったお菓子をお土産にくれる。美術展で購入できる限定のものらしい。
父は知識豊富でいろんなことを知っている。歴史にも美術にも詳しい。美術館はそんな人の趣味の場所であって、私には全く関係ないところだと思っていた。

だが、大沢たかおさんの音声ガイドがきっかけで博物館デビューした私は美術館へも不純な動機で足を踏み入れることになる。

大橋トリオさんがゴッホ展のテーマソングを担当するらしい。へぇ…気になる。
10年ほど前に大橋トリオさんの音楽を耳にしてからすっかりハマり、毎回予約してアルバムを購入し続けている。
ミュージックシティ天神や博多駅のイルミネーション点灯式に大橋さんが来たときは、赤ちゃんだった子どもを抱っこ紐でぶら下げて聴きに行った。めちゃくちゃ素敵だった。
聴かなくても分かる。絶対最高なテーマソングだ…私は確信していた。

私はゴッホを知っている。ひまわりを描いた人だ。
大学の卒業旅行でロンドンに行ったときに、ツアーコースに美術館が入っていてゴッホのひまわりを見たのだ。アートに全く興味が無い私でも、『ゴッホ』という名前と『ひまわり』という作品名は聞いたことがあった。

凄い!!!!これが世界に1つしかない本物のゴッホのひまわりか!!!!!!
と興奮していると、ゴッホは生涯ひまわりの絵をいくつか描きました。そのうちの1枚です。と、説明があった。
は?世界に1枚じゃないの?なんかがっかり…と勝手にがっかりした。忘れもしない、私をがっかりとさせたゴッホだ。

その後、テレビか何かでゴッホのことをやっていた。あー、あの何枚もひまわり描く人ね。と思いながら見るともなく見ていた。
すると、自分で耳を切ったうえに友人に送ったというとんでもなく衝撃的なエピソードが飛び込んできた。耳切り事件が衝撃的過ぎて、他のことは何ひとつ覚えていない。

激ヤバ芸術家、ゴッホ。
ゴッホより、ふつ〜うに、ラッセンがすっき〜!!!!!のゴッホ。
そんなゴッホの展覧会が福岡であるらしい。そんなヤバい人がどんな絵を描くのか気になる…きっとヤバい絵に違いない。
そして何よりも、ゴッホ展のテーマソングは私が大好きな大橋トリオさん。
大橋トリオさんの曲を聴きながらなら、どんな作品だってきっと素敵に見えるに決まっている!!!

そうして私は2022年1月、福岡市美術館へと向かった。

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