見出し画像

林琴奈が、自信を手にできた理由。「一体感のあるJTマーヴェラスへ」

<トップ写真:©︎2023 OSAKA SPORTS GROOVE>

OSAKA SPORTS GROOVEでは、大阪市内に拠点を置く8チームならではのインタビュー記事をお届けします。『大阪からスポーツを語る』では、大阪でプレーする各チームの選手に、これまでのキャリアについて当時の感情や思いを振り返っていただきます。

今回登場するのは、JTマーヴェラスで副キャプテンを務める林琴奈(はやし・ことな)選手です。今年9月に開催されたFIVBパリ五輪予選ワールドカップバレー2023では、日本代表の中心選手として攻守に渡り活躍、今季のVリーグではチームを開幕6連勝(2023年11月7日時点)に導くなど、メンバーを率いる存在としてリーダーシップも発揮されています。そんな林選手に、成長の秘訣や日々のルーティーン、今季のJTマーヴェラスの見所などを伺いました。

私を強くする言葉は「自信を持つ」と「絶対に勝つ」

ーワールドカップお疲れ様でした。大会を終えた今の率直な感想をお聞かせください。

パリ五輪への出場権を獲得できなかったことは非常に残念でしたが、世界ランク上位のチームとも互角に渡り合えたことは自信につながりました。来年のネーションズリーグで世界ランキングを上げて、次こそはパリへの切符を掴みたいです。

ーワールドカップでの世界各国との対戦を振り返ってみていかがですか。

敗れてしまったトルコ、ブラジルとの試合を振り返ると、気持ちの面で相手に及ばなかったと思います。試合の終盤、スコアが20点を超えた辺りから相手の勢いに飲まれてしまい、自分たちのプレーを出し切れませんでした。守備的になったことが敗因のひとつだと思っているので、常に自分たちのスタイルを貫けるよう、日頃の練習から気持ちを強く持つことを意識していきたいです。

ー東京五輪以降、日本代表の中心選手として目覚ましい活躍を見せてくれている林選手ですが、現在に至るまでの間に意識的に取り組まれたことはありますか?

これといってなにか新しい取り組みを始めたわけではありませんが、以前から「自信を持つ」ことを自分のテーマとして掲げていて、それを今も大事にしています。あとは意識して「絶対に勝つ」と声に出したり。言葉にすることで、チームの士気も高まると思うんです。もちろん自分自身にも繰り返し言い聞かせていて、メンタルを整えることが良い結果につながっているのかなと思います。

ー試合を観ていても自信を持ってプレーされているのがとても伝わります。日本代表として戦われてきたこの数年間を振り返ってみていかがですか?

日本代表でのプレーを振り返ると、苦しい期間の方が長かった気もします。当初は(自分の)データの少なさもあり、良いパフォーマンスを出せましたが、試合を重ねるにつれて対戦相手に対策されることも増え、自分のプレーにも迷いが生じました。それでも大事な試合の前には自分の弱点を克服し、わずかながらも自信を取り戻せたことは大きな収穫でした。


ー苦しいときや上手く行かないときはどのように切り替えていますか?

パフォーマンスが良かった時の映像を見返して、改善できるポイントを探します。自分の映像を見るのは少し恥ずかしいですが(笑)。メンタル的に辛くなったときは、家族に話を聞いてもらうこともあります。

ー「自信を持つ」ことを以前からテーマに掲げているという話もありましたが、自身の中で変化はありましたか?

ここ数年で世界の選手たちとの戦いにも慣れてきて、相手の高さに怯むこともなくなりました。調子が良いときは「ボールを全部取りに行くぞ!」って感じで、サーブレシーブもディフェンスも全て上手くいきますね。逆に調子が悪いときの立て直し方は、今も課題です。相手に攻め込まれたときに早く切り替える方法を見つけて、常に自信を持ってプレーできる状態を維持したいです。


日本代表のトップ選手から学んだ試合前のルーティーン

ー試合前の緊張をほぐすために行っていることはありますか?

呼吸を落ち着かせたり、入念にストレッチをしたり。なるべくリラックスできるように心がけて、緊張感に慣れるために身体を動かしています。

ー同じチームの中で試合への入り方が上手な選手はいますか?

​​日本代表であれば、石川(真佑)選手、古賀(紗理那)選手、関(菜々巳)選手は、上手な印象があります。遠征先で同じ部屋になったとき、床にタオルを敷いてストレッチをしたり、体幹トレーニングを行ったりと、みんなそれぞれ試合前のルーティーンがあって、さすがトップの選手は違うなと感じました。JTに戻ってから、私も試合前にストレッチと体幹を始めました。

ーストレッチと体幹トレーニング以外のルーティーンもあればぜひ教えてください。

試合には直接関係のないことかもしれませんが、落ちているゴミを見つけたら拾うようにしています。もしそれを見過ごしてしまったら、その日のパフォーマンスに影響が出てしまうような気がするので...見つけたときは必ず拾ってゴミ箱に捨てているんです。

ー​​試合前に限らず、パフォーマンスを発揮するために意識されていることはありますか?

JTに入ってからは食事のメニューに気をつかうようになりました。学生時代は量重視でしたが、今は栄養士さんのアドバイスに従って、バランスの良い食事を心がけています。

就寝時間も遅くはないですね。7時間半から8時間は眠るようにしていて、もう少し起きていたいと思う日もありますが、次の日のことを考えて早めに寝ています。


「ハードワークと粘り強さ」がJTマーヴェラスの持ち味

ーJTマーヴェラスに入団されてから一番印象に残っている試合を教えて下さい。

入団1年目のファイナル進出が懸かった東レさんとの試合ですね。1勝1敗で迎えた最後のゴールデンセットで敗れてしまったのですが、攻めの姿勢を貫けず守備的になってしまったことが今も悔やまれます。

逆に良い思い出として残っている試合は、その翌年の決勝戦です。チーム全員の「絶対に勝つ」という強い気持ちがコート内外に満ち溢れていましたし、その一体感こそが勝利につながったんだと思います。

ー今季、チームとしてはどういったところに力を入れていきたいですか?

素晴らしいメンバーが集まってはいますが、チームがひとつにならなければ勝利は難しいので、全員で力を合わせて戦いたいですね。選手一人ひとりが、チームのために自らの役割を果たすことが大事だと思います。

あとはチーム全体で点を取りたいですね。長いラリーの末にみんなで勝ち取った1点には価値を感じますし、全員で取った1点は格別に嬉しいです。

ーチームの結束を深めるために行いたい取り組みはありますか?

チーム内でのコミュニケーションをもっと活性化させたいです。各プレーに対するフィードバックや、改善点について積極的に話し合うことが、チームにもプラスに働くと思うので。ただそういった話をするということは当然、厳しく言う場面も出てくるはず。私自身、人への厳しい指摘はあまり得意ではないため、他の選手に上手く伝えられるようなコミュニケーションスキルを身につけなければと思っています。

ー試合を観るうえで注目してほしいポイントを教えてください。

私たちのチームの持ち味でもある、ハードワークや粘り強さを見てほしいですし、それ以外にもコートの中だけでなく、ベンチにも注目してもらえると嬉しいです。

やっぱりベンチの選手のモチベーションはとても大事で、試合に出る出ない関係なく、勝利のために自分にできることを探せる選手がどれだけいるかがチームの強さに関わってきます。私もベンチ入りしたときには、とにかく声を出し続けようと思いますし、外から見てわかる情報を同じポジションの選手に伝えるなど、間接的ではあっても勝利に貢献したいです。

もちろん試合に出場すれば、全力でプレーするだけです。試合に出ている選手が全力を尽くさなければ「なんでこの人がコートに立ってるの?」っていう気持ちが、ベンチの中で大きくなってしまうので、まずはコートの中で戦っている選手がチームのために自分を出し切ることが重要だと思っています。

ー改めて、JTマーヴェラスの好きなところを教えてください。

走り込みや厳しい練習も真面目に取り組めるストイックな選手が集まっているところですね。それでいて年齢関係なく話しやすい雰囲気があるのもこのチームのいいところだと思います。スタッフを含め、チームのために汗をかけるメンバーばかりなので、ひとつになって戦えるところが、個人的には好きなポイントです。

ー最後に、今シーズンの目標を教えてください。

個人の目標は、チームを勝利に導ける選手になること。また副キャプテンとしてリーダーシップを発揮し、しっかりメンバーを引っ張っていきたいです。チームとしては、日本一に向けて、一致団結して戦っていきます!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?