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「音楽にそんなに興味ない」という人に思うこと

これは完全に今だから言えることだけど、初めてアジカンの「ソルファ」を聴いたときは何が良いのかわからなかった。



「君の街までって曲と、ループ&ループって曲は好きだけど、それ以外の曲はなんか暗すぎない?」



というのがホントに正直な感想で、それをそのままCDを貸してくれた友達に言ったらブチギレられた。今でこそ「ソルファ」は人生で一番聴いたアルバムの1枚になってるけど、当時の私にとっては


音楽 = 親が車で流してるBGM 


でしかなかったから、アジカンを聴く素養が ビビるぐらいゼロ だった。ポップで明るい曲か、歌いやすいバラードの2種類しかこの世にはないと思っていたし、ボーカルが聴こえやすいように作られてるJ-POPしかそもそも聴いたこともなかった。



それからちょっとしてから、別の友だちに


1回これを聴いてみろ!!!!!!


とえらく高い熱量で、BUMP OF CHICKENの「ユグドラシル」を渡された。




めちゃくちゃ正直、「ソルファ」の100倍暗くないか? と思ったけど、また変なことを言ってブチギレられるのも嫌だったので、とりあえず


なんだかよくわからないけど、なんだかいい曲な気がしたよ


というほとんど何も言ってない感想を伝えておいた。その友達には不満そうな顔をされたけど、それ以上は特に何も言われなかった。




とはいえ、仲のいい友達が2人で「アジカンが!」「バンプが!」と言ってる中で、自分だけ話に入れないのもさみしい ので、音楽番組をだらだら観ては


なんか私にも好きになれるロックないんかなぁ〜


と思っていた。


ロック以外で好きだな〜 いいな〜 と思うものはあったけど、仲のいい友達が皆ロックにはまっていたから、私もロックにハマりたかった。でもロックというと暗いか、難しいか、めっちゃめちゃ怖いか のどれかしかないし、どれも好きになれなかった。頑張って好きになりたいなと思っても、どう聴いたらいいのかもわからなかった。




ある時、SPACE SHOWER TV で、ありえないぐらい何回も流されてるバンドがいた。「ストレイテナー」という人だった。


聴いたことはなかったけど、アジカンやバンプよりも聴きやすかったし、これなら私も好きになれるんじゃないか と思ってTSUTAYAのレンタルショップに行ってみた。



でも、私の生まれた街はたいして大きい街でもなくて、レンタルの品ぞろえもたいして豊富なわけではなかった。結論から言えば TSUTAYA にストレイテナーは置いてなかった。ないんかい!! と思ったけど、レンタルコーナーの端っこに、ストレイテナーのCDが1枚だけ売っていた。これでいいやと思ってその「Early Years 」というアルバムを、とりあえず思い切って買ってみた。

 



そして、そうして聴いた「Early Years」は、信じられないぐらい聴きにくかった。




アジカンやバンプを聴いたときも「ボーカルの声聞こえにくいな〜」と思ったけど、ストレイテナーはその比じゃなかった。

「これ本当にスペシャで流れてるのと同じ人?!」と思って何回も名前を確認したし、ぶっちゃけ「ソルファ」「ユグドラシル」に比べても圧倒的に聴きにくかった。当時のテナーは ボーカルとドラムの2人だけ、というロックの中でも異例のバンドだったから、聞きにくいのは当たり前のことなんだけど、そんなことを知らない私は「またしてもなんだかよくわからない "ロック" だった...」とガッカリした。




それからしばらく経った頃、お母さんにキレられてしぶしぶ部屋の掃除をしていたとき、開封してから1〜2回しか聴いてなかった Early Years をBGMに流してみた。何回も何回も巻き戻した。ストレイテナーの名前も確認した。スピーカーが壊れていたわけでもなかった。違うCDだったわけでもなかった。全然掃除もできなかった。本当にビックリするぐらいカッコよかった。



いまだにその瞬間のことをハッキリ思い出せるのだけど、それまでうるさい! 怖い! わからない!の三拍子だったロックンロールが、本当に急に、何のきっかけもなくカッコよく聴こえて怖かった。Early Years は「ROCK STEADY」という勢いのあるナンバーで始まるのだけど、あのイントロのシンプルな弾き語りも、最後まで響くギターの音も「なんでこの曲を今までうるさいと思ってたんだ...?」としか思えなくて、何回も何回も、家族に怒られるまで巻き戻しボタンを押していた。



そうしてストレイテナーを突然好きになってから、もう一度アジカンの「ソルファ」をちゃんと聴いてみたら、違うアルバムなんじゃないかってくらい全曲よかった。びっくりしてバンプの「ユグドラシル」も聴いてみたら、ビビるぐらいの名盤だった。

SPACE SHOWERで流れていた、怖くて暗くてうるさい曲も急に全部好きになったし、ロックいいな! と本当に思った。いわゆる「沼にハマった」というやつなのだけど、私にとってそのきっかけは100%「ROCK STEADY」で、あの時あのタイミングであの曲に出会わなかったらその後ロックを聴くこともなかったし、アジカンやバンプを好きになることもなかったし、たぶん今の友達にも会わなかったし、音楽ライターだってやってないし、このnoteも書いてない。「ROCK STEADY」はストレイテナーとしては駆け出し時代の、インディーズ時代のお世辞にもキレイに録れてるとは言えないような曲だけど、でも自分の今までを思い返した時に一番自分を "変えた" 曲は? と言われたら私は迷わずこの曲を答えると思うし、あの時の「なんだこれ?!」をもう一度味わいたくて今も音楽を聴いている。




大人になると「なんで音楽を好きになったのか」という話をたまにする。皆それぞれ最初に好きになった曲があって、最初に買ったCDがあって、一生好きといえるアーティストがいる。そういう話をしていた時に、友達がふと「昔は全然ロックをいいと思ってなかったのに、急にいいって思えるようになったんだよね」と言っていた。たぶん音楽を好きな人には、皆そういう「戻れなくなった」曲が1つはあったんじゃないかと思う。ムリに音楽を好きになる必要なんてどこにもないし、昔の私みたいに音楽をうるさくて何がいいのかわからないと思うのも全然普通だと思う。でも、たまたま聴いてみた曲が、良さがわからなかった曲が、急に「戻れなくなる」曲に変わるかもしれないから、「音楽に興味がない」という人のことを、私はまだ諦めたくないなと思う。




この記事はLINE MUSIC公式noteオムニバス連載「#人生を変えた一曲」に寄稿したものです。今回紹介した曲、ストレイテナーの『ROCK STEADY』はLINE MUSICで誰でも無料で1PLAYできます。

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エンタメライターです。どうでもいいことを真剣に分析してみる記事をたくさん書いてます。音楽や映画が特に好き!エキサイトニュース、LINE MUSICなどで連載中〜!→https://twitter.com/_maishilo_ お仕事→maishilo.work@gmail.com

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オムニバス連載 #人生を変えた一曲
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様々なライター・クリエイターとのコラボ企画。それぞれが「人生を変えた一曲」について自由に綴るオムニバス連載。

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