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『あみぐるみ戦隊アムンジャー』 第5話

アムンジャーアミの前回の切ない任務のお話はコチラ ↓

夕日を眺めながらのんびり大学からの帰り道を歩く。
アミは肩に編み玉の妖精・マルちゃんが乗っている生活が当たり前になってきていた。
そんなアミとマルちゃんが近所の公園の横を歩いていると、制服を着た男子高校生がベンチに座ってパンを食べながらスマホを見ていた。
なんとなく気になってアミは立ち止まって男子高校生を観察してみた。
男子高校生の足元にはスズメが集まっていて落ちたパン屑を食べているようだ。
フゥ…
男子高校生はこちらにまで聞こえてくるような大きなため息をついた。そしてスマホを通学用だと思われるリュックに片づけた。
と、思ったらすぐにスマホを取り出して何かを打つ。
それをまたリュックにしまう。そしてすぐ取り出して確認してすぐしまう。そんなことを何度も繰り返した。
「マルちゃん、あの高校生なんだか困ってるみたいだね。声掛けてみようか」
アミは肩の上のマルちゃんに言った。
「ん!?うん、声を掛けるのだ。すごいのだ。アミが自分から声を掛けようとするなんてすごいのだ」
マルちゃんは目をまん丸にした。
「え、そうかな。うん、まぁ、確かに、そうだね」
アミは自分の言った言葉に自分でも驚いた。
「じゃあ、変身しなくちゃね」
アミがそう言うと、虹色のカギ針が現れた。
それを両手で握ると呪文を唱える。

『ミ~アマコ、ミ~アガナ、ミアガナガナ。カギ針のプリンセス、私に力を貸して!アムンジャーアミ、変身!』

キララララーン☆

アミはアムンジャーアミの姿になった。

「こんにちは。大きなため息だね、何か困りごと?」
アミは男子高校生に声を掛けた。男子高校生はアミの顔を見ると照れくさそうに頭のかいた。
「ハハハ、ため息聞こえちゃいました?いや、ちょっと友達っつうか、まぁ、人を怒らせちゃって。ラインしてるんすけど無視されちゃって」
アミはすぐにピンときた。
「なるほど、好きな子を怒らせちゃったって訳ね。それは大変」
「いや、好きっていうか、まぁ、好きか。そうなんすよ、でも怒らせるつもりはなかったのに」
男子高校生はそう言いながら手に持っているパンを小さくちぎると、足元のスズメ達の方に落とした。
スズメ達は競うようにパンをついばんだ。それをみて男子高校生はフッと優しい笑みを浮かべる。
「鳥、好きなの?」
「好きっすね。家でインコ飼ってて。あ、この怒らせちゃった奴もインコ飼ってるんすよ。それで仲よくなったっていうか」
「へぇ、そうなんだ。ちなみにどんなインコなの?」
アミが尋ねると、男子高校生はスマホの写真を見せながら指差した。
「このオカメインコが俺んちのオカタロウで、こっちのセキセイがあいつんちのピッチョ」
「あら、可愛い。そうだ!こんなのはどうかな」
アミはそう言うと、ワンピースのポケットから毛糸と虹色のカギ針を取り出してスルスルアミアミと何かを編みはじめた。
「ラインで無視されちゃうなら手紙を書いたらいいのよ」
「今どき手紙っすか。書いたとしても渡すのがちょっと…」
男子高校生は戸惑った表情を浮かべている。
「大丈夫、この子が手伝ってくれるから」
アミは編み上がったものをポンッと男子高校生の手の平に乗せた。
「うぉ、ピッチョ。マジ、ピッチョなんすけど」
男子高校生は編みぐるみインコをまじまじを見た。
「ピッチョちゃんが掛けてるこのポシェットに手紙を入れて渡したらきっと受け取ってくれるわよ」
男子高校生はしばらく考えている様子だったが
「そうっすね。せっかくなんでやってみます。あざっす」
そう言って立ち上がるとリュックを片方だけ肩に掛けるとさわやかに走っていった。

「任務完了なのだ!」

マルちゃんがそう言った途端にアミはいつもの姿に戻った。
「アミ、お疲れ様なのだ。ってなんだか嬉しそうなのだ」
「ふふふ、やっぱり高校生っていいなぁって思って。ま、私も去年までそうだったんだけど。さぁ、帰ろっ」
アミとマルちゃんは家へと歩きだした。
「私、アムンジャーになってよかったな。マルちゃん、ありがとね」
「こちらこそなのだ。これからも頼むのだ」
「うん!」

すっかりアムンジャーらしくなったアミ。
頼もしいね。
この調子で頑張れ、アムンジャーアミ!

ー第6話につづくー

☆☆☆

伝書バトならぬ伝書編みセキセイインコ🎶
こんな風に想いを届けるのも面白いかも✨
手紙とまではいかなくても、小さなメモに一言書いてあるだけでも嬉しかったりしますよね(*´ω`*)

最後まで読んでいただきありがとうございました♪とっても嬉しいです(*^^*)