がんで苦しんで死ぬのは絶対に嫌な人へ知ってほしい2つのこと【患】#135
こんにちは、心療内科医で緩和ケア医のDr.Toshです。緩和ケアの本流へようこそ。
緩和ケアは患者さん、ご家族のすべての身体とこころの苦しみを癒すことを使命にしています。
今日のテーマは「がんで苦しんで死ぬのは絶対に嫌な人へ」です。今日は、がん患者さんにお話します。
動画はこちらになります。
治療中のがん患者さんで、私の外来に来るたびに「苦しんで死ぬのは絶対に嫌!
先生、頼みます!」とおっしゃる方がいます。この方のように思っているがん患者さんも多いと思います。
ご家族や知り合いの方が、苦しみながら亡くなった経験をしたことがある方は、自分もそうなるのではないかと心配されると思います。それは当然のことです。
でも、しっかりとその時の準備をすることで、自分の最期の時間を穏やかに過ごし、苦しまずに死を迎えることはできます。
今日は、苦しまずに穏やかな最期を迎えるために、どのような準備をすればいいのかについて具体的にお話したいと思いますので、どうぞ最後までご覧ください。
今日もよろしくお願いします。
がんで苦しんで死なないための準備
結論から申し上げます。
がんで苦しんで死なないために、準備しておくべき大切なことが2つあります。
1つ目は、あなたとあなたのご家族が、ACP:アドバンスケア・プランニングをしっかりしておくことです。
2つ目は、終末期の緩和ケアがしっかりできて、安心できる医療者を探しておくことです。つまり、最期まであなたに付き添ってケアをしてくれる最適な伴走者を見つけておいて、その時になったらしっかりケアをしてもらうことです。
言ってしまえば簡単なことかもしれませんが、その時になって慌てて準備するのでは遅いことも多いのです。早めから考えておいて、実際に準備をすることがポイントです。
繰り返します。
1. ACP:アドバンスケア・プランニングをする
2. 安心できる医療者をみつける
この2点が最期に苦しまないで穏やかに旅立つための方法です。それではそれぞれ詳しく見ていきましょう。
最期までどう生きたいか
1つ目の準備であるACP:アドバンスケア・プランニングをすることについてお話します。
ACPとは、あなたとあなたのご家族が、最期の備えをしっかりするということです。ただ苦しんで死ぬのは絶対に嫌だと思うだけでなく、自分がどこで、どのように最期まで生きることができたら満足するかを考えることです。できるだけ具体的に考えましょう。
例えば、住み慣れた自宅の縁側で、孫が花火を楽しんでいるのを見ながら、好きな日本酒を飲んで川柳を詠みたい。
または、医療が手厚く、安心できるホスピスで大切な家族と信頼できるドクターや看護師に苦痛なく最期を看取ってほしい。などです。
こんな人もいました。
できるだけ仕事を続けたい。でも、最後は2人の息子にその仕事を引き継いで安心して旅立ちたい。
ここで、私の思う大切なポイントをお伝えします。
そういった、「自分がこんな最期を迎えたい」と思うような最期を迎えると決めることです。この、決めるということがとても重要なのです。
そのうえで、ご家族・大事な人たち、医療者も含めたあなたのサポーターと話し合いましょう。そのことを彼らにも知ってもらうこと、そして定期的に話し合いを続けることが大事です。そうすることで、あなたの思いの実現が進むのです。
がんで絶対に苦しんで死にたくない人が、準備しておくべき大切なことの1つは、ACP:アドバンスケア・プランニングをすることです。
ACPについては、以前の記事でも詳しく話していますので、興味のある方は観てください。
安心できる医療者をみつける
がんで絶対に苦しんで死にたくない人がするべき2つ目は、安心できる医療者をみつけることです。
それはひと言で言えば、看取りの経験が多く、症状緩和をしっかりとできる医療者が、あなたを診てくれることです。
がん患者さん場合特に、苦しい症状を緩和してくれる医療者が傍にいてくれることは必須です。さらにあなたの病気の自然経過がわかっており、これからどのようにしていったらよいか相談に乗ってくれることも重要ですね。
これからどうなっていくかを,あらかじめ伝えてくれ、もしそれがつらいものでもしっかり緩和できると言ってくれれば、これほど心強いものはありません。また、つらい気持ち、不安な気持ちも受け取ってくれ、解決法も教えてくれる人であれば尚更良いですね。
ここまで聞いてこられた人は、おそらくこのように思っているでしょう。
「どうやってその医療者を探すの?」
「確かにそんな医療者は理想だけど、本当にいるんですか?」
しかし、しっかり探せば、そんな医療者を見つけることはできます。
それではその探し方について私が知っていることをお話します。もちろん、色々探し方はあり、答えは1つではありません。私がすぐに思いつく方法を、在宅の場合と病院の場合について分けてお話をします。
まず、在宅医の場合です。
あなたが治療しているがん拠点病院の地域連携室から、24時間対応していて、自分の住んでいるところに近い訪問看護ステーションのリストをもらってください。リストの中から、HPなどで良さそうな訪問看護ステーションを絞ります。
次に直接連絡して、そこの訪問看護師と話をしてください。その際に、自分の求めているものを提供しているかをはっきり聞きましょう。
例えば、夜中でも電話をして相談してもいいかどうか。
がんの看取りはどの程度しているのか。
本当に24時間対応しているのか。
在宅医との連携はどのようにしているのか。などです。
その訪問看護ステーションが良いと思ったら、そこの看護師から緩和ケアができる評判のいい医師を紹介してもらうのが良いです。訪問看護師が良いと思っている医師なら、信頼できると思います。
そして、在宅医を決める時にも直接面談しましょう。相性もあるので必ず直接話をすることが大切です。
次に病院の場合です。
がん患者さんの場合、最期を迎えるなら、やはり治療病院や一般病院ではなく、ホスピスが良いと思います。もちろん、治療病院や一般病院にも緩和ケアのできる医師はたくさんいます。しかし、環境という点から考えると、やはりホスピスが良いと思います。
この場合も、あなたが治療しているがん拠点病院の地域連携室から、あなたの住んでいる地域に近いホスピスを紹介してもらってください。そして可能なら、そのホスピスを実際に見学に行ってみてください。
ただし、今のご時世では見学ができないホスピスもあるかもしれませんが、少なくとも電話ででも、直接説明は聞きましょう。もし可能なら、そのホスピスの担当医と話してください。
そこで話すことによって、あなた自身がそこで安心して最期を迎えられるか判断してください。あなたの患者力が問われる場面です。
ここまで話してきたことは経験的に私が思う安心できる医療者をみつけるための方法です。
この記事を見ている方の中で「私はこのように安心できる医療者を探しました」という方がいれば、ぜひコメント欄で教えて下さい。皆様の体験談をお待ちしています。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
私は、緩和ケアをすべての人に知って欲しいと思っています。
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