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それを「愛してる」って、なんか違くね?【その1】

たぶん、27年前くらいです。
僕は、販売会社の支店長でした。

中途入社したばかりの、30代前半の男性が「辞めたい」と言うので、個別のブースにて、マンツーマンで話を聞きました。

参考までに、その会社の勤務時間は13:00~22:00でした。


「なぜ、辞めたいの?」
「帰宅すると、子供が寝ているからです」

「ん?」
僕は、子供を愛してるんです

「……ん?」
「子どもを、お風呂に入れてあげたいんです。話もしてあげたい。絵本も読んであげたい。でも……、帰宅すると子供はもう眠っています」

「う~ん。……なるほど~」
「子供を起こすと、妻が怒るんです」

「……だろうねぇ」
「だから、もっと早く帰宅できる仕事にします」

「なるほど~。……ちなみに、奥さんは仕事をしているの?」
「していません」

「お子さんは、いくつ?」
「生まれて半年です」

「その愛する子供のために、たくさん稼ごう!ということで、当社ウチに来たんじゃないの?」
「だって! 子供が可哀そうじゃないですか! 父親と一緒にお風呂に入れないし、話すことも、遊ぶことも、絵本も、……絵本も、父親が読んでくれないなんて! く、くくっ……」(ここで彼は泣き出しました)

「お、おお……」
僕は、子供を愛しているんです。おかしいですか? おかしくないですよね。子供を愛しているから、帰宅が遅くなる仕事は無理なのです」


この社会人男性(父親)の発言に、僕は違和感を感じます。

「子供を愛している」

ここに違和感を感じます。
彼は、確かに子供を愛しているのでしょう。
でも、それ以上に、彼自身を愛しているように感じました。

このような場合は、
「僕は子供を愛している」ではなく、
「僕は子供が大好きなのです」の方が、

素直で分かりやすく、かつ、ピッタリな表現だと、僕は思います。

この実話エピソードは、まだ1例にすぎません。
その2 に続きます。



おしまい


※この記事は、エッセイ『妻に捧げる3650話』の第1362話です
※僕は、妻のゆかりちゃんが大好きです
※この記事は、過去記事の書き直しです


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