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僕は、誰よりも早く読んでいたのだろうか? それとも、1週間遅れを1日早く読んでいただけ、だったのか?

僕は、漫画小僧でした。
暇さえあれば漫画を読む子供だったのです。

幼い子供のときは、マジンガーZに心を奪われました。
やがて『週刊少年ジャンプ』を毎週読むようになり、高校生の時に連載が開始された『北斗の拳』に、夢中になりました。

続きが気になって、本当に、待ち遠しかった。
発売日の月曜日に、欠かすことなく週刊ジャンプを購入し切りましたね。

あるとき街の本屋さんのレジ横に、ジャンプ発売日の前日の日曜日なのに、ジャンプの最新刊がありました。まだ梱包がとかれていないビニール袋内に、間違いなくジャンプの最新刊があるのです。

発売日は翌日です。

でも、読みたくて、梱包内のジャンプを指さし、「これ下さい」と本屋さんの方に言ってみました

「発売日前だから、まだ売っちゃダメなんだよ~」と返されました。

それがルールですから、致し方ありません。


なのにです。

数週間後の自宅で、弟が、
発売前の日曜日に、ジャンプを買って来て読んでいたのです。

僕は、先週のジャンプを読んでいると思い(バカだなぁ)と思いました。
でも、表紙に見覚えがありません。
ちゃんと確かめてみると、マジで最新刊なのです。

弟は、「佐々木商店で買ってきた」と言いました。


僕の小・中学校の学区は、岩手県宮古市の北の端です。
学年の人数が男女合わせて、たったの20人でした。
クラス = 学年です。

今で言えば、佐々木商店は、小さなコンビニのようなお店でした。
駄菓子屋を兼ねた雑貨屋さんのような佐々木商店は、学区内唯一の【お店】です。

当然、少年ジャンプも売っていたのです。

僕は、合点しました。
街の本屋さんは真面目だから、発売日を守る。
佐々木商店はド田舎のお店だから、発売日より1日早いくらいは、

「まあいいべ」

と、佐々木のオジサンが売っちゃっているのだ、そう合点したのです。
もしくは、佐々木のオジサンは月曜日が発売日だと知らない可能性もあります。味噌や醤油のことは知っていても、少年漫画に詳しいとは限りません。


下手に、このことを高校の友達に言ってはイケないと、僕は思いました。

本屋さんが文句を言ったなら、佐々木商店も「ならばルールを守るか」となっちゃいます。
こそ~っと、秘かに、1日早く読む。黙っていれば、それが続けられます。


以来、僕は、毎週日曜日に、佐々木商店で週刊ジャンプを買いました。

僕は、日本で1番早くジャンプを読んでいる!)

そう思うと、めっちゃイイ気分でした。
街の人はまだ読めない。
宮古市の街の人だけじゃない。
東京だろうが大阪だろうが大都会だろうが、まだ誰も、ジャンプを読んでいない。

僕は、今(日曜日)、読んでいる!
僕は、ニタニタorニヤニヤしながらジャンプを読んだものです。


社会人になり、僕は、東京で暮らすようになりました。
20歳を超えて、少し大人になっていました。

車で、東京から実家まで帰ると、タップリ10時間かかります。
岩手県宮古市は遠い……。

トラック輸送。
昭和50年代。

宮古市の本屋さんに届けようと思ったならば、印刷工場から都会の本屋さんに届くまでの時間に、プラス1日近く、必要なのではないか。

(もしかすると……。
 僕の田舎では、1週間遅れのジャンプが届いてたのではないか?)
(そんなことないかなぁ。ちゃんと同じのが届いていたのかなぁ)

どうだったのかなぁ。
ちなみに、岩手県の場合、当時人気だったフジテレビのバラエティー番組、
『笑っていいとも!』の放送は、夕方でした。

生放送ではありませんね。






おしまい


※この記事は、エッセイ『妻に捧げる3650話』の第1338話です
※この記事は、過去記事の書き直しです


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