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【寝言】妻の、夢に見るほどの”夢”ならば、僕も一緒に転げ落ちてみるか…

これは、まだ妻と同じベッドで寝ていた2年半前のこと。

僕は、タブレットで読書をしていた。
ゆかりちゃんは、スマホで何かをしている。音がしないのでゲームではなさそうだ。何か記事でも読んでいるのだろう。

少し睡魔を感じたので、僕は「おやすみ~」と言った。同時にタブレットをサイドテーブルに置く。

「私も寝よ。おやすみ~」とゆかりちゃんが返す。


約3分経過。


「私さ~、透明なボールに入って川を下ってみたい」

たぶん寝言だ。

ゆかりちゃんの寝言は、いつも通りだった。
滑舌明瞭でボリュームも大きい。

寝言には、言葉を返しちゃイケないという説がある。
僕は無言を貫いた。


「夢、見そうだった~」
と、ゆかりちゃんが言った。

起きたゆかりちゃんの声に感じる。
自分の声で目が覚めたのかな、と僕は思った。

夢見そう、って何?
夢、見てたやん!
なぜ、眠ってなかったことにしたいん?
夢は、見たか、見ていないか、憶えていないかのどれかであって、
「夢、見そう」という状況はないと思うけど、
「見そう」って、どんななん?

と、ツッコミどころはあるけれど、僕はスルーした。
会話したなら、僕におとずれている睡魔が消えてしまうかもしれないし。


「私さ、小さくなって、ボールに入って川を下りたいの」

さっき聞いたよ。
眠りながら言ってたよ。

と、思うだけにした。


「じょーじは……」
「……」
「……スルーだぁ~」

「……」 ←ここで、2秒、眠っただろ!と思った。

僕は、やはり思うだけにしておいた。


* * *

朝、このことをゆかりちゃんに話した。

「そうなの! 私、小さくなって、ボールの中に入って川を下ってみたいの」

と、また寝言と同じ説明を聞かされた。

僕は、「なんだ、起きてたの~?」「うん、まだ眠ってなかったんだ」という会話になると思っていたので、心の中でズッコケた。


川ではないけど、透明のボールの中に入って坂を転げ落ちるアトラクションを、マーケターの森岡毅さんが作ったはずだ。

今度、そこに遊びに行ってみようか。

もしくは、森岡毅さん宛てに、
「この、川バージョンを是非、作っていただきたい!」
という、熱いファンレターでも書いてみようか。


僕は、ゆかりちゃんが大好きです。







おしまい


※この記事は、エッセイ『妻に捧げる3650話』の第1160話です
※この記事は、過去記事の書き直しです


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