【実話】「はっ!」として「ええ~~~⁈」(ハッとして! Good、ではない)
つい、この前のことです。
僕のアルバイトは、ビルの6階から10階が現場です。
僕は7階にあるパソコンのモニター画面を確認しました。
頭の中で、効率の良い動きをシミュレーションします。
それで問題なさそうでした。
動き出そうとするそのタイミングで、業務用の携帯電話が鳴りました。
10階で、レア対応が発生したという知らせです。
しかし、緊急ではありません。
予定通り6階からの10階、という順番で問題ない。
そう判断しました。
イスから腰を上げ、半歩動き、レア対応に必要なダスタータオルを忘れかけたことに気づきました。
「おっと」
と言って、僕は、机の左隣の棚にあるオレンジ色のダスタータオルを掴み、
バインダーを持つ左脇に挟んで、ノック式ボールペンを胸ポケットに刺し、6階へ向かいました。
6階倉庫の品数をカウントし、発注数を用紙に書き留めます。
エレベーターに乗りました。
10階のボタンを押して、閉まるのボタンを押します。
エレベーターの扉が開き、フロアに出ます。
左の様子を軽く見て、廊下を右へ進みました。5メートルほどで10階の倉庫の出入口があります。
倉庫出入口の前に、スタッフが2人いました。
(あれ、景色がおかしい)と僕は思いました。
どこがどうとは、即、明確にならないものの、何か変なのです。
オシャベリしていたスタッフ2人に、「ここ、何階?」と聞きました。
「7階です」と返されます。
「ああ、やっちゃった~。10階のつもりだった~」
「あれでしょ、エレベーターが開いたから、出ちゃったんでしょう?」
「それそれ、よくやっちゃうんだよね~」
「あるあるですよね~」
「ホント、あるあるだよね~」
やっちゃったなぁ、と思いながら、
(でも、6階から7階の場合は、「早っ」って気づくんだけどなぁ…。
あと、7階で、誰も乗って来なかったしなぁ…)
と、小さな不可解を感じました。
ま、ともあれ気を取り直して、10階へ移動です。
エレベーターが1階やB1にいるようなら階段を駆け上がった方が良さそうだ、と思いましたが、幸い、エレベーターは7階にいました。
その7階での所要時間からすると、エレベーターは、そのまま停まっていたのだと思います。
エレベーターに入り、10のボタンを押し、閉のボタンを押します。
エレベーターが10階に着き、扉が開きました。
開いたエレベーターの扉の、1.5メートル前方。
オレンジ色のダスタータオルが、
1枚、
落ちていたのです。
「はっ!」
左脇に挟んでいたはずのダスタータオルが、
僕の左脇から消えていました。
(いつなくなったのだろう?
落としたとしても、7階か、6階か・・・
あるいは2度目の・・・7階じゃないか!)
(なぜ、10階なんだ・・・)
狭いバックヤードのエレベーターホールに、
という、音が聞こえそうな【Ωの形】で、静かにたたずんでいるダスタータオルが、
「落とさないでよね」
と、言った気がしました。
これ、実話なのです。
どういうことなのでしょうか。
10階に下りた僕が、
7階にワープした?
7階で落としたダスタータオルが、
「本当は10階でしょ」と、
移動しちゃった?
おしまい
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