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色を慎め、良い人です

右目の室外機はレアらしい。
初めて見たのは旅行先で、信号待ちのときに、あ!となった。
それからというもの、外を歩くときは室外機を気にしてしまう。

1月6日、さすがに新年のご挨拶に行かねばと一念発起して氏神様へ向かう。
昨年引っ越しをしたので、今の氏神様への初詣は今年が初めてだ。
神社など、結構信心してしまう質なので、引っ越しの時にもお参りにいった。
するとまあ、100段以上はあろうかという立派な階段の上にお社があって
引っ越しを手伝ってくれた友達とひいひいふうふう言いながら登って、
足が震えたままお参りをした覚えがある。

初詣へ、とは思いつつその時の記憶ばかりが浮かんでしまい、
今日は天気が悪いし、今日は寒いし、と理由をつけてはなかなか足が向かなかった。

住宅街の網目のような道を通って神社へ。ポストに丁寧にしめ縄を飾っている家を見た。
住宅街を歩いているととそれぞれ人の暮らしがあるなあ、と思う。
また途中、右目の室外機を見た。新年早々幸先がいい。

神社は川沿いの高台にあり、川の横には広い公園もある。
車通りも少ないので近所の学生たちが外周をランニングをしていたりする。
階段のふもとに部活生がたくさんたむろしている。
下から見上げてもお社が見えない階段に気が重い。
急なわけでもないが、踊り場もなくひたすら上り続けるしかない。
いざ登り始めてみると前回のようなキツさはなく、体がポカポカしてきて気持ちよく登れた。
去年より体力がついてきている。通い始めたジムのおかげだ。

二礼二拍一礼、お参りを済ませる。
楽しみだったおみくじを引く。小吉。「色を慎め、良い人です。信じなさい」とのこと。
信じちゃうからな。脇見辞めます。

帰り際にはふもとにいた学生たちが中腰のスクワットの体制で一列になり、鬼の形相で階段を上っていた。きつそう。下まで降りたらこんにちは!とマネージャーの子たちが挨拶してくれた。
こちらも負けじとこんにちは!と返す。挨拶なら普段ジムで修造ばりのインストラクターたちに鍛えられてる。

川沿いを歩いていると信号待ちをしていたトラックがいた。
荷台には花輪の「花」がたくさんならんでおり、蛍光色がカラフルだった。
右目の室外機はこれまでも何度か見かけたことがあったが運ばれる花輪は初めて見る。
これはきっと幸先良い2020年の幕開けだと思う。


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この写真の室外機は左目です。

普通の人の毎日はその人だけのもの。人の暮らしに興味があります。なので自分も書き残してみることにしました。いつか文フリに出るときの貯金にします。