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マティス展・「マグノリアのある静物」

ついに、東京都美術館のマティス展に行ってきた!
私が行った日には高校生1人で来ている人は他にいなかったので(少なくとも自分でわかる限りでは、、、)なんだかソワソワしたけれど、美術館に1人で行くという初体験はなかなか楽しかった!
今までは誰かと一緒に行って思ったことを共有する方が楽しいじゃん!って思ってたけど、1人で行くと好きなだけ時間を割けるし「絵と自分だけ」の空間を築くことができる。やってみてよかった!

東京都美術館

さて、このマティス展は自分の中で行くしかない!と思って気づいたらチケットを取っていた。それまでの流れは興奮気味の過去の私が書いてくれている。要約すると、とにかく(大袈裟な言葉を使うと運命の重なりで)色々あって「マグノリアのある静物」が見たかったんです。
↓マティス展に行く前にかいた「マグノリアのある静物」の話

入ってみて思ったのは、まぁなんと人の多いこと。西洋美術館の常設展のノリで行ったらびっくりするぐらい人がいた。マティスがすごい巨匠!!!ってことは知ってたけど入場前のみんなのワクワクした面持ちで私も期待が高まった。

マティスについて事前に細かく調べなかったのは、今から考えるとよかったと思う。これは有名な絵だからじっくりみよう、という先入観なしに自分の気に入った絵をじっっっっくり鑑賞するという時間になったから。

この展示は全体を通してマティスの芸術家としての一生の流れを感じられる構造になっていたと思う。「大きな赤い室内」とか、それこそ「マグノリアのある静物」のマティスしか知らなかった自分にとってこれはすごく大きい衝撃をもたらすことになった。

大きな赤い室内

上に載せたnoteにも書いたけど、マティスの画風は小さい頃から私にとって「なんか真似できそうじゃん?」っていう感じだった。(今思えばとんだ大馬鹿野郎、天国のマティスさんと芸術を愛す全ての皆さんごめんなさい、)
つまりマティスは元々ああいう色彩感覚を持って独特な画風を描く才能を持っていたんだ、と思い込んでいた。
だから、「読書する女性」をみて驚いた。こんな絵も描けるんや!それに他にもブロンズ像もたくさんあった。生粋の芸術家、、、。
マティスさんは色使いが綺麗なかわいい絵を最初から描いていたんじゃなくていろんな表現方法を試して自分のスタイルに辿り着いたんや!画家はみんな並外れた才能がある人だと思っていたし、確かに才能はあると思うけど、マティスのようにいっっっっぱい悩んで試しての繰り返しがあって人々に感動を届けていると思うと感動が増した!確かにマティスの芸術を見てきたんだけど、そこにマティスさんの生き様も感じ取れた気がする。

読書する女性

あともう一個面白いなぁと思ったのは「豪奢1」。マティスの他の絵画でたびたび登場してくる、的なことは知っていたんだけど、これが未完成みたいだ!と当時の結構批評家の反感を買ったらしい。説明文のところに〇〇年に〇〇で初展示された時は絵の前に賞賛を批判の声が同時にあがった(自分、何にも覚えてないやん笑)って描いてあった。うむ。まぁそうだろうなぁみたいな、、、。でも何が面白かったかというと、その絵の前に結構な人がいてみんながうーーーーーーーーむ、、、という面持ちで鑑賞していたこと笑
賞賛も批判の声も流石に上がってはいなかったけど、現在の鑑賞者もで100年前の人々と同じように心の中で色々考えているのかなぁと思うとなんだか笑えてきた。他の皆さんがどう思ったのか是非とも聞いてみたいところ。

豪奢Ⅰ

さてさて、そんな感じで進んていきエスカレーターを登り、ふむ!いよいよここが「マグノリアのある静物」の階だ!と気づいた。そこに辿り着く前に他のスケッチとかがあるんだけど、壁の隙間から「マグノリアのある静物」が見えてしまってワックワック!!正直ニヤニヤしてたと思う。みんな絵画を見てたからよかった〜〜〜。みんなもお目当ての絵画を見つけてニヤニヤしてたんかな。そんなことないか。

いよいよ「マグノリアのある静物」の前にやってきた。最初に思ったことは想像してたより大きい!自分がむか〜〜〜しに模写した時は勝手に小さいキャンバスを選んでたから実物もそのくらいのサイズなんだろうなぁと勝手に思い込んでいたけど、本当は結構大きかった。
実物を見てキャンバスの端から端までどんな色が重なっているのか、物の配置はどうなっているのか、じっくり鑑賞する。
マティスはものの配置にもすごくこだわっていたそう。特に「マグノリアのある静物」ではそれを感じられた。ネットで見た写真ではこんなに色が鮮やかじゃなかったし、やっぱり絵画は実物に限るなぁと実感した。
配置にこだわっていたのはわかるんだけど、色はどうやって選んでいたんだろう。感覚的にこれだ!ってビビッときたのを選んでいたのか考えに考え抜いて決めていたのか。画家マティスの頭の中を是非とも覗いてみたい!

マグノリアのある静物

マティスの絵にはささっと通り過ぎていける絵がなくてどうしても立ち止まって絵の中の世界に入り込んでみたくなる。画家はキャンバスに乗せる景色を周りの世界から切り取っているわけだけど、切り取られた世界の周りはどうなっていたのかなと想像が膨らんだ。特に「金魚鉢のある室内」はそうだった!マティスがいたその空間を視覚、聴覚、触覚、嗅覚(味覚はちょっと違うよね)で感じてみたいと心の底から思った。

次の階に進むと切り絵がたくさん。一つ一つ見ていくとこれまたマティスの感覚の豊かさに驚く。色彩感覚がすてき、、、。じっと見ていても面白かったけど、展示室の遠くから壁いっぱいに切り絵が飾ってあるのを見るとマティスの鮮やかな世界を目一杯に感じられる気がしてなんだかワクワクした。作品がなければただの壁なのにそこにマティスの世界が現れることでこんなにも楽しくなる。私も自分の部屋の壁を飾ってみようかな。

最後のヴァンス・ロザリオ礼拝堂のパートは本当にいるだけで心が穏やかになった。確か展示のどこかに、「信仰心があるないにかかわらず教会は人々に穏やかな気持ちや安らぎさを感じてもらう場所であるべきなのです。」的なマティスの言葉があったはず。すごくニュアンスでしか覚えていないけど、キリスト教徒ではない私もこの場所で安らぎを感じていいんだぁって安心?したし嬉しかった。

展示の最後の方ではもうマティスおじいちゃん、と心の中で思っていた。巨匠に向かって何を言う!って感じだけど、マティスの暖かさと豊かさを直接浴びてマティスという存在に包み込まれた感じがした。
マティス展開催のために色んな美術館と連携してこの企画をしてくださった人々に感謝!
とっても心が温かくなる経験だった。暑い夏なのに心がじわじわ温まるのは心地いい。不思議〜!

マティスさん、ありがとう!この日に出会った作品とマティスさんにまたどこかで再開できますように。絶対にするけど!


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