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2021年11月の記事一覧
【ミニミニ小説】 聞いてしまった一言
「あーあ。いもむし、踏まれちゃったね。」
小さな男の子が、母親を見上げてそう言った。
左側から不意に聞こえた、大声でも小声でもなく、ほとんど無感情で発せられたその台詞は、私をぞっとさせた。
たった今、自転車で親子の横に停まったばかりだったからだ。
目の前の信号待ちをする、親子と私。
「そうだね。」
と、母親は小さな声で返した。
まるで、私に気を遣っているかのように。
“踏んじゃった
「あーあ。いもむし、踏まれちゃったね。」
小さな男の子が、母親を見上げてそう言った。
左側から不意に聞こえた、大声でも小声でもなく、ほとんど無感情で発せられたその台詞は、私をぞっとさせた。
たった今、自転車で親子の横に停まったばかりだったからだ。
目の前の信号待ちをする、親子と私。
「そうだね。」
と、母親は小さな声で返した。
まるで、私に気を遣っているかのように。
“踏んじゃった