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空前の“ソンジェ”ブームから学ぶ、韓国マーケティング

今回は、韓国は全世界で大ヒット「ソンジェ背負って走れ / 선재업고튀어について自分なりに考察してみたい。


ドラマ「ソンジェ背負って走れ」とは

 「ソンジェ背負って走れ」は、tvNというテレビチャンネルで放送された韓国ドラマ。日本では、U-NEXTで視聴できる。

 内容は、アーティストのリュ・ソンジェ(ピョン・ウソク)は不慮の事故に遭い、ある日突然生涯を終えてしまう。訃報を聞いた彼の大ファン、イム・ソル(キム・ヘユン)は悲しみを受け入れられずにいたが、突然腕時計に導かれ、気がつくと2008年にタイムスリップし… そこから始まるラブストーリー。内容としては、韓国ドラマではよくあるタイムスリップ系ドラマだ。

 実際、韓国国内ではどれほど人気なのか?というと…
下記参照の記事によると5月1週目TV-OTT総合話題性1位になった。また、有料プラットフォームの内5週連続全チャンネル1位、年齢別視聴率も女性10代から50代まで全チャンネル1位を占めたという。
 また、韓国人の友人に聞いたところ、「韓国国内でとんでもないブームが起こっていて見ていないMZ世代はいないほどだ」と言っていた。

FUNdex:http://www.gooddata.co.kr/fxmain.do

 今回は、ドラマのストーリーはともかく、なぜここまで韓国国内で話題化されソンジェブームを巻き起こしているのか、プロモーション戦略やMZ世代の消費傾向から読み解いてみたい。


突如現れた大型犬俳優 “ピョン・ウソク”

 推し活文化が全世界に浸透した今、推しとの恋愛というまさに韓国ラブコメ!というような内容は、MZ世代の興味を惹きつけると予想ができる。だが、これまでも同様のドラマは多々あった。その中で、これほど大ヒットした理由として、リュ・ソンジェ役を務めた“ピョン・ウソク”の存在が大きかった。

ピョン・ウソクとは何者…?

 ピョンウソクは、現在32歳、20歳の頃にモデルとして芸能界デビューを果たした。189㎝という高身長を生かしてモデルとして活躍していたが、デビュー前から俳優業で成功したいという夢を持っていたという。そんな中、2016年のドラマ「ディア・マイ・フレンズ」でようやく俳優デビューを果たすと、翌年から俳優事務所に移籍し、本格的に俳優業をスタートさせた。その後、「花が咲けば、月を想い」「青春の記録」などのドラマに出演し少しずつ知名度を上げていった。
 ちなみに、正直なところ、私はソンジェ以前の過去出演作はちゃんと見たことがなく、RIIZEのアントンに似ているイケメンがいる!とインスタでたまたま発見した。(笑)

魅力①:苦労した過去・努力家…ありのまま見せてくれる素の姿

 これほどイケメンで高身長で完璧なビジュアルをもつピョン・ウソクだが、デビューしてから長く下積み時代を過ごしてきたという。苦労した経験について、次のトーク番組で語っている。ちなみに、この番組は、例えるなら韓国の明石家さんまユ・ジェソクと芸人チョ・セホがMCを務め、韓国ではテレビ放映をしているが、YouTubeでもコンテンツを発信してくれている。(ありがたい!!)

 ピョン・ウソクは、番組内でこんな話をしていた。

『家族は借金を抱えていて、金銭的な事情で離れて暮らしたこともあった。様々な事情で芸能の道をあきらめた時期もあったが、家族は僕の夢を応援してくれたため、これからは僕がもっと努力をして将来恩返しすると伝えた。そして、今回のドラマを経て家族の借金を返済することができた。』(かなり要約してます汗)

こうして長い下積み時代の苦労について赤裸々に話してくれて、
両親に宣言をした夢を実現させるために努力を惜しまず、
でも謙虚なピョン・ウソクの人柄にだんだん惹き込まれていくファンは多いだろう…💛

 少し切り口は変わるが、現在韓国ではこうしたYouTube上で話題の有名人がありのままの姿を話すコンテンツが急増している。例えば…
 ・女優ヘリのYouTubeにて発信『혤's club』
 ・芸人チャン・ドヨンがMC『설롱드립』
 ・歌手ジェジュンがMC『재친구』etc…

 日本のTV番組でも「Astadio」「おしゃれクリップ」などプライベートを引き出すトーク番組はある。だが、韓国のようにYouTubeというより手軽に観れる場で、当本人たちもよりラフに話してくれるコンテンツは中々みない。テレビよりもSNS!!が主流のZ世代に向け、YouTubeに投資をするという韓国エンタメの戦略的な部分が見える。

魅力②:ファンファースト精神

 この間台北の空港にて、ウソクの等身大パネルを担いで待っていたファンに駆け寄り、ハートをつくったエピソードがXで拡散された。また、スジとパクポゴム共演の「ワンダーランド」の試写会イベントに登場した際、試写会を見に来た一般のファンに対してもやはりファンに駆け寄り、丁寧に握手する姿が見られた。
 ピョン・ウソクのファンを大切にする姿はSNS上で“ファンサの神様”とも言われるほどだ。

https://youtu.be/HjJZ0NdjCEU?si=AmL5r-7LEWFyMaTe

 日本だと「あのアイドルはファンサすごいよね!」とオタクが内輪で話すことはあるが、公にSNSで話題化される機会は少ない。なぜなら、ファンが撮影したり、そもそも参加できる公式イベントが少ないからだろう。

 韓国では、「ワンダーランド」の試写会のように、一般の映画館で試写会を開催しファンも見える場所でメディア向けのフォトタイムを行う。ここでファンが撮影した推しの姿は即SNSで拡散され、ファン視点の質の高いUGCが生まれる。ファンがファン視点で生み出すUGCの影響力は、どんなメディアも勝てないのでは..…?と個人的に思っている。

 一つ補足しておきたいのが、台北空港の話を取り上げたが、ファンが空港で出待ちすることを勧めているわけではない。事務所から禁止告示が出ていることもあるため、守ってほしい。ここで言いたかったのは、韓国はファンを巻き込みSNS上でバズる仕組みをつくることが上手だということ。


最後に

 韓国エンタメ・韓国ドラマは、“ファンが推しのどんな姿を求めているか”を理解しているため、戦略的にファンを巻き込み、ファンが能動的に話題化したくなる環境作りに成功している。

 p.s. 個人的に、魅力が爆発に幅広い世代に愛されるようになった俳優ピョン・ウソクが、次どんな作品に出演するのか!!非常に楽しみです(・∀・)



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