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【小説】日向と宇宙(3)

シャワーを終えて発泡酒の缶を開け、やっとメッセージの返信をする。
私:ただいま、かえったよ(^^)
貴女:おかえりなさい、おつかれ。
+(猫がお茶差し出してるスタンプ)
私:♡抱えた猫スタンプ+ありがとう
冷蔵庫からシチューと白飯のパックをだし、レンジにセットしながらTVを付ける。ニュースは次々変異する感染症と、日に日に悪化する世界情勢ばかりで暗くなるので適当な映画チャンネルに合わす。一人暮らしは音が欲しい。

オープンチャットの一つの部屋を開いて数時間前からのログを流し読む。
感染症蔓延時代の到来で薄れたリアルのコミュニケーションを、ネットで補おうとする人が増え、匿名性のせいか本音が言いやすいのか、悩み事・泣き言・困り事・愚痴を吐き出す人が多く、元気づけたり・慰めたり・アドバイスしたりする人も一定数いる、まぁ大半がどうでも良い日常の雑談なのだが、ここはそこそこ居心地がいい。
その中でも比較的人気の貴女は、いつも柔らかい言葉で皆を不思議と前向き気分にしてくれていた。今日も学生数人との進路と人間関係の話をしてた。この時間は、夕飯時だからか会話してる人数が少ない。
私が、挨拶して入ると、やはり一番最初に貴方が挨拶を返してくれた。学生たちは挨拶して夕食だと言い消えて行った。代わりに独り者数人が上がって来て今日のニュースでやっていた、宇宙ステーションの新実験棟始動の話題に移って行った。

続く






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