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笠女郎が家持に寄せる歌(13)八百日行く 浜の沙も 我が恋に

八百日行く 浜の沙も 我が恋に あにまさらじか 沖つ島守                                  (万葉集巻4-596)

歩くには、気の遠くなるようなほど長い浜辺の真砂の数でさえ、私の恋心にはかないませんよ、沖つ島の島守さん。

沖つ島守には、「島を守る者、島の番人」などの意味がある。
「気が遠くなるような長い浜辺の真砂の数よりも、自分の恋心が勝っている」と認めて欲しいと、そこの「浜辺付近の沖つ島守」に語り掛ける。
しかし、沖つ島守には、「ひとりさびしく暮らすこと。だれからも取り残されて暮らすこと、孤独な人」の意味がある。

そうなると、この「沖つ島守」は、大伴家持に「取り残された」、笠女郎自身なのかもしれない。
自分自身の熱い恋心に応えることのない大伴家持に苦しみながら、自分自身を「沖つ島守」として、自問自答。

「こんなに思っているのに、取り残されている」
これも、実らぬ恋の名歌と思う。

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