枕草子 第79話 節は(1)
清少納言先生:今日から、節の話です。
舞夢 :それでは、訳します。
節は端午の節句のある五月を超える月はない。
軒に葺いた菖蒲や蓬の香が混じりあい香ってくるのは、本当に趣がある。
宮中の御殿の屋根をはじめとして、名前も知られていないような庶民の家まで、なんとしてでも自分の所に多く葺こうとして、菖蒲を端から端まで軒に挿している。
それが、本当に貴重な風景である。
他の節でそこまですることがあるだろうか、することはないのです。
空が一面曇っている時に、中宮様の所では、縫殿から御薬玉といって、色とりどりの糸を組み糸にして下げ、献上されるので、御帳を立ててある母屋の柱の左右にそれを取り付ける。
去年の九月九日の長陽の節句に飾った菊を、すでにくたびれた生絹の布に包んで献上申し上げたものを、同じ柱に結びつけてから、数か月経っている。
ということで、その結びつけた紐をほどき、薬玉に結び替え、菊は捨てるようだ。
そうなると、今回の薬玉は、秋の菊の節句まで結び付けられているべきものだろうか。
しかし、薬玉は垂らしてある糸を引っ張って取り、何かを結ぶのに使うし、結局しばらくの間も、柱に下げることはない。
清少納言先生:はい、お疲れ様。
舞夢 :薬玉の中身というのは、どんなものでしょうか。
清少納言先生:じゃ香や、沈香のような、良い香りのものが入っています。
舞夢 :今でいう、アロマ・テラピーでしょうね。
清少納言先生:匂い消しの効果もあります、ああ、菊も香りですね。
当時の生活風俗の一旦がわかる。
なかなか、政治中心の歴史書では、お目にかからない記述。
それだから、枕草子は面白い。
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