変わりダネの「悪役令嬢」コミック【3選】
悪役令嬢コミックは、乙女ゲームや恋愛小説の悪役キャラクターに転生または転移した主人公が、その悪役の運命を回避しようとする物語だ。
代表作には、「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」や「公爵令嬢の嗜み」などがある。
シリアスとコミカルが入り混じる予期せぬ展開や、ゲーム内への転生やタイムスリップを含むファンタジー要素と現代知識の融合が特徴で、主に女性ファンが多いジャンルである。
最近ではアニメ化される作品も増え、幅広いファン層を獲得している。
今回は、異世界系ファンタジーマンガに傾倒し月に60冊ほど読む筆者が、悪役令嬢系の話としては、かなり趣きが変わった三作品を紹介する。
悪役令嬢転生おじさん
悪役令嬢は、ゲームヒロインの王子攻略の邪魔をする役どころなので、展開的に少女マンガになるのが普通だが、なんと青年マンガとして売られているのは、まさに変わり種だ。
主人公は、外見は美少女悪役令嬢だが、中身はゲームオタク一家の真面目なお父さん(52歳)。
保護者ならではの目線の温かさは、まさにチートと言える能力だ。
いくつかの謎と共に物語は進んでいくが、どの巻も安定の笑いを提供してくれる楽しい作品になっている。
オタク家族を関与させることで、ゲーム世界と現実の橋渡しを可能としているのが秀逸だ。
ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん
23年1月にアニメ化済みの作品。
悪役令嬢リーゼロッテがゲーム内で生きていることを知った高校生の遠藤くんと小林さんが、神の声として実況し、その破滅を回避しようとする、というユニークなコンセプトの作品。
悪役令嬢コミックは、ゲームに転生した状況をいかにして打破するか、を見ていくのが魅力の一つなのだが、実況という要素により、悪役令嬢を登場させながらも、ゲーム世界と現代世界を絡ませることに成功している。
ラブコメ要素があるので女性マンガとなっているが、新しい面白さを楽しめる画期的なコミックになっていると言えるだろう。
私の推しは悪役令嬢。
この10月からアニメも始まっているので、観ている方も多いかもしれない。
乙女ゲームの世界にヒロインとして転生したOL(女性)の推しは、攻略対象のはずの王子たちではなく、なんと悪役令嬢そのものだっだ、という現代的なラブコメだ。
主人公のこだわりと執着は、悪役令嬢本人と自身の周囲を呆れさせる。
しかし、ゲーム知識と悪役令嬢へのブレない愛で、問題を次々と解決し令嬢の懐へと飛び込んでいく姿は、清々しさを感じさせる。
まさにLGBT+時代ならではファンタジーと言えるだろう。
考察:変わりダネ悪役令嬢コミック
以上が、悪役令嬢コミックの変わり種【3選】なのだが、気に入った作品があっただろうか。
少女マンガ分野では、「ヒロインによる王子の攻略」が一つの大きなテーマになっているのだが、それだけを追い求めると、どうしてもどこかで見た展開になりやすい。
今回紹介した作品は、そこを主眼に置いていないと言う点で共通している。
また、ゲーム世界と現実を切り替えることで、ゲーム内に行きっ放しだったこれまでの悪役令嬢コミックの新境地となっている作品が二つあったことも興味深い。
いわゆる異世界転生系コミックでは、このゲームと現実を交差させる展開はまだ珍しいため、悪役令嬢系のみならず、異世界コミック全体の新しいトレンドになる可能性があるだろう。
このような作品の登場によって、異世界コミックの世界がさらに拡がることを期待している。
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