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『幸せな子育て』 vol2「家族仲良く」

『幸せな子育て』vol1「ちょっと気になる子の子育て」の続き…

4、では実際にどうしたらいい?

ありのままを受けとめる…
それは、検査や診断を受け、名目を付けることなのかというと、私はそれよりも大切なことがあると思っています。
それは自分自身やその人自身に生きづらさや困りがあるのならば、本人も周囲の大人たちもこの特性を認識し、理解することだと思います。
 
まずはありのままを認める、そして理解して、自分も他者も責めないようにします。そして『家族仲良く、より良い睡眠、健康的な食生活』に目を向けていきましょう。
 
そんなの当たり前のことでは⁈と感じられるかもしれません。
しかし、能力主義や完璧主義の世の中、小さい頃から、うるさくしてはいけない、人に迷惑をかけてはいけない、大人の望むいい子が求められる現代。
心配や不安が大きくなりがちで、親御さんも、本人も必要以上に緊張し
がんばっています。
そんな環境で、個性豊かで特性の強い子の子育てをする親御さんは、
針のむしろのように感じるかもしれません。
 
人の目を気にしてしまい、過剰に厳しく叱ったり口うるさく言いすぎたり…
泣きわめく我が子を抱きながら、共に涙することも少なくないでしょう。
情報過多で多忙な現代社会で、子どもたちがのびのびと自分のペースで育つこと、そして親御さんがのんびり楽しんで子育てしていくことは決して簡単ではない、ということです。
 
多動や不注意のある子の場合、安全でのびのび遊べる場所も少なく、車や迷子などの危険をいつも気にかけなくてはならないので、お母さんはほとんど気が休まりません。
 
また現代はテレビやDVDだけでなく、ゲーム、YouTube、各種メディアがたくさんあって、それに伴うトラブルも多くあります。
依存症にならないためにルールを決めたり約束を作ったり、親御さんはそれぞれ一生懸命に対応していることと思います。
それでも、夢中になりやすい子は気持ちの切り替えが苦手ですね。親御さんは約束を守らせようとして怒ったり、交換条件を出したり、日に何度も口うるさく言ってしまう。
依存することで他の苦痛から身を守っている子もいます。…良くないとわかっていても他に方法がわからず、どうしたらいいのか悩む毎日です。
 
寝る時間が遅くなって、朝起きられない、無気力やイライラしたりの日々。
お母さんもイライラ、ハラハラし通しです。
 
子ども自身も遅刻や休みが増え、先生に叱られたり友だちの輪に入りにくかったり、悩みで夜眠れなくなることもあります。睡眠時間が減ると疲れやすく、怒ったりイライラ…友だちとのトラブルも起こりやすくなります。勉強に集中できなくなったり園や学校になじみにくく、不登校になる子もいます。
 

また、食のことで悩む親御さんもたくさんおられます。
 
好き嫌いせず何でも食べてほしいのに、野菜を食べてくれません。または、好きなものは過剰に食べすぎ、バランスよく食べません。おやつばっかり欲しがります。テレビを見ながらやゲームしたさに食事にはうわの空、等々…これまでもたくさんの食に関する悩みをお聞きしました。
 
手軽で美味しいおやつや、いつでも立ち寄れるコンビニやファミリーレストラン等々、便利で手軽で刺激の強い子どもを夢中にさせるものに取り囲まれている現代社会。
刺激の強い甘いものに惹かれる、強く執着する、好き嫌いが多い、同じものばかりに執着する等も、その子の特徴の一つである場合もあります。

そうした特徴のある子は毎日の食事も大変です。体のことを考えたおかずを一所懸命作っても、一口も食べないなんてことはしょっちゅうで、食べるように怒ったり促したり、
ついつい口うるさくなって「うるさい!」と反抗的に言われ、思わず怒鳴ってしまった…など楽しいはずの食事の時間がいつも苦痛で、と嘆くお母さんも多いのです。
 

 
『家族仲良く、より良い睡眠、健康的な食生活』を築くことはどの子どもにも有効であり、特にさまざまな傾向の強い子には、驚くほど助けとなる対応となります。しかし、この現代社会でどれだけ大変であるのか。
 学校では𠮟られていないか、勉強は遅れていないか、将来は幸せになれるか…不安で心配で、ついつい口うるさくガミガミ言ってしまってはいないでしょうか。

当たり前のようで難しい、でもとても大切な『幸せな子育て』、一緒に楽しみながらチャレンジしていきましょう!

5、さあ、始めよう!『幸せな子育て』
 
『家族仲良く、より良い睡眠、健康的な食生活』ですが…、
私は、その中でも『家族仲良く』がいちばん重要だと思っています。
他の二つは家族が仲良く楽しく暮らしていると、次第に整ってくるものとも言えます。
間違っても、『家族仲良く』を抜かして『より良い睡眠、健康的な食生活』だけに必死にならないようにしましょう。
 
 
◎いちばん大切「家族仲良く」

 
【怒らない~過干渉、否定をやめる~】
子どもの言動にイチイチ干渉しすぎないことはとても大切です。特に否定することで、言動を改善しようとするのはやめましょう。自己肯定感が低下し思春期以降、鬱症状や非行行動として現れることがあります。
否定ではなく、その子の心の奥にある気持ちを聴いてあげることが必要です。
 
「なんでこんなことしたの?」⇒「こうしたくなるくらい○○だったの?」
「なんでできないの?」⇒「どうしたい?」
「また○○ばっかり!」⇒「○○が好きなんだね(と気持ちは受容しながら必要な場合はきっぱり止める)」
「また忘れたの?」⇒「忘れないためにできることはなんだろう?」
 
キツイ言葉遣いで相手の反応を楽しんでいたり、関心を向けようとしている場合には、無視をするか反応をしない事が重要です。怒られても、注意をされても事態は改善されないことが多いためです。
そればかりか、大人が怒りから悪い言葉や態度で反応をしてしまうと、それを学んでしまいます。
また、コミュニケーションの方法が、『暴言で相手を怒らせて気を引く』という方法になってしまう事もあります。
 
子どもの暴言という表現に翻弄されずに、
余裕がなくて、そんな表現をしてしまう状況なのかな?
敏感さや繊細さ等の特性を持っていて不安なのかな?

と一旦ありのままを受けとめ、落ち着いて「こういう気持ちなのかな?そういう時はこう言ったらいいよ。」と伝えてください。
すぐに言うことを聞かそうとか、謝らせようとか思わず、いつか自分のタイミングで自らをコントロールできる時が来ると信じて、繰り返し気持ちを反映的に聴き、自分の気持ちを見つめて言葉にしていくサポートに徹しましょう。
 
 
【褒めずに認める】
評価につながる「褒める」はやめ ⇒ 結果はどうであれ、過程を認める、感謝や喜びを伝える、ようにしましょう。
「〇〇してすごいな~」⇒「○○したんだね!!」
「○○していい子だね」⇒「あなたがいてくれてよかった」「ありがとう!」
「かしこいな、えらいな~」⇒「○○してくれて助かったよ!」
評価を伴う誉め言葉や、褒美、交換条件などは、いつしかそうしたことを意識したり褒められること自体を欲しての行動となっていきます。 
内発的な動機や喜び、人に喜ばれること自体の気持ちよさなどを奪ってしまわないようにしたいです。
 
 
【遊びと雑談】
散歩、料理、絵本読み聞かせ、工作等、親子で楽しめる『遊び』を一緒にする。子どもの行動や将来をコントロールする言葉掛けではない『会話』を楽しむ。子どもの話を聴いたり、お互いの興味のある内容の雑談を楽しむことをお勧めします。
 
否定や指示、コントロールを含まない遊びやおしゃべりはとても楽しいもの、子どもは安心して信頼関係を築いていくことができます。(夫婦も一緒です!)
親や身近な大人との信頼関係は、私たちが考える以上に子どもにとって生きる糧となります。
 
 
教え導くことや、お世話をすることが親の役割と信じて一生懸命な親御さんも多く、それで疲弊してしまっている方にも出会います。
親といっても、ひとりの対等な人間なんだということを、遊びや雑談の時間が気付かせてくれるでしょう。
段取りや成果に気を取られることで忘れてしまった『遊び心』を取り戻し、自分の人生を楽しんでいきたいですね。
 

・・・『幸せな子育て』vol3「より良い睡眠、健康的な食生活」に続く


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