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一流の人の一流の考え方 ジョシュ・ホーキンソン選手

男子バスケットを見るようになり、長身を持て余すことなく、いつもクール(に見える)にコートを走り回り、身体をはってボールを守る。「ホーキンソンの「ホーク(鷹)」から、「タカちゃん」と呼ばれ、コート外では人懐こい笑顔をふりまく。時にはダジャレを言ってみたり、日本生まれの日本人顔負けのクオリティで日本の歌を歌う。

日本人に帰化したとはいえ、まだまだ文化の違いに戸惑うことも多いはず。どんな心持ちで過ごせば、あの一流のプレイができるのだろう。かねてから興味を持っていた。
そのジョシュ・ホーキンソン選手が本を出したということで、読んでみた。

一言で言うと、「一流の人は一流の考え方をする」ということを思い知らされた。

そう、自己を高めて何かを成し遂げようとする人、たとえどんな職業であってもよりよくあろうとする人が大事にすべきだがなかなか出来ないことを、彼が当たり前のように習得し、実行していることに、衝撃を覚えた。

恐らく英語で書かれたものを日本語訳したからだろうが、変に難しい日本語を使っていなく、平易なことばで深いことが書いてあるので、素直に心に入ってくる。そして、ホーキンソン選手自身ががとても実直なのだろう。活字を追うごとに、その静かでもあり熱い、地に足がつきつつ高みを目指す彼の在り方が、素直に心に入り込み、その人間性がじわじわと心にしみわたってくる。

そして、なんせ頭がいい。勉強における頭の良さももちろんあるだろうが、いわゆる地頭の良さというのだろうか。クレバーとは違った、これも染み入るような賢さというのだろうか。自分の強み・弱み、今の自身の位置づけ、今後のビジョン、そしてそのために何が必要か、冷静に見つめることができる。見つめるだけではなく実行することができる。雑音を排除し、目の前のことに集中する。すぐに結果が出なくてもビジョンを持ってやり続ける。人とのつながりを大事にし、人を楽しませることも忘れない。

意外なことに、高校生までは野球の方が得意だったそうだ。ところが、ケガで断念せざるを得なかったこと、大学ではバスケットで活躍してもNBAから声がかからなかったこと。そんな挫折があっても、日本に活躍の場があると信じ、覚悟を持って海を渡り、そして日本代表としてオリンピックに出るまでやり切ってしまうこと。

そのすべてを支えている心持ちが、この本に書かれている。

あまりに心に響く事柄が多く、手元にあるこの本を付箋だらけにしてしまったが、なかでも興味をひかれたのが、「感情的にならない」という箇所だった。

以前、東洋医学の「五臓七情」の中の、過剰な「喜」が「心」を傷つけると聞いた時に、「え?快の感情もよくないの?」と驚いたことがあるが、ホーキンソン選手が、怒りすぎたり、落ち込みすぎたりしないだけではなく、喜びに長く浸りすぎないことも、彼を一流にしている所以なのだと納得した。

何者でもない一般人の私だが、間違いなく「座右の書」となる1冊にめぐり合い、そしてその著者である一流の選手を応援できることに感謝したい。

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