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#仕事2

自分の仕事以外に興味を持ったことがあるだろうか。

興味はなくとも、目を向けたことは。

私の父は、田舎に住んでいる頃、建設会社に通勤していた。主に山を削り道路をつくったり整備したりざっくりいうとそんな仕事だ。私の出身は福島だから、冬は勿論雪が沢山降る。そうすると、工事現場が大丈夫か確認のパトロールに父は出かける。深夜でも早朝でも。大雪にはしゃぐ友人たちを横目に、私は雪が嫌いだった。ただでさえ大雪で、山の中、地面は凍り、そんな中に誰もいない深夜や早朝に現場に車で向かう父の姿が心配でたまらなかった。年中、外にいるから肌は黒いし、力仕事もするから足腰にもかなりの負担。雪の降る日も、雨の日も、真夏も、どんな日も車社会の田舎で皆んなが快適に車で走れるように整備していた。そんな父が本当に誇らしかった。

東京では常にどこかしら工事中。真夜中から、早朝から。本当にお疲れ様ですと、心の中で思って誘導してくれる人にお辞儀をする。

前に付き合っていた人は広告やウェブのデザインをしていた。何を伝えたいのか、どうすればなんの興味もない消費者の目に止まるか、見やすいか、考えていた。私達がさりげなく見ている電車の広告も、それからは気になってしまう。美術館の広告は昔からある作品や取っ付きにくい内容の展示を、どう現在風に、興味深くフックをかけているのか、キャッチコピーは誰が?いろんな人が考えて考えて考えている。宣伝として有効だが勿論、その展示が終わったら流されてしまう広告に全力を注ぐ。その分かり易さや、ワクワク感を駆り立てられた時は脱帽だ。

飲食業をやっていた時も、シェフは細かい細かい作業を大事にしていた。料理界では基本かもしれないが、例えば野菜は同じ大きさにカットし、均等に火が通るように、火が通りやすい順に。オイルを入れて乳化させ味に一体感を出す。食感を計算して組み合わせる。普段、ビストロなどでいただく料理は勿論美味しい。でも私たちの気づかないこだわりがあってこそ。寧ろ、気付かれたくないほど自然な完成度を目指す。

仕事はたくさんある。

どんな職種を選択し、どんな仕事ができるかは限られているからそれぞれがどんな努力をしているのか、何が楽しくて何が大変なのかはわからない。でも、どんな仕事でも誰かの「当たり前」つまり「幸せ」に繋がっていると思う。

だから、仕事でお金をもらっているとしても、「ありがとうございます」と感謝の気持ちを伝える・持つことは決して悪いことではない。

自分が仕事をしていた時も、少しでも誰かの笑顔に繋がっていたら、すごくすごく救われる、そんな風に思う。

きっと、この「今」も頑張っている誰かがいるんだろう。

今日もお疲れ様です。


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