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汚い方言?

私はいつか大学院に行きたいんですね。
それは、そのまたいつか海外で働きたいから。

で、大学院ではおらが街の方言について研究したいと思っています。
動機は単純なんですが、日本語を教えている中で、
おらが県の方言(おらが街の方言とは少し違う)を学習者さんに聞いてもらう機会がありました。
その時、逆空耳アワー(©︎タモリ倶楽部)とも言うべき現象に出会ったのです。
おらが街にも外国出身の人も多いですし、私も県外出身なので、方言が未だにわかりません。
もしこの逆空耳アワー現象をまとめることが出来たら、もしかしてみんなの役に立つんじゃね??と思った訳です。

が、うーんやる気😇

さて、今回はそんなおらが街の方言にまつわる話です。

おらが街の方言は汚い?

私はおらが街に引っ越してきたばかりの頃、よく義両親と食事に行っていました。
ある日、レストランで20代と思われるギャルたちと隣になりました。
当時は方言免疫ゼロでしたので、何か話しているのですが、サッパリ分かりませんでした。

ポカーンとギャルを見ている私に、義親が言いました。
「おらが街弁は汚いのよー。ごめんなさいね」

声のボリュームは、ギャルに届くレベル。
正直「なんでこの場でそんなことを言うの?」の方が私には分かりませんでした。
ここで言う「汚い」は「キツい」と同義です。
確かにとてもキツく聞こえるんですね、おらが街方言。
それは言われる前から気づいていました。

それから月日は経ち、私もいろんなおらが街方言ネイティブと出会い、そこそこ免疫が出てきました。
最初は「カッカッカッカッカー」と聞こえていたおじさんとの会話も、人間同士のものになり始めました。

特に前職の役所勤務は、方言免疫をぐぐぐーっと上げてくれました。
なんせ上司も来訪者も方言ネイティブですから、聞き取れないと仕事になりません。
本当に良い訓練になりました。

しかし、聞き取れるようになったことで、わかってきたことがありました。

方言が汚いんじゃない。

聞き取れるようになると、内容がよくわかります。
内容をよく聞いてみると、大体が悪口や愚痴なのです。
役所でも、平気で同僚や部下、来訪者の悪口は飛び交います。
スーパーでも、愚痴を大声で言い合う人々がいるのです。
飲食店でも、客に聞こえるように、方言で従業員をまくし立てる店長がいるんです。

つまり、おらが街方言が汚いのではなく、
話している内容が汚いのです。

言語はあくまでもツールです。
それを使って、何を言うか?
それは、発言者の問題です。
それは方言であっても同じです。

私が最初に感じた「なんでこの場でそんなことを言うの?」こそが“汚い方言”の正体だったわけです。

文法的な特徴なのか、文化的特徴なのか分かりませんが、
決めつけや断定が多く、クッション言葉が少ないという特徴が、おらが街方言にはあるように思います。
この特徴はこのコミュニティでのコミュニケーションを円滑にする上で必要な特徴なのでしょう。
私みたいな人間には相当キツいですが、それはそれで理にかなっていますね。

夫は元々温厚なタイプの人でしたが、おらが街(=夫の地元)に帰ってきてから、人が変わったように思います。
とにかく人の悪口が多い。
重箱の隅を突く小姑みたいになりました。
本人に何度も言いましたが、気にしてないみたいです。「これが本来の自分」くらいのことを言っていました。
『英語ができると人生が変わる』とよく言いますが、『おらが街方言を使うと人が変わる』のかもしれんません。

いつまで経っても、おらが街になかなか馴染めないのは、こういう影響もあるのかもしれません。

まとめ

おらが街方言はある程度聞き取れるようになりましたが、逆に内容や特徴が理解できるようになったせいで、おらが街での生活が前よりしんどくなった気がします笑

そんな私でも、「あー馴染んできたなぁ」と思う瞬間があります。
それは、「平気で人の悪口を言えるようになった時」です!😊

おしまい!

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