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1986年生まれ。学習支援の仕事をずっとしています。普段は都内で授業をしたりカウンセリ…

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1986年生まれ。学習支援の仕事をずっとしています。普段は都内で授業をしたりカウンセリングをしたりしています。 時々演奏家。月1京都。https://lit.link/mai08

マガジン

  • 教育・学習支援のこと

    日々、学習支援の現場で感じたこと、経験したことなどを書いています。一部有料にしています。

  • 総合型選抜(AO)/推薦入試の授業風景

    総合型選抜を含む推薦系の入試に関心がある方に向けて、日々の指導をもとに、まとめ記事を書いています。

最近の記事

とっておきの時間を

きっともう使うことはないだろうな、というテキスト類をダンボールに詰めていく。 目の前にある書籍に対しても、それを使っていた当時の一人一人の生徒さん達に対しても「ありがとう」の気持ちを込めて。 定期的に整理しないと収納スペースが溢れてしまうので、時々チャリボンを利用して本を寄付するようにしている。 並行して、長い間使わせてもらった椅子を粗大ごみに出す。 こうやって物理的にスペースを作っていく。 そうすると今度は何か新しいものが入ってくる。 それは「物」ではない場合も

    • 弱さも不完全さもひっくるめて

      荷物を預けて再び駅に向かう。 今にも雨が降り出しそうな空だけど、ギリギリ耐えてくれそうでありがたい。 どこに行っても声をかければ会ってくれる人がいるということ。 普段全く異なる環境で生活していて、立場も見ている世界も全然違うように思えたとしても、 姿を見つけて「久しぶりー」と手を振ると安心感がこみ上げてくる。 彼女の旧姓と私の名字は同じ。 だから、高校ではいつも前後の席でテストを受けていた。 性格は全然違ったけど、なぜか仲良くなった。 そして、卒業後は二人とも

      • 新しい世界へ

        道に散らばった花びらを追いかけていく。 今年も「桜が綺麗ですね」と書ける時期になったと思っていたら、あっという間に季節はまた新しい段階へと進んでいっている。 1か月はいつも一瞬で過ぎていく。 特にこの1か月は、自分自身の状況も心の中にあるものも驚くほど変化していった。 今まで通りの生活を続けることはないのかもしれないな。 何となくそんな感覚はあったのだけど、何かを強引に変えようという気もなくて、ちょっとのんびりしようくらいの気持ちで過ごしていた。 それは、自分自身

        • おめでとうの季節

          ニットのワンピース1枚で出歩ける季節がまたやってきた。 「入学式の日に寄れそうだったら寄ってね」と駅の改札で手を振る。 親御さん達は、きっとこういう寂しさと感慨を覚える瞬間がもっと沢山あるんだろう。 私にとって毎年訪れる一つの区切りであり、もう慣れていることではある。 それでもやはり今年は特別だった。 自分自身にとって1つの転機だった7年前。 出会った時には、こんなに長い間一緒に過ごすことになるなんて想像していなかった。 そして、本当にありがたいことに今後もご縁

        とっておきの時間を

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        • 教育・学習支援のこと
          28本
        • 総合型選抜(AO)/推薦入試の授業風景
          3本
          ¥300

        記事

          スペースに入ってきたもの

          たぶんこっちの方向に歩いていけば着くんじゃないかな。 帰りの新幹線の時間を遅めにして、ホテルに荷物を預かってもらう。 ピンクのチェック柄のストールをグルグル巻きながら、外に出る。 まだちょっと肌寒いけど、気持ち良い天気でほっとする。 教えてきた子供たち全員の進路が無事に決まって一段落。 3月は空白の時間を作ることを優先することにした。 先月までのスケジュールとのあまりのギャップに慣れなくて、何だか落ち着かないなと思う時もある。 求めていた時間がようやくやってきた

          スペースに入ってきたもの

          ゆっくり自然に叶っていく

          「あちらの角の時計の所で、押して帰ってください」 手渡された白い袋を持って「あちらの角」の方向に歩いていくと、確かに時計がある。 ええと、この袋に押してみるといいよってことなのかな。 なんだか面白いコミュニケーションだなとぼんやり思いながら、絵柄も向きも確認せずに、そこにあったスタンプをとりあえず押してみる。 わぁ、きれい。 インクが服やカバンに付かないように気を付けて、袋を持ったまま建物の扉を開ける。 古くなってスムーズには動かない扉。 最後までは閉まらなくな

          ゆっくり自然に叶っていく

          ゼロに戻る時間

          久しぶりなのに、よく分かるねぇ。 朝から飛びついてくる姿が本当にかわいい。 一方で、前回会った時よりも少しだけゆっくりになっている動きが気になって、つい目で追ってしまう。 その変化はほんの小さなものではあるのだろうけれど、確実に存在する。 やっぱり人間とは時間の流れ方が違うんだろう。 全く別の世界を生きている存在が「部屋に入りたいからドア開けて」と訴えてくるのは、ちょっと面白い。 「また遊ぼうね」と声をかける。 「また」が来ることにまだ疑問を感じることはない。

          ゼロに戻る時間

          決断からのプレゼント

          2つの花瓶のお水を替えて、アレンジメントの手入れをする。 何だか家の中が一気に明るくなった。 自分自身が純粋な気持ちで動き続けるのと連動して、周囲の環境は物理的にも変化していく。 色鮮やかな花々がそこにあるだけで穏やかな気持ちでいられるのは、それらに込められた気持ちや思い出が感じられるからなんだろう。 沢山の方からお祝いしてもらった37歳の誕生日は、一生忘れられない日になると思う。 一回振り切ってみようと決めた日の何とも言えない感覚は、漠然と覚えている。 決めるま

          決断からのプレゼント

          世界を選択していく

          日曜日の早朝の新幹線は、何だかとても静か。 窓の外の朝の景色が気持ち良くて、平和な気持ちになってくる。 昨夜はあまり眠れなかったから、隣の席に誰もいないのがありがたい。 心配なことを数え上げたらきりがないけれど、「まぁ、きっと何とかなるだろう」ということにして目を閉じる。 ギリギリで弾けるようにはなった。 とても危ういけれど、前日も普通に何人かの授業をし、その合間に演奏前に読んでもらうコメントを書き、普段通りの土曜日を淡々と過ごす。 本番前はどうしても手が痛くなっ

          世界を選択していく

          奇跡を受け取れるように

          今日はきっと素晴らしい日になる。 窓を開けて、部屋の空気を入れ替える。 穏やかな秋の陽光が先ほどの確信をより強固なものにしてくれる。 本当はどう転んでも、結局のところ全てが上手く行っている。 そんな風に半ば自分に言い聞かせながら、時計を確認してソワソワする。 自分以外の人の心からの喜びと最高の結果を願わずにはいられない時期が今年もやってきた。 秋の入試を受けている子たちの奇跡的な結果の報告が続く。 出会った頃の状態を思い出し、日々発生する「課題」らしきものを思い

          奇跡を受け取れるように

          足音を追いかけて

          久しぶりに歩きやすい。 少し肌寒さを感じて、さっき買ったカーディガンを羽織ってみる。 繰り返しやってくる、月に1回のリセットの時間。 最初は無謀なことをやろうとしているのかもと思ったけど、いつの間にか日常の1つになっていった。 習慣の力ってすごいなと改めて思う。 8年間触っていなかった楽器のカバーを外して、5年。 気付けば2つのピアノコンチェルトと1つの幻想曲がレパートリーに入り、また新しいコンチェルトのアレンジが自分の作品としての形をなしてきている。 仕事の合

          足音を追いかけて

          世界が作られていく

          9月の初め、月1の京都へ。 妙に早い時間に目が覚めて、普段より3時間以上早い新幹線に乗る。 早く着いたら、懐かしいカフェにでも行こうかな。 それとも 特に目的があるわけではないけれど、何となくずっと行ってみたいなと思っていた場所に行ってくることにした。 余計な移動が発生するのと、暑さの中で歩く距離も結構ある。 やっぱり止めといた方がいいかも。 というか、何を求めて向かおうとしているんだろう。 肩にかけた荷物の重さに一瞬よろめきながら、新幹線を降りる。 エスカ

          世界が作られていく

          真夏の夜の月へと

          いったん自宅に戻って少しだけ荷物を軽くして、玄関を出る。 お昼と比べて暑さが多少マイルドになった夜道を歩く。 「もう21時過ぎているから、普通に家でゆっくりすればいいのにね。」 そんな言葉を構成する要素がフワフワと舞っているような気もする。 ただ、その要素はいつまでもバラバラのままで、一つのまとまった形をなすことはないみたいだ。 勝手に足が動いていくというのはこういうことなのかもしれない。 特に、いつもと違う何かがあるわけじゃないと思うのだけれど。 ふと見上げた

          真夏の夜の月へと

          アイスクリームと幸せな時間

          ちょっと肌寒いくらいひんやりと涼しいカフェ。 長袖のワンピースに着替えて来て良かったと思う。 お昼前から夜まではいつも混んでいるので、朝早起きして向かう。 温かいミルクココアを注文する。 「涼しい所で飲む温かいココアって美味しいですよね」とにこやかに話しかけられて、確かにそうなのかもと頷く。 奥の方の席に座って、Rollbahnのノートを開く。 スッと気持ちが切り替わって不思議と前向きになるのがありがたい。 なんだか少し思考過多になっているなと思う時、パッと外に

          アイスクリームと幸せな時間

          魔法はいたるところに

          夕方までは自分のためだけの時間にしよう。 スケジュールが埋まっている毎日が続き、そんな日々は半永久的に続くかのようだった。 その流れがたどり着く先を想像してみよう、と思考が動き出す。 想像がクリアな形をなす前に、その作業をいったんストップさせる。 今は、自分のためだけの時間が必要なんだ。 少しだけでも。 決して苦痛な訳ではない。 誰かと笑っている時間が長く、それは本当にありがたいことであるのは間違いない。 頭の中で自動的に繰り返されるそんな言葉の中に、ほんの微

          魔法はいたるところに

          隣を歩きながら

          無関心な素振りを見せながら、こちらに近づいてくる。 何だかちょっと大きくなったかな。 以前は触らせてくれなかったけど、今日は大丈夫みたい。 2023年も無事に半年が終わる。 あっという間に過ぎていく時間に少し驚きつつも、日々のほんの小さな試みや何気ない決断が確実に自分の世界に変容を生んでいるんだと確認する。 一瞬一瞬の思いや小さな行動の積み重ねが次の展開を生んでいることに気付くと、自分の感性に正直に生きることの大切さを実感する。 「先生、あの神社の中を通っていった

          隣を歩きながら