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世界を選択していく


日曜日の早朝の新幹線は、何だかとても静か。


窓の外の朝の景色が気持ち良くて、平和な気持ちになってくる。


昨夜はあまり眠れなかったから、隣の席に誰もいないのがありがたい。

心配なことを数え上げたらきりがないけれど、「まぁ、きっと何とかなるだろう」ということにして目を閉じる。





ギリギリで弾けるようにはなった。


とても危ういけれど、前日も普通に何人かの授業をし、その合間に演奏前に読んでもらうコメントを書き、普段通りの土曜日を淡々と過ごす。


本番前はどうしても手が痛くなってくるので、貼るお灸をペタペタと貼っていく。


秋の受験生が多くて身体がもたない、という理由で今年は出ないと伝えていたのだけど、


想像以上にスムーズに全員合格し、1か月前には自然と楽譜も書き終わっていて、うーん、少し無理をすれば何とかなるのかも、という1つの選択肢が見え始めた。

「負荷がかかる方を選ぶ」という在り方は、もう止めた方が自分のためなんじゃないかなという声が自分の中から聞こえてくる。

一方で、どっちの方が面白いかなと思ったら、まぁ流れに乗る方なのかなと。

そういう時というのは、ある意味選択の余地はなくて、ひとまず「そういうことにしました」という事実に自分を慣れさせていくしかない。


短期間である程度何かを形にしないといけない時は特に。




近所のカフェでカニのトマトクリームパスタを待ちながら、ショパンについての本を開く。

ショパンがレッスン中に自分の生徒に伝えた数々のアドバイスを読む。


「自分を信じて演奏しなさい」


シンプルな言葉ではあるけど、そんなに簡単なことではない。


でも、きっとそれが全てなんだと思う、音楽に限らず。




合格をいただけたことはもちろん嬉しいけど、それ以上に先生と出会えたことが財産です。


今年は嬉しくて涙が出るという経験を沢山させていただいた。


スケジュールを見返してみて隙間がゼロの数か月間は、確かに大変と言えば大変だったのかもしれないけれど、


気付けば毎日大笑いしていて、沢山の嬉しい瞬間を一緒に喜ぶことができたこと。

同時に、昨年までとはまた異なったチャレンジをするようにしてきたアレンジも自然と出来上がっていて、それを聴いてもらうことができる場があること。


年齢を重ねていくにつれて自分の可能性が広がっていくのを感じることができるというのは予想外の発見であり、


改めて素敵な出会いに恵まれていることに感謝する。




帰りの新幹線のチケットを取って、お土産を選ぶ。


12時間前にドキドキフワフワしながら新幹線に乗っていたことを思い出すと、不思議な感じがする。

別の世界に行って今から帰るような感じ。


選べる世界にはいくつかの選択肢があって、今回私はその中で自分にとって一番幸せな選択肢を選ぶことができたんだと思う。


この感覚を大切にしたい。


最後まで読んでいただいてとっても嬉しいです。ありがとうございます♡