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時を超えても変わらぬ心

世の中に亡くなりなむも
わが身にはさらに口惜しきこと残るまじけれど
かく思し惑ふめるに
空しく見なされたてまつらむが
いと思ひ隈なかるべければ
(源氏物語  第三十五帖「若菜下」)

【現代語訳】
この世から亡くなっても
わたしには少しも残念だと思われることはないがこれほどご心痛のようなので
自分の亡骸をお目にかけるのも
いかにも思いやりのないことだから


ワタクシが1番好きな物語
1番好きな本
「源氏物語」

1000年の時を経て
それでも人々を魅了し続けて止まぬ
物語

全54帖(宇治の10帖含む)からなる、世界最古の長編物語と言われる、「光源氏」を中心に各登場人物70年に渡る、紫式部の手による壮大な恋物語です

ワタクシとしては
特に詳しく勉強した訳ではありませんし
深めれば深めるほど
色んな所謂「ドツボ」にハマりそうなので
単なるイチ「源氏ファン」としての感想を
書くとして

ワタクシは、この「若菜」の巻が
最も心震えるところでして…

受験勉強では「明石源氏」と言われる程
「明石」の巻が長ぇ…
イヤマジで!
明石なければ、もっと読ませられるのに…
って思う程なので

なかなか「若菜」の巻までは
辿りつかない訳ですよ
受験勉強では

実際、センター試験(時代!)では
「明石」位までしか
出題されません

確かに「明石」位までが
分かりやすいし、テンポが早くて
読みやすい
しかも主人公「光源氏」自身が
若くてイケメン時代なので
オンナブイブイいわせてて
面白い訳ですよ

「頭の中将」的なイケメン友達も
ブイブイ時代なので
ちょいちょい
「オトコの友情」的なエッセンスもあったりして
面白い訳ですよ
分かります、はい、分かります

しかしですよ
この「若菜」の巻あたりから
ブイブイイケメン「光源氏」の人生が
アゲアゲ⤴︎無敵な「光源氏」の人生が

今までのツケが回ってきて
オセロで負け始めるように
パタパタと
気持ち良くひっくり返っていくんですね
自分が今までやってきた事の
ツケを払わせられる…

詳細書くと長くなるので割愛しますが
この「若菜」で
最愛の妻「紫の上」が
1度死にます
サックリ言ってますが
1回死んでます(笑

その、「1回死んだ紫の上」が
語った言葉が
冒頭の文章なのです

元々、元々ですよ

北山の庵で、地味~に妾腹の子供として
フワッと人生送って
尼辺りに落ち着いただろーなー的な
幼き少女を←ロリ

憧れの女性の「代わりに」
かっさらって来て
自分色に染めまっせ!的に調教したものの

本人の意識のほうが何なら高くて
何しても出来る
勝手に学んで行く
容姿も美しい
性格もバツグン!なオンナに
なってる訳ですよ
我があちこちでやりっ放ししててもですよ 
あちこちでオンナ抱いて来ててもですよ

何なら「若菜」では
紫の上さしおいて
若っかい「本妻」と結婚する訳ですよ
紫の上、最早30代後半ですよ
紫の上、プライドズタボロですよ
何のために堪えて来たねん!

ンな都合のエエ
大枚はたいても手に入るか?!って言う
オンナがですよ

1回死にかかった時の「光源氏」と
きたらもう

祈祷師呼ぶわ
嘆き悲しむわ
食事も喉通らなくなり衰弱するわ
モチロン仕事も行けなくなるわ←クソ
1回死んでんのに祈祷師にまた呼び戻させるわ

全て「紫の上が居なきゃイヤ😖」って
言う
テメェの都合で
蘇らせちゃう訳ですよ

んで
蘇ってからの紫の上の言葉がコレ

「ワタクシは今死んでも何の後悔もないけれど
(死ぬほどツラい思いをしてるから)
アナタがそんなに嘆き悲しんで弱ってくならば
ワタクシは死ぬ訳にはいかない」
です

くぅぅぅ~!エエんか?!
それでエエのんか?!
紫の上さんよ?!

言いたくもなりますわよ!
むしろ声を大にして言いたい!

大概やりっ放し浮気し放題の光源氏の
実質の妻ポジションですが
身分違いと言う事で本妻にしてもらえず
他の妾とも同居し
その全てを采配させられ
妬くな、使えろ!的な立場の中で
最高のオンナになってんのにさ…

しかし
しかしですが

どこかワタクシも
冒頭の文章に共感出来る部分があるのは
昭和のオンナだからでしょうか?
博多のオンナだからでしょうか?

ワタクシもきっと
「紫の上」と同じように
「ワタクシが死ぬことによって
彼が嘆き悲しみ弱るくらいならば
何としてでも生きなきゃ」って

息も絶え絶えでも
思うかもしれないな?って
自分のツラさより
彼の嘆きを見たくないな?って

分かるんです

オンナの心は1000年の時を超えても
変わらない

大切な人のためなら
命すらも何とかしよう!って
思える
その気持ちが

きっといつまでも心震える 「共感」を呼ぶ
「オンナの気持ち」を描ききった
「源氏物語」の凄さ
なのかもしれませんね

何回読んでも「若菜」の巻で泣いてる
イチ風俗嬢の感想
なのでした
相変わらず浅い見識で失礼します





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