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フットボールへの思いのたけを綴る

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Jリーグではガンバ大阪を30年、セリエではラツィオを20年、リーガではアトレティコを10年支持しているただの会社員が、フットボールと共に考えたとりとめのない事象まとめ。
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#サッカー

忘れられないシーズンになるのだろうか

12勝8分18敗。 33得点49失点。 13位。 2021年12月4日、我が軍の今シーズンの闘いが終わった。終わりまでたどり着いた。 どの立場であろうと我が軍に関わり我が軍をおもうすべての人と同様、ここまで到達した安堵なのか焦燥感なのかもっと別の感情なのか、人によって捉え方の異なるこの感情を静かに受け止めた最終節。 シーズンオフに入るのが早すぎて、もはやあの時に何を考えていたのかほぼ忘れている。後年消すかもしれないけれど、少し特殊だったシーズンの記録として、抜け落ちた気持ちの

スキルセットと経験値の彼方に

いつになくポエティックなタイトルになったが、内容は変わらず傲慢な偏見に満ち満ちている。それもこれも、ようやく試合へ臨める権利を手にした我が軍がまったくもって波に乗れず、ただそんな事態に陥ることさえもいとわないから試合を見たいと叫んでいたくせに、いざ降格圏内での生息が常態化すると、週末にマイナスへ転じた気持ちを月曜日の朝までになんとか0まで上げるための逃げ道をポエティックな世界へ求めているからだ。 宮本監督との離別7月で3年の付き合いになる宮本監督との3年めは訪れなかった。残

フットボールを取り巻くそれら

いつもの年末なら、十三にある行きつけの焼き鳥屋で箕面ビールを飲みながら、年3回ほど会う人々と3周めくらいになる近況報告をしている時間だ。そしてそんないつもは、今年実現しなかった。 万博のゴール裏が芝生の頃、父に試合へ連れて行ってもらい、つまらん試合だとぶーたれて芝生に横たわり昼寝も夜寝もし、バティストゥータが来たプレシーズンマッチを人もまばらなバックスタンドで寒さに震えながら凝視し、翌年J2に落ちるとは知らず長年の夢の地(祖父が好きだったNHK特集のシルクロードで見て恋に落

真正面から向き合う人

2部の年に入学したメンバーももう4年生の秋を迎えている。平たく言うと、表立った主張をしてごりごり活動する代ではなかったと思っている。それは、彼らの上級生たちが、実力と勢いとキャラクターの三角形の最大値を振り切っていたこととどうしても比較してしまうから。 案の定と言ったらよくないけれど、去年の4年生が抜けた後の今季のリーグ戦前半はかみ合わない現状をどう打破していくのかが見えにくい状態が続いた。総理大臣杯も初戦で敗退し、夏の大阪には行けなかった。 次期主将は正直意外だった。同じ

そうだ、クロアチア

隣席の同僚が「今回(ワールドカップの優勝推しは)どこっすか」と聞いてきた。 そう言えば、最も好きなスポーツの世界大会数日前というのに、高揚感がまったくない。大団円を迎える仕事があり、それどころではないくらい精神を捧げているというのはサラリーマン稼業的に大きな要因だが、このチームを観たいというふわふわした気持ちが出てこない。 でも、聞かれた瞬間、「そうだ、クロアチア」という気持ちがまたわいてきた。 少し前に、Instagramでクロアチア代表がロシアに向けて出発する写真を観

好きな男が揃い踏みするという甘い考え

キャリアの終盤になって初めて大阪を離れ、ヴェルディに移籍したふたちゃんが、今度はさらに北上して栃木SCでやることになった。新しい環境に飛び込むことを極端に苦手としていたはずが、人は変わるものだ。 イーストトーキョー住人にとって(新幹線に乗れば)それほど早起きをせずとも行ける宇都宮は、移動に限れば小旅行気分もある。ということで出かけた。宇都宮駅に着いた頃にスタメンが発表された。 メンバーにいない。サブにもいない。メンバー表に名前がない。 おーい… 落胆に溺れながら、なぜこの

同期の引退に思うこと

年末にすごくいい記事が出た。 主役の本人もすごく喜んでシェアしていて、過去同じ職務を務めていたこともあり、次は主務という職務に就く人たちの思い出を書こうと思った。私が同好会の主務をやっていた時、蹴球部の主務はT君で、グラウンド利用確認や体育会の集まりなど何かしら接点が多かった私たちは学部や本拠地とする校舎は違ったけれどよく話すようになり、規模や所属するメンバーの部活に対するプライオリティには差があるものの、共通して持っていた運営という難しさの悩みや醍醐味をほぼ愚痴として共有

ギフトとアビリティ、戸嶋祥郎選手の場合。

ただの、と言うと失礼だし伸びしろがあるから入学してくれる学生ばかりなんだけど、それでもただの伸びしろを当初の見込み以上の最大値というか、最大値なんてあってないようなものだと軽々と飛び越えてくる。 戸嶋選手とはそういう男だ。 初めてプレーを見たのは降格しそうだと騒がれていた秋の明るい日で、途中出場だった(と思う)。色白で小柄の痩せ型(というか先輩方に混じっていると完全に痩せていた)で、局面ごとに顔を出し守備から攻撃への切り替えが早く、特に攻撃については身体がついていかないことも

ギフトとアビリティ、中野誠也選手の場合。

そのPKはキーパーの正面に飛び、今シーズン21点めの得点にはならなかった。チームが勝ち越したり、膠着した状況を打破する得点を切り拓いてきた中野誠也は、顔を覆ってらしくない姿だった。 PKの練習をしろ、とその前週に野口航のハッシュタグ講座(という主旨ではないが野口選手の得意なハッシュタグ徒然草で誠也選手を紹介するスカサカHT11/16放送分 https://youtu.be/1zXjOsNi4aQ )で指摘されていたことが現実になってしまった。 ただ、その後も貪欲にゴールへ迫る

振り返りをしないことについて

黄金世代と形容された日本のサッカーの某世代がある。エキセントリックなフランス人監督にナイジェリアへ率いられ準優勝してしまった、私と同学年とその一つ上の彼らのことだ。 「してしまった」 どうして結果が出たのか。監督のチームビルディング力なのか、協会の精鋭部隊をつぎ込んだのか、通訳がよかったのか、怪我人を出さず試合ごとにピークを持っていかせるフィジコの力なのか、たまたま誰も水にあたらなかったのか、対戦相手の分析が的を得て想定通りの試合ばかりできたのか、選手たちのノリで何となく