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治療のおわり-てまねきの記録9

2回の採卵と、3回の移植でいい結果が得られなかった私。
助成金はあと治療2回までしかもらえないので、とりあえずそこまでは治療を無心でがんばることにした。

これが、マガジンの最後の記事です。
3回目の採卵から治療の終わりまで。

採卵前の下準備

そろそろ助成金回数的に後がなくなってきた私は、採卵に向けてなにか出来ることはないかと考えた。

不妊治療にはたくさんの民間療法がある。
お灸やお茶や、ヨガ、いろんな広告があって、「これで妊娠できました」などの売り文句がつけられている。
これらに共通するのは多分体を温めることで、確かに冷え冷えの体よりはいいんじゃないかと思う。

でも、究極の治療?である体外受精で失敗続きの私には、お茶で妊娠できるとは思えなかったので、一番信頼できるものを一つだけ取り入れることにした。
葉酸サプリだ。

葉酸は、厚生労働省から「妊娠を希望する人や妊婦は普段より多めに摂りましょう」と推進されている栄養素だ。
私は葉酸サプリを買っていたものの、飲んだりやめたりで真面目に続けていなかった。
それを、ここからは毎日欠かさず飲むようにした。
私が自主的にできる準備はこれくらいだった。

ロング法での採卵

2017年11月、3回目の採卵はロング法という投薬方法で卵胞を育てることになった。
今までの採卵での結果を踏まえて、先生が決めたことだ。
先生のこの判断は正しかったことになる。
総採卵数は21個で、そのうち分割が進んだ11個を凍結することができた。

この時も卵巣に水が溜まるOHSSがひどかった。
でもたくさん凍結胚ができてホッとしたし、移植がうまく行っても行かなくても、もう採卵はしないだろうなと思った。

歯が痛い

採卵後のタイミングで、ずっと見て見ぬ振りをしていた親知らずが痛くなってきた。
もし妊娠したら、麻酔や薬の関係でしばらく親知らずを抜くことはできなくなるかもしれない。
不妊治療のキリもいいことだし、私は移植を先延ばしにして親知らずを抜くことにした。

何ヶ月不妊治療を休むことになるかは歯医者さん次第。
休むことに少し焦る気持ちはあったけれど体を整えることも大事と思い、私はその間も葉酸サプリだけは毎日欠かさず飲むようにした。

結局、不妊治療は2ヶ月休んだ。
歯医者での治療がひと段落した2018年2月、私はいよいよ凍結卵を一つ移植した。
移植ももう4回目になるとベテランだし、この時期仕事が一番忙しいので、のんびりする間もなく、移植後出勤して働いた。

移植後1週間経った日が病院での判定日だったので、いつも通り、判定日の前日に自分で妊娠検査薬を使ってみることにした。

検査薬は真っ白だった。
一喜一憂しないと心に決めても、真っ白な検査薬を見たときにはいつも頭も真っ白になる。
はー、やだやだ。
私は検査薬をゴミ箱に投げ捨てて、涙を飲んで、買い出しに出かけた。

買い物から帰って来て、ふと気になって、30分前に投げ捨てた検査薬をもう一度見てみようかな?と思った。
ゴミ箱から拾い上げて見てみると、錯覚かな?というレベルで薄い薄い反応線が出ている。
目を細めないと見えないけど、灯りにかざすと確かにある(気がする)!
私が初めて見た検査薬の本物の陽性線だった。

本物の、というのは、以前ホルモン投薬の影響で偽陽性になったのも見てぬか喜びしたことがあったからだ。
だからこの時も喜ぶ前に、検査薬に影響の出る投薬があったかどうか急いで調べたりした。

偽陽性になるような投薬は無さそうだと確認してから、夫に検査薬を見せたが、「え?本当にある?見えないんだけど」と言われるほど薄い線だった。

妊娠判定

フライング検査の翌日、病院での妊娠判定だった。
いつも先生は、私が診察室の扉を開けるか開けないかのタイミングで「うーん、今回は着床してないねー」と言うのだ。
陽性の検査薬を見てきた私は、扉を開けるのがいつも以上に怖かった。

「妊娠してますよ」と間髪入れず先生が教えてくれた。
このセリフを聞ける日が来ると思っていなかった。
幻じゃなかった。


先生は「おめでとう」とは言わない。
まだ卵が子宮にくっついただけの初期中の初期で、越えなければいけない壁がたくさんあるからだ。
私もそれは重々わかっていたので、冷静に先生の話を聞いて、次回エコーに胎嚢が映るか見ましょうということで診察室を出た。

手元に戻ってきた基礎体温表にはこんな風に書いてあった。

着床できたという文字や、出産予定日。
まさかお目にかかれるとは。
写真を撮って、仕事中の夫にLINEで送った。
夫がどんな顔だったのか見たかったな。

IVFセンター卒業まで

妊娠判定はもらえたけれど、しばらくは産婦人科ではなくIVFセンターに通うことになる。

妊娠が継続できるか不安だった私は、判定をもらってからも家で検査薬を試し、線が濃くなっていくのを安心材料にしていた。
不妊治療をしていると、妊娠判定が早い分、自然妊娠の人なら気付かないような初期の流産等も知らなければならない。
長年の治療でいろんな経験談を頭に入れているので、「なにがあるかわからないのだから」と自分と夫に言い聞かせた。

判定日から2週間後に胎嚢が見えた。
その後に赤ちゃんの心臓の動きが見えた時に、初めて涙が出た。
本当に幸いなことに、問題なく育ってくれた。
本当にありがたかった。
妊娠10週で、私はIVFセンターを卒業、約5年の不妊治療を一旦卒業した。

まとめ

苦戦した私の不妊治療、どうして長くうまく行かなかったのかはわからないし、どうしてうまく行ったのかもわからない。
タイミング的に、私にとっては葉酸が大事だったのかもしれないと思っている。
それから、うまく投薬してくださった先生や、たくさん卵を育ててくださった培養士さん、IVFセンターには感謝してもしきれない。

2018年9月に第一子が無事生まれた。
その子が一歳になったのを機にまた治療を始めて、2020年夏に第二子を出産。
2人は年の差はあるけれど、同じ時に採卵して同じ時に受精しているので、2卵性の双子のようなものだと思う。
このキョウダイの順番を決めたのはIVFセンターの先生なんだと思うと、とても不思議だ。

以上で私の不妊治療の記録はおしまい。
忘れてしまう前に書き残せてよかったし、当時の体温表やTwitterを見返していると当時の気持ちに戻ることができた。
読みにくい文章だったけれど、読んでくださった方、本当にありがとうございました。

治療中の方、治療を検討している方の参考になれば幸いです。

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