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さよなら基礎体温、ようこそ自己注射/てまねきの記録4

前回の記事で、治療の流れについて書いた。

①卵子を取り出して(採卵)、体外で受精させ、ある程度分割させる→たくさん受精卵ができれば凍結
②正常な受精卵を子宮内に戻す(移植)

まず、第①の関門、採卵に臨む。

ちなみにその前に詳しい血液検査、エコー検査を受けた。
ホルモン値も問題なし、子宮や卵巣の状態もエコーで見る限り問題なし。
「よかった」と言いたいところだけど、原因不明はそれはそれで厄介なもの。

とにかく時間がかかる通院事情

通院時の流れは
受付→採血→(待ち)→内診、先生の話→会計
という感じ。

IVFセンターはいつもとても混んでいる。
あと、毎回血液検査の結果が出るまでに時間がかかる。

だから、(待ち)の部分がとても長い。
1時間超待つ日もある。
短い本なら一冊読めるし、スマホの充電はかなり消費する。
15時半の予約で来院しても、全て終わるのが17時半…というのも普通だった。
でもいちいちイライラしていたら、頻回の通院は難しい。
せかせかした気持ちでは、とても通院できない。(2人目の治療ではここがちょっとネックになる)

さよなら基礎体温

妊活や不妊治療には基礎体温の計測が欠かせない。
基礎体温というのは朝目が覚めたとき(毎日同じくらいの時間に)、体を動かす前に測る体温のことで、コンマ下2桁まで測れる体温計で測る。
グラフにすると排卵期に大きく上がって、生理が始まる前後にガクッと下がる。
もし下がらずに高温期をキープしていたら、妊娠している可能性が高い。

体外受精を始める頃には、私は既に基礎体温計測歴3年目くらいになっていたけど、もうやめたいと思っていた。
上にも書いた、「基礎体温が高いままだと妊娠中」というのがプレッシャーだった。
その時期になると、体温が気になりすぎて、明け方に3時頃から1時間置きに目が覚める有様。
完全にノイローゼ状態。沼にハマるとこういう精神状態になるのだ。

ちなみに、初めての採卵のときの基礎体温表がこちら。

基礎体温表なのに体温グラフは書いてない。
先生が「血液検査でわかるから、体温は別に測らなくてもよろしい」と言ってくれて、私は秒で測るのをやめた。
(それ以降測ったこともない)

基礎体温表は先生のメモ帳と化している。
全ての治療の内容がカルテだけじゃなくて患者の手元に残るのはありがたい。
今も見ても貴重な記録だなぁと思う。

ようこそ自己注射

採卵までには、まず体内で卵子をたくさん育てなければいけない。
そのためにホルモンの投薬をする。
ここでよく登場するのが点鼻薬と自己注射だ。

上の体温表にある「ゴナール」は、ゴナールエフという自己注射だ。
この型はペン型の注射器で、5ミリくらいの細い針を垂直にプスッと刺して、シャーペンをノックする感覚で薬が注入できる。
この時は7日間、夜、おへその下あたりに打った。
このゴナール、とても高価だ。
7日分で7万円くらいして目玉が飛び出た。(当時保険適用外)
もうお財布の戦いはもう始まっている。

打ち心地はというと、自分の体に針を刺すことに最初は勇気がいるけれど、本当に細短い針なので痛くないし怖くない。
ガニレストと比べたら。

ガニレストも採卵までの準備に使う自己注射で、私は2回目の採卵で使うことになる。
ペン型のゴナールの違って、ガニレストはただの小さい注射器だ。
それをお腹に打つ。
ガニレストを初めて打つ時はさすがに怖くて、10分くらいお腹を出して注射を握ったまま、「どうしようどうしよう」と狼狽えた後、覚悟を決めて打った。

2回目も怖くて、人に打ってもらった方がいいかもと思い、夫に頼んだ。
すると、片付けの時、注射器にキャップを被せるところで手元が狂って、夫の手に注射針が刺さって、2人で悲鳴を上げた。
れっきとした医療事故だ。
それ以来、私はもう絶対に夫には頼むまいと決めて、粛々と自分で打つことにした。
皆様も気をつけて!

いよいよ採卵へ

7日間のゴナール注射を終えた翌日の診察。
大事に育ててきた卵達をチェックするエコーには、たくさん育った卵胞が映った。
その数、30個。
「ちょっと育ちすぎ、薬が効き過ぎた」と先生は言った。
薬が効くか効かないかは実際やってみないとわからない。
程よい効き目でなければ、次回からは先生が投薬方法を検討変更してくれる。
確かに体感でもお腹が張って、歩くと響く。
あとホルモン注射のせいか胸も張る。
会社の制服が苦しい。
ちょっと辛いけど、これでたくさんの卵子が取れたら万々歳だ。

採卵日が決まった。
2日後の朝8:30だ。
急な休みに対応できる職場に移っていた私は、もう怯まない。
その診察の日の夜に来院して注射を打つ必要があったので、一旦帰宅後、21時頃だったと思う、また病院へ。

こうして採卵への準備が整った。
採卵当日のことは次回の記事で!

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