エリック・カールの気持ち
我が家にはレモンの木がある。そこにアゲハチョウがたくさん卵を産んだので、友人たちにも分けながら、うちでも少し育ててみることにした。
黄色いのが卵。モンシロチョウは育てたことがあるものの、アゲハチョウは初めて。勝手がわからず、最初は卵から孵らなかったり、小さな黒い幼虫が大きくなる前に死んでしまったり。どうやら虫かご内が乾燥してるとダメだということがわかり、濡れティッシュを入れるようになるとようやく大きくなり出した。
最初、まつ毛の先ほど小さかった幼虫もグングン成長。
お、色が緑色になってきた!
と思ったらついにアオムシちゃんに進化!黒い皮は自分で食べていた。
なんてきれいな模様をしているの、アオムシちゃん!ずっと目だと思っていた両端の点は背中の模様だったことに今更気付く。上から下に、また上から下に食べていくのね、と食べる様子を観察して勝手にアテレコしたり。背中の模様をスケッチしたり。もうアオムシちゃんに釘付けだ。
動かないから死んでいるのかと思ってツンツンしたら怒られてシャッとツノを出されてびっくり。「アオムシって怒るとツノ出すの!?」と、ひっくり返る私に毎年保育園で育てている子どもたちは「え、ママ知らなかったの?」と涼しい顔。先輩、初めて知りましたよ。
それにしてもよく食べる。そしてウンチが大きくなった。
かわいい。かわいすぎる。もはやペットだ。後ろから見ると口や足がわかりやすい。
お、なんだかアオムシちゃんがサナギ体勢になったぞ!
ついにサナギに!
その際、幼虫の皮は抜いでらっしゃいました。外出中にサナギになってしまい、途中の様子は見られず残念。
緑だったサナギが黄色になった!
そして無事にチョウに!おめでとうアオムシちゃん!!それにしてもなんてきれいなのアゲハチョウの羽。
上から見ると黒と黄色だけなのに、横から見ると青やオレンジが入っている!そんな違いに最初に気づいたのは兄。
左:母作。上:兄作。右:妹作。楽しかったなぁ。この1ヶ月ほどのアゲハチョウとの生活。
我が家のアオムシちゃんのおかげで私は「はらぺこあおむし」の絵本を書いたエリックカールの気持ちがわかってしまった。エリックカールはアオムシを飼育していたんじゃないだろうか(知らんけどw)。飼育していてその魅力の虜となり、サナギからチョウになったとき、あのアオムシが全然違う姿になったことに感動したんじゃないだろうか。私だって未だにあの小さなサナギの中でどこがどうなったらチョウの形になれるのか不思議で仕方がない。
そしてあんなにもたくさん食べることに、ただただ驚いたんじゃないだろうか。それをリンゴを食べ、チョコレートケーキやアイスクリームを食べることに例えたことが、本当の食べる量を知った上で読むとなんだか妙にしっくりくるのだ。わかる、わかる。本当にそう描きたくなるくらいよく食べるよね、と共感してしまう。
最後の「あっ、ちょうちょ!」の「あっ」には気付けばいつの間にか!という気持ちが入ってたことにも気付いた。あそこは絶対に「あっ」がいる。うちも2羽ともチョウが出てくる瞬間は見られずまさに「あっ、ちょうちょ!」の言葉が口からでた。
いや、あくまで私の想像なので、エリックカールが飼育していたかは知らないけれど。ただ、何度も何度も読んできたはずのはらぺこあおむしの本にすごく実感をもてて、前よりもっと好きになったことは確か。
経験してる人はそれだけ世界が違ってみえるんだなと思った。同じものでも、実感があると楽しみ方が全然違う。ありがとう、アゲハチョウ。いろんなことを教えてくれて。2羽とも元気でね!
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