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2023.02.02/床完成

年末から、作っていただいていた床が
ようやく完成しました。

前回までの床の状態を見ていただいてたら、
どんな感じに進んでいったかが分かりやすいの
ですが、

①窓際のステージを取り外し。
②変形にカットされた床の継ぎ足し。
③床貼り
④取り外したステージ部分を端に移植
⑤塗装

という感じで進みました。

この間に、厨房の方やストックの左官なども
並行してされているのですが、その部分は左官屋さんに手伝っていただいてるのですが、この床張りが、石川さん1人でされてるので結構大変だったらしいです。

まず、いままでの床は美容院だったので、
染める薬剤を落として真っ黒に染まったような
汚れがあったり、木目も板目ではっきり主張のある
木だったので、少しハードな印象がありました。

そこに、新しく木を継ぎ足してもらうのですが、
また、極端に違う幅の板を合わせたりすると、
そこがダサくなってしまったり、全く同じ雰囲気にしてしまうのも馴染みすぎて面白くないというのもあったりするので、お話しながら調整を石川さんにしていただきました。

今までの床板には、一枚一枚細いピッチで無垢の木にさね加工をされて張られていました。(さね加工というのは、木の板同士が左右を凹凸で組み合わせて隙間なく張っていくような仕様になっているものです)

同じように、材木屋さんにこれを依頼すれば、
張るのも手間が掛からず楽なんだそうですが、
さね加工をする事により木の価格が10万近く高くなるそう。

今回は、少しでも予算を低くしていただくのに、
石川さんが手間を取っていただけるという事で、
さね加工をせず、サイズだけ合わせて木を仕入れてきて下さいました。その分、本来片側だけネジを留めたら良い所を左右から留めなければならず、相当根気のいる作業だったそうです。

また、木はピッチを合わせて切られているだけなので、一枚一枚、角を面取りしてから張っていただいて時間も掛かるようでした。

また、はじめに、松本さん石川さん達に、
私が木目は柾目が好きという話をしていたのを
反映して下さったのか、木は全て南洋桜の柾目の綺麗な板にして下さったので、継ぎ足して貼って頂いた板部分はすごく上品になっていました。

やっぱり経年変化していた床と、新しい材では、
違いは出ますが、それがまたコントラストとなって、今後良い感じに馴染んでいけば良いなと思っています。

(左が板目/右が柾目)

また、今回の幕板には研磨されていない杉板を
使って、塗装の色の染み込みをより浸透できるようにしたそうです。

そして反対に元あった床板には軽くサンダーを当てて、表面のウレタンを軽くだけ取ってから、再度塗っています。

塗料に関しては、石川さんがまた強いこだわりを持って、ドイツのリボスという有機農法で育てた無農薬の亜麻仁油を主原料にした塗料を使っています。

この塗料は、赤ちゃんが舐めても大丈夫な玩具の塗料などにも使われているぐらい、化学薬品を極力使わずに作られた塗料らしく、お値段もまた高いそうですが、作業されてる方にも、お店に来られるお客さんにも少しでも安心して貰えるなら良いかなとも思っています。

それだけあって塗装後に現場に入っても、
塗装剤特有の独特のシンナーのような匂いはせず、
亜麻仁油の柔らかい匂いがします。

亜麻仁油は、油絵にも使うので、
洋画専攻だった私には懐かしい匂いでした。

また、今回の塗装は同じ色を一色に塗り重ねるだけでなく、石川さんの作業されている時に私がお邪魔した際に、話の流れで見つけた塗装方法だったりします。

南洋桜は、もともと赤みが少し強い木だったので、
その上に、茶色い塗装を塗っても赤みが消えずに残る状態でした。

右上が塗装実験中の南洋桜

そこで、幾つかの色の塗料を一つずつ試していきましたが、近いものにはなるけど、惜しい!
という感じでした。

そこで、先に黒の塗料を木目に染み込ませて、その乾いた上にウォールナットの色を重ね塗りする方法が、経年変化した塗料の元の床板に近い味わいが出せる事が分かりました。

ちょっとした雑談をしながら、
私に見本として塗料の色の違いを見せてくれる流れの中で、この発見があったのですが、それを2人の話の中で出来た事が一緒に物づくりをしているという感じもして、良かったねとも話していました。

このような地道な作業を実験的に繰り返しつつ、
経験が積み重ねられるんですね。面白い!

そんな感じで、徐々に進んではいるのですが、
少し完成予想日は時間がまだ先になりそうな感じです。

ですが、床張りが完成した事で、ちゃんと床がある〜!と言う当たり前の事ではあるのですが、
一つ終わった!という安心感を得ました。

工事が始まって3ヶ月。
一つでも完成があるのがこんなに嬉しいなんて。

今はまだ新旧の差があるように見えるけど、
最後は、お客さんが床を踏んで汚れて、
だんだん馴染んでいく事がきっと最後の仕上げです。

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