9.女はキレイでいるのにお金がかかるんだから男がゴハン代を出すのはあたりまえ

 という理屈のおかしさについて論じてみたい。

 わたしも、数年前まではそういう考えがあったんだけど、実際ゴハンに行ったときは割り勘のほうがいいし、進んで払ってきた。

 だって私は働いていて、ちゃんとお給料をもらっている。だったら自分の食べた分に関してはお金払うべきじゃないのか。という考えが根底にある。

 もしかしたらこれは、結婚披露宴は会費制という北海道に生まれ育ったから身に付いた考えなのかもしれない。お金を出し合うのは助け合い、という考えが根付いているのだ。お互い様の精神。

 確かに、女はキレイでいようとすると金がかかるんだよ。男は見る目が厳しいから顔がキレイな女の子がやっぱり好きで、そういう子にはムダ毛が生えてちゃいけないし、白髪があってもいけないのだよ。脱毛代、エステ代、ヘアサロン代、化粧品代。バカにならない。

 だからと言って、男はお金がかからないって考えはどうなんだろう?

 彼女たちは見て見ぬふりをしているのだろうか?コンビニに行けば男性用の化粧品が普通に並んでいること、通販化粧品のCMに男性タレントが出るようになったこと、電車内に男性用エステの広告が貼られていることを。

 今や、男だってキレイでいるためにある程度のお金がかかっているのだ。

 男だって、カッコ良くなきゃ女に選んでもらえない。男だってことだけでデートの相手が見つかるわけがない。お互い様なのだ。

 そのことを無視してはいけない。世の中はそうやってどんどん移り変わっていくのだから、もうその「女は美容にお金がかかるから…」って理屈は古いんじゃないかとわたしは思っている。

 加えて、女はデートの相手のためにお金かけてキレイを保ってるというわけでもない。女がメイクしたりエステ行ったりするのは男のためじゃなく、だいたい自分自身のためだ。

 男の人も最近はメイクするようになったからわかってもらえると思うんだけど、単純に、メイクでカッコ良くなったら気分が上がるよね。「おっ、俺今日いい感じ」ってなるでしょ?女も一緒で、メイクやヘアセットで、まず何より自身のテンションを上げている。

 それから、これは女だけかもしれないけど、どうしても他人と自分を比べてしまう癖がある。「わたしの方がキレイ」じゃなきゃ気が済まない。人間としての良さを評価するのに他に項目なんていっぱいあるはずなのにね。

 だから、女がキレイでいたいのは、男のためってのももちろんあると思うんだけど、半分以上は自分のためなんだよね。それを全部男のためってふりをして奢らせるってのはどうも気持ちが悪い。

「そんなこと言ったらゴチしてもらえなくなるじゃん!」

って文句が出そうだから言っておくけど、わたしはなにも、奢ってもらうのが悪いと言ってるわけじゃない。あくまでその理由にあげられてることが気持ち悪いと言ってるのであって。

 男の人にも知っておいてもらいたいことなんだけど、実は、雇用の機会が平等に与えられることになっているこの国でも、平均年収のデータを見れば、女の給料は男よりずっと低いのだ。

 もちろんこれは民間に勤める人の平均値から言ってることだから、自分で会社起こしてる女性や、待遇のいい大企業に勤めている女性の場合は違うんだろうけどね。

 だから、わたしはここにひとつ提言したいんだけど、女が男に奢ってもらいたいときは「キレイにするのにお金がかかるから」じゃなくってさ、正直に「お給料が安いから、今んとこ男の人の経済力に頼るしかないんです」って態度で行けばいいと思うよ!

 「キレイになるためにお金かけてるんだから奢って?」って言うより「お給料安いからあんまり外でゴハンできないんだよね…」って言ったほうが、はるかに可愛いげがあると思う。そういう女なら、男も「そうか、じゃあ俺がなんとか払ってあげなきゃな」ってすんなり思えるんじゃなかろうか。

 こんな考え、わたしだけ?

 でも、人と人の間は、持ちつ持たれつでしょ?

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