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部屋干し野菜

 とても乾燥している。冬だ。肌はパリパリ。夜クリームを丁寧に塗り込んでも朝になるとあちこちつっぱっている。コリャちょうどいいじゃないかと野菜を干すことにする。

 干し野菜を始めたきっかけは数年前、専用のネットがついたムックを買って、キュウリを干したことだった。乱切りにして半日干して、油で炒めたら食感がパリパリして、食べることが楽しかった。

 キュウリは生の状態でもパリパリしているけど、わたしは生の野菜がそれほど好きではない。体が冷えてしまうからたくさん摂れないのだ。少し前グリーンスムージーにハマったけど、体が冷えまくったので生野菜に恐怖心を抱いてしまった。もとより冷え性だのに。

 干し野菜は切って干すだけで余計な水分も飛ぶし、日持ちもするようになる。なによりも食べるまでの間に「一手間かける」というこの習慣にわたしは魅了された。それからというもの、いろんなものを干してきた。大根は半月切りにしたものをセミドライにしてステーキに、あるいは拍子切りにしたものをドライにしてハリハリ漬けに。ゴーヤは干してから使うと栄養価があがり苦みも和らぐ。ゴボウは笹掻きにしたものをドライにして少しずつ使う。干し椎茸も簡単にできた。

 干した野菜が常備されているということに安心感があって、時間ができたらたびたびやる。ほんとうは天日干しがいいのだと思うけど、家にいないことが多いので難しく、だいたい部屋干しだ。一応日が入る窓際に近いところに干す。

 野菜は摂るのが難しい。どう料理したらいいかも考えるのがしんどい。じゃあとりあえず干しておこう。できるときにいっぱい。切って干すだけ。こんな簡単なことで幸せな気持ちになれるのだから。

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