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家を買う(6) 中古物件内見の旅

【今回関わる人】
古路さん・・・中古マンション仲介やリノベーションをまるっと面倒見てくれる「すまいクリエイト」の営業担当。テンション高め。
※企業名・個人名はすべて仮名です。

 オープンルーム見学で「どんな部屋に暮らしたいか」というイメージを育みつつ、いよいよ自分が住む中古マンションを探しに行く段階になった。

①駅近物件(約800万円)
 最初に見に行ったのは、今住んでいる賃貸からほど近い場所にあった。メインストリートに面していて、最寄り駅から徒歩5分。スーパーも病院も近い。築38年。外観はシンプルだし、きれいで好感が持てる。

 エントランスには宅配ボックスがあり、管理人は日勤。案内されたのは5階の部屋。元の間取りは3LDKで約60㎡。今住んでいる部屋よりかなり広い。日当たりも良好。

 第一印象がすごく良かったので、価格を聞く前に結構ノリノリになっちゃったんだけど、この物件には難点があった。部屋のど真ん中の仕切りが解体出来ない厚い壁で、よりによってそこはリビングとキッチンの間の仕切りだったのだ。

 この物件はリビングとキッチンがほぼ部屋の中央に位置していて、どちらもそんなに広くない。仕切りをなくしたいのにそれが無理。更に価格も高いし、ローン返済とは別に毎月払わんといけん修繕積立金と管理費が両方合わせて25000円とべらぼうに高い。結局高い割に好きにできないということでここは却下した。

②山の見える物件(約700万円)
 2番目に見に行ったのは同じ区内にある少し離れた物件で、築44年でかなり古い。その分物件価格が安かった。間取りは3LDK、約60㎡。外観は汚くはないけど、やや古くささが出てて、何というか昔のラブホテルみたいだ。見ようによってはオモシロイ。

 通されたのは6階。中に入って奥に進み、西に向いた窓から見える景色に歓喜した。山が見える!

 山って言ったって札幌は山岳地帯じゃないから雄大な連山とかじゃなくて、見えるのはハイキングで登れちゃうような親しみ深い山なんだけど、それでも見えると見えないじゃ大違い。間に邪魔になるような高い建物もなく、夕方なんかはキレイなんじゃないだろうか。

 管理費修繕費も①より5000円も安いし、外観の古さは我慢できないほどじゃない。一応保留。

③川べりの物件(約750万円)
 今度は札幌の中心、中央区にあるマンション。築38年、外観もキレイ。市内を流れる大きな川のそばに建っている。通された部屋は4階で間取りは2LDK。広さは①・②に比べるとやや小ぶりの約50㎡。内装もリフォーム済とのことでキレイ(リノベするからあまり意味はないかも)。

 ここは正直あまりテンションが上がらなかった。まず街の中心から近いってことで単純に高いと思ったし(実際物件価格は広さの割に高かった)、川が見えるならいいなと思っていたら、バルコニーのはじっこから身を乗り出さなきゃ見えないレベルだったし、おまけに、その身を乗り出した時に見えちゃったお隣さんのバルコニーがゴミだらけだった。建物がキレイだったらいいって訳でもないので、ここは却下。

 何日かにわけて3つ見に行ったけど、物件価格は正直どこも高いと思っていた。だって何百万の買い物なんてしたことないし。古路さんは3つの物件それぞれ、物件価格+予想されるリノベ費用+管理費修繕費で月々の支払い予想を出してくれてるんだけど、予想されるリノベ費用ってのがふわふわしてるじゃない? 減るかもしれないし増えるかもしれない。数字に弱いばかりか不確かなこともあって不安は払拭されないまま。

 だけど、オープンルームの時も含めて「分譲マンション」ってものを数件見てきて気付かされたことがあった。賃貸と分譲の格の違いだ。

 わたしがこれまで住んできた賃貸マンションはどれも単身者向けで家賃も高くはないから比較するのもどうかと思うんだけど、造りが粗末で鉄筋コンクリート造であってもたいてい騒音に悩まされていた。そして最後に住んだ賃貸が「隣の話し声が筒抜け」レベルだったものだから、試しに隣との境の壁をコンコンと叩いてみたら明らかに軽い感じの音がした。ベニヤ板かって感じの。外壁もなんだかあまりしっかりしてない感じ。

 分譲マンションに案内された時に同じように隣との境の壁をコンコンしてみたら抜けたような音なんて一切しなくて、これは頭ぶつけたらオオゴトだって思うほどしっかりしていた。そんなことを、わたしはそれまで知らなかったのだ(実家は木造だしね)。

 それに、分譲に住んでいる人は顔を合わせたら挨拶をしてくれる。それも嬉しいことだった。わたしだって面倒な人付き合いなんてしたかないけど、挨拶くらいできるような人たちと一緒にいたほうが安心だ。

 高いお金を払って分譲に住むか、なるべく安く賃貸に住むかでこんなに世界が違うことを知った。それがわかっただけでお大きな収穫だった。そしてわたしの気持ちはやはり「賃貸」より「分譲」に傾いていったのだ。これまでは多少お遊び気分もあったけど、ここらへんで「分譲を買おう」と心を決めたように思う。

 引っ越しを決意して1ヶ月。新築を見て、中古を見て、気持ちは固まった。となると越えなければならない壁がひとつあった。

 それについては次回。

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