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日常

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ただの日記
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#エッセイ

歯ブラシがおっくう

 歯ブラシをとりかえるのがめんどくさい。毛先が広がっちゃってても、なんだかおっくうだ。そのままじゃスミズミまでツルツルに磨けないことは歯医者へ通うようになってからはよく理解しているんだけども。  このささやかな「おっくうさ」の裏に何があるのか考えてたどり着いた答えがわたしにはある。それはもう、スーパーで新しい歯ブラシを選ぶときから既に始まっている。  店頭にはいろんな種類の歯ブラシが並んでいる。色や硬さ、ヘッドの大きさや形状まで様々。だけど、わたしは最近機能やデザイン重視

イケメンに贈るブルース

 この間、膝を傷めてしまって整形外科にリハビリに通っている。そこのスタッフは年齢層低くて、いわゆるイケメンが多いので困惑してしまう。  まあそろそろ40になる自分の歳を考えれば当然っちゃ当然なんだけど、仕事でもプライベートでも関わる人はほぼ年下になった。しかもイケメンとくりゃなんだか言葉を交わすだけで申し訳なくなってしまう。  イケメン理学療法士が膝を触るわけだよ。気持ち悪い話だけどドキドキしないわけに行かないよね。別に好きになっちゃった訳じゃなくて、単につくりが美しいも

今日が人生最後の日なら

 確認作業がいつまでも終わらなくて午前2時をまわった。既に他のフロアの人はみんな帰ってビルにひとり残りの状態。  ふと怖くなる。いきなり知らない誰かがナイフを持って入ってきたらどうしよう。  このビルはインチキくさいセキュリティしかなくて、実のところ誰でも入ってこれるのだ。0時をまわってひとりになった時点でビル一階の出入口の施錠はしたものの、あんなのピッキングですぐ開けられそう。  相手がナイフを持ってたら…一応作業に使うのに刃の出たカッターが転がってるけど、こんなの役

ある日の電話(1)

 だいぶ昔の話。どのくらい昔かと言うと、固定電話をが一家に一台あったくらい昔。その時わたしは短大生だった。  住んでいたアパートにはなんと各部屋に固定電話が備え付けになっていて、入居者はその回線を借りる形で、電話加入権(わからない人はまわりの大人に聞いてね!)を買わなくても毎月いくらで使うことができた。  ただ、その電話、留守録はできないし、ベルの音量を小さくできない。  その日、電話のベルに起こされて、時計を見ると早朝5時だった。何だよこんな時間に。非常識な。 「は

セブンイレブン○○○○○

 唐突なんだけど、好きなコンビニNo.1はセイコーマート(ローカル)で、No.2はローソンだ。それで終わり。家から一番近いセブンイレブンはランク外なのだ。  休みの日、だらだら起きて冷蔵庫を開けると食料がない。だからといって、きちんと準備してそれなりの店に食べに行くという大がかりなことをしたくなくて、やむを得ず近所のセブンにおにぎりでも買いに行く。  買うのはのりパリパリのヤツじゃなくて(上手に食べられないから)のりしっとりの方。ふたつセットで真ん中にたくあんが入ってるヤ

ヴィンテージボロボロバッグ

 捨てようと思ってたのに、結局今も使ってるショルダーバッグがある。  黒のナイロンで出来ていて、大きさも丁度良くて、軽くてポケットがいっぱいあって…とにかく便利なこのバッグを、最初わたしは通勤カバンとして使っていた。  財布やお弁当、謎のポーチ(中身は察せよ)、ケータイ、ちょっとした書類、などなど入れて毎日使ってた、と言うか、他にバッグなんて持ってなくて、とっかえひっかえするという発想はわたしにはなかった。  毎日使ってたし、安物だったから使い方も雑で、数年使ったらさす

食後のケーキ

 カフェで昼食を済ませ、一緒にオーダーしていた食後のケーキを待っている。  もうだいぶ長い時間待っているのだが、これが一向に来ない。時計を確認すると、食事を済ませてもう一時間近くは経っている。ゆっくりしすぎじゃないだろうか? 気が長いわたしでも、さすがに待ちくたびれてしまっていた。  どうするか? とりあえずは忙しいだけかもしれないからしばらく待ってみるが、待てど暮らせどケーキはやってこない。  こうなると、もう頭の中はそのことばかりになってしまう。  責任者を呼んで

タケノコの君

 レディーファーストというのが嫌いだ。  ドアを開けて女子を先に通してあげる。エレベーターで女子を先に降ろしてあげる。運ばれてきたケーキを「先にどうぞ」と譲ってあげる。それは特別扱いであり、女子に対する優しさなのかもしれず、美しい行為のように思える。  でも、よく考えてみてほしい。ドアを開け女子を先に通したら、店の中で変質者が暴れていたらどうするか。「お先にどうぞ」と女子に先に食べさせたケーキに毒物が混入していたらどうするのか。  大げさかもしれないが、そういうことだ。