歯ブラシがおっくう

 歯ブラシをとりかえるのがめんどくさい。毛先が広がっちゃってても、なんだかおっくうだ。そのままじゃスミズミまでツルツルに磨けないことは歯医者へ通うようになってからはよく理解しているんだけども。

 このささやかな「おっくうさ」の裏に何があるのか考えてたどり着いた答えがわたしにはある。それはもう、スーパーで新しい歯ブラシを選ぶときから既に始まっている。

 店頭にはいろんな種類の歯ブラシが並んでいる。色や硬さ、ヘッドの大きさや形状まで様々。だけど、わたしは最近機能やデザイン重視で歯ブラシを選べなくなってしまった。価格でもない。どこを見てるかって言うと、パッケージだ。もっと言っちゃうとパッケージが捨てやすいかどうかだ。

 歯ブラシのパッケージって、まれに紙箱ってのもあるけど、たいていはプラスチックのパッケージだ。前面は透明で歯ブラシをかたどった構造で、背面はその前面部分に貼りついていて、新しい歯ブラシをおろすときは、この背面についてる部分をびろびろーっとめくって出す。まあそれはいいとして、問題なのはこの背面の素材。ここが紙でできているモノが増えているのだ。

 そのパッケージを捨てようとするとき、とりあえず紙とプラを分ける。だけど、紙の部分はきれいにはがれないからプラの表面に残る。この「ちょっと紙がくっついたプラ」をどう捨てりゃいいのか、わたしはいつも悩んでしまうのだ。

 歯ブラシのパッケージにはプラスチックのリサイクルマークがついている。だからわたしはプラごみとして分けたいんだけど、紙がくっついたままじゃリサイクル出来んじゃないか。悩んだ末、可燃ごみに製品プラスチック(ハンガーや、それこそ歯ブラシ本体)も入れられる事に賭け、そっちに混ぜるか、分別不能により不燃ごみに混ぜて捨ててしまう。

 何と言うか、正解が解らなくてとても怖い。

 歯ブラシのパッケージだけじゃない。紙ラベルがきれいにはがれなかったプラのパッケージやインスタントコーヒーのガラス瓶、中身が若干残ってきれいに空っぽに出来ない歯磨きペーストのラミネートチューブ、プラのキャップ部分がどうやっても外せなかった調味料のガラス瓶。

 ゴミを分別することが本当に役立っているのかは解らないんだけども、決まりがある以上はちゃんと守りたいと思う。でも、こうやっていちいち「これどっちだ」って悩むのが本当に煩わしくて、わたしは買い物するときに品質や好みよりも「捨てやすさ」を優先させるようになってしまった。買い物楽しくない。

 プラのパッケージの上にはプラのラベルを貼ればいいのにな、歯ブラシのパッケージなんていっそのこと粗末なプラの袋でいいのにな、と思う。わたしは「少数派」かもしれないからこう言うのただのワガママなんだろうけど、もし「捨てやすい」パッケージが標準になったら、そのときやっと好みで商品選べるようになるのかなって思う。

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