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いくつもの空くぐって【群青日和 #59】

【試合結果】
6/11(火) 千葉ロッテマリーンズ
○4-0
[勝]ジャクソン
[敗]小島

◇ ◇ ◇

ちょうど先日、とあるプロ野球選手OBの方からお話を聞く機会があった。
その時に仰っていた言葉を、ずっと胸に留め置いている。

「選手を見る時、ぜひ彼らの顔を見てみてください。彼らの気持ちや状態が全て表れています」

録音していたわけではないので正確な表現は少し違うかもしれないけれど、おおよそこんな内容だった。
間合いやフォームといった野球選手のかたちではなく、表情。
試合前、試合の間、試合後。
自分が見ている場所から、もっともっと注意深く見てみよう。

◇ ◇ ◇

久しぶりに、野手ルーキーが二人揃った。
先日昇格してきた井上絢登を追いかけてくるように、カード頭の今日に合わせて度会隆輝が5月中旬ぶりに一軍登録。

二歳差の二人は同期でもあり、時折仲の良いきょうだいのような雰囲気を感じる。
実の兄とも二歳差なので、本人も「ケンティーさんは兄貴みたいな感じでもあります」なんて言っているのを聞いた。
野手の同期がいると安心するのか、二人ともリラックスしたいい表情で素振りに勤しんでいるのが見える。

◇ ◇ ◇

ZOZOマリンスタジアムに来るのは2年ぶりのこと。
その時は2階席から見下ろすような感じで試合を見たのだけれど、今日は初めて座るサブマリンシートという席種。

着席すると、自分たちの目線にグラウンドがある。
選手たちの足元がすぐ目の前に来る感覚で、これはなかなか他の球場では感じられない臨場感。

試合前、一番前からの眺めはほぼこんな感じ。
グラウンドを見上げるなんて初めての体験。
選手の声も表情も、肉眼でよくよく見える。
野球を見るというより感じられる席だ、これは。

◇ ◇ ◇

だから、活躍していた若手たちがどんなにワクワクした顔で試合に臨んでいたのかもちゃんと伝わってきた。
いい顔してるな、ってこういう事なのか。
今日写真を撮っていた夫曰くそれは「リラックスと集中のメリハリが完璧」なんだ、という。わかりやすい。

ワンプレー、ワンヒットに対する達成感。
先輩たちと一緒だから大丈夫、という安心感。
そこに焦りや気負いはほとんど無い。
今まで積み重ねてきたことをやればいいんだ、と目の前のことをやりきることのみに集中するその姿は、見ているだけのこちらまでワクワクさせてくれる。

きりきりと弓を引き絞るように集中が高まって、ぱっと放たれる。

その瞬間の積み重ねを見ていられるのって、なんてぜいたくなんだろう。

若手といっても、度会も井上もこの舞台に立つまで幾度も挫折してきた。
この瞬間のために、と思い描いた場面はきっとこれからたくさんやってくる。
夜明け前みたいに暗く感じる瞬間も、それと同じだけやってくると思う。

それでも、この新星たちはベイスターズの未来を明るく明るく照らしてくれるんだろうな。
彼らの「いい顔」、もっと見てみたいなあ。
そんな予感がした試合だった。


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