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いくつもの水溜まり越えて【群青日和 #47】

【試合結果】
5/28(火) 東北楽天ゴールデンイーグルス
◯6-1
[勝]ケイ
[敗]ポンセ

◇ ◇ ◇

職場を後にして、きっちり5分歩いて最寄り駅の地下に滑り込む。重たいねずみ色の空はもういつ決壊してもおかしくなかったけれど、なんとか耐えた。

程なくしてやってきた電車に乗りこんで、DAZNを開く。横浜の天気は大丈夫かな。

中継映像を見る限り、雨はそうでもないものの明らかに風が強い。
バックスクリーンの上、普段はのんきそうにヒラヒラしている球団旗の様子がおかしい。
誰かが無理やり引っ張っているみたいに、バタバタとおかしなはためき方をしている。
かと思えば、逆方向に強く吹かれてぐるぐると巻きついたり。
形を見ているとアスパラの肉巻きが食べたくなる。

そしてセンターからホームベース方向、ピッチャーが投げている時の視点でよく使われるカメラが時折とんでもない揺れ方をしている。
不規則に上下左右あらぬ方向に揺れるので、じっと見ていると三半規管がやられそう。
画面が揺れる度、思わず少し薄目になる。

予報では夜遅い時間になればなるほど雨量が増して、20時がピークになる。

先月は大雨の中9回まで強行した試合もあったので、尚のこと試合展開が読めない。
雨風両方強まればコールドゲームになる可能性もあるし、5回裏までに点を取りきらないと。

2回裏が終わり、2点リード。
風はまだ強く吹いている。

◇ ◇ ◇

先発のケイは、初回から変わらずテンポ良く投げ込んでいる。
直近3試合は6回3失点より悪かった事は無く、特に先週なんて8回無失点とエース級のピッチングだった。

奪った20個のアウトのうち、フライアウトは3つだけ。
つまりほとんどのアウトを三振と内野ゴロで奪ってくれたことになる。
雨風吹き荒れる中のピッチングとして、こんなに理想的なものはない。
ある程度球数を割いたイニングがあっても、どんどん投げ込みテンポを崩さないので試合展開もダラダラしない。

イニングを終えて山本祐大が駆け寄ると、ケイはグラブタッチの後に彼の胸元をポーン!と叩く。集中がまだ切れていないのでムスッとした顔に見えるが、たぶん「よっしゃナイスリード!」といった具合なんだろう。
写真で見るとちょっと漫才のツッコミに見えてくる。

悪天候の中テンポを崩さず、不安定な足元にも気を取られず。
ベースカバーには全力で入る。
先週は打席でもフルカウントになるまではよく粘っていた。今日はさっさと三振する様子を見るに、この天気を鑑みてなんだろう。
その方がいい。

昨年在籍した某サイ・ヤング投手のせいで基準が壊れかけているけれど、ケイはかなり早い段階で日本の野球にアジャストしてくれている。

投球フォームといい、持っている変化球といい、イメージはまさに『球速+10km/hの東克樹』といった感じ。
そりゃあ山本祐大との相性も良いはずだ。

球威がありゲームメイクに長けている左腕。
去年の先発ローテを引っ張っていた、背番号21の彼が空けていった椅子にしっかり座ってくれている。

平日のカード頭を任せられるケイの存在は、本当にありがたい。
細かいところではあるけれど、私は彼が全力でベースカバーに入る姿が好きだ。
新天地に向けて、新しく選んだグラブの色をチームカラーに合わせてくれたのも嬉しい。

異国の地で戦うことを選び、この横浜を選んでくれた選手にはやっぱり、一度でも多く勝って報われてほしいよね。

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