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たとえば孤独な夜が過ぎ 【群青日和 #45・46】

【試合結果】
5/25(土) 広島東洋カープ
●6-9
[勝]黒原
[敗]三嶋
[S]河野

5/26(日) 広島東洋カープ
●2-4
[勝]アドゥワ
[敗]栗林
[S]大貫

◇ ◇ ◇

負けが続くと、何もかもが上手くいっていないように思えてしまうけれど、決してそんなことは無かったわけで。

スタメンでも、途中出場でも、森敬斗のプレーは必ずどこかで光を放っていた。

開幕一軍入りを逃しても、一軍からいつ名前が呼ばれても良いようにとイメージし、準備し続けていたのがよく分かる。
あとは打撃だけ、と言われてきたバッティングももうすぐ2割5分が見えてくる数字になり、かなり見栄えが良くなった。

3月のオープン戦、4月の横須賀スタジアム、そして先日の神宮ビジター戦での姿を追ってきたけれど、森敬斗の姿勢はずっと変わらず、一貫している。

当てにいかず、バットを強く振り抜く。
打つべき球をしっかり見て、ある程度は割り切る。

ブレていないのは、打撃での姿勢だけじゃない。

余裕がある時の送球と、ギリギリのタイミングでの全力送球の使い分け。
地肩の強さに頼り過ぎず、確実なアウトを優先させるために足捌きから丁寧に入る。
そしてここぞで『森敬斗にしか取れないアウトを取る』。
必ず取れるアウトにそれが加わると、もう森敬斗のショートじゃないと満足できない、なんてテンションになってしまう。

◇ ◇ ◇

苦しい試合展開あるあるで言えば、守備の時間が長くなりがち。
ゴロアウトと思いきや隙間を抜けてコースヒットになり、フライアウトと思いきやポテンヒットになり、盗塁阻止!と思いきやタッチプレーが噛み合わずセーフになり。

見ているだけなのにだんだん息を吸うタイミング、吐くタイミングが分からなくなってくる。苦しい。
投手がどんどん孤独に、追い詰められそうな空気が漂う。

そんな時、絶対に森敬斗はマウンドへ行き、ピッチャーに声を掛ける。
長々とは話さない。ただ、近くに寄って二言三言交わして、そっと体に触れた後元の場所に戻っていく。
それは横須賀スタジアムでも、横浜スタジアムでも変わらない。

大歓声にかき消されて気付いていなかったのだけど、彼はショートの定位置からでもピッチャーに声を掛けることが多い。
これはファームに行かないと気付けなかったと思う。
「ナイスボール!」「良いよいい球行ってるよ〜」
投げているのが先輩でも、後輩でも変わらない。

TVKアナウンサーの吉井さん情報によると、日曜先発の大貫曰く、マウンドで苦しい時に森敬斗は気の利くことを言ってくれる、とのこと。
その姿勢に救われるのは、見ている私だけじゃなくてもちろん投手目線からもそうだったらしい。

◇ ◇ ◇

選手について話す時、バッティングが、守備が、走塁が、とその一部を切り取って話されることが多いけれど、森敬斗に関してはその全てを引っくるめて「彼がグラウンドにいると、それだけで何か期待してしまう」と言いたくなる。
どうしても目立ってしまうルックスや、まだ伸びしろを残しているちょっとしたプレーのイメージが先行して、色々と印象で語られてしまうことも多々あるけれど。

もう少しで、突き抜けられそうな気がしている。

出過ぎた杭は打たれない。
もっとだ、もっと出来ることを見せてくれ。
森敬斗の持っている光は、どこまで届くんだろう。


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