君の手に 上手く馴染むもの【群青日和 #60・61】
【試合結果】
6/12(水) 千葉ロッテマリーンズ
○13-3
[勝]ケイ
[敗]東妻
6/13(木)
○3-1
[勝]大貫
[敗]西野
[S]森原
◇ ◇ ◇
打順は序列じゃない。
実際に試合を見ていても、打順はあくまでも前後の打者とのつながりやその役割に重きを置いているのが分かる。
特に最近のベイスターズは中軸以外はわりと柔軟に打順が変わっていくので、なおさら。
なので、打順が下がったことを「降格」と言うのはどうなんだろう、なんて時々モヤモヤする。
端的で分かりやすいんだけどさ。
佐野恵太の打率が.250を割ったかどうか、という辺りで起用法が少しづつ変わってきた。
打順はしばらく固定されていた3番→5番→6番に。
そのすぐ下、7番には規定打席に到達していないものの安定して3割打っている山本祐大が入る打順で、しばらく様子を見られている気はしていた。
長打が減り、そのうちシングルヒットも出づらくなり。
6月7日・9日・11日、カードを跨いでこの3日間スタメンから名前が外れていた。
試合勘が鈍らない程度に休養、調整、色々な意図があったんだろう。
昨年のように試合中に突然代打を出されるよりずっといい。
ベンチでの表情は決して暗く見えなかった。
むしろ、イニング間には積極的にベンチ前に出てきてチームメイトを出迎えたり、飲み物を手渡したりとチームに出来ることを積極的に自ら率先してやっている姿をよく目にした。
そして、6月12日。
17時半頃、いつものようにスタメン発表。
思っていたよりも少し下の方、7番の欄に佐野恵太の名前を見つける。
ここ数年で初めての打順。
首脳陣も、本人も、何かを変えようとしている。
7番に入ると、その日最初の打席は初回にはなかなか回ってこない。
実際巡ってきたのは、3回表。
バッターボックスに入った、その時。
「あ……」と我ながら間抜けな声が出た。
構えが、違う。
佐野は今シーズンから肩に乗せるようにバットを寝かせ、下半身より上半身がよりクローズドになるような構えにしていた。
それを、やめていた。
見る限り2020年~2021年のフォームに近い。
バットを立てて、少し上体を起こしてより両目でボールを見られるような姿勢。
シーズン途中にフォームを変えるのは、彼のキャリアでは初めてのこと。
思うようにいかず、いままでなら伸びていた打球がフェンス前で失速するのを見届けては首を傾げる姿。
今までなら捌けていた内角の球を見逃し、ストライクコールに顔をしかめて悔しがる姿。
今年に入って、何度見ただろうか。
掴めそうで掴めないんだろう。
もがいているんだろう。
「放っておいても佐野は3割打つ」
そんな訳ないだろう。
今年から始めたことをやめて今までの姿に戻すことは、とてもとても勇気がいるはず。
新たに挑戦する以上に周りからあれこれ言われるのも想像しやすいし、続けてきた自分のプライドだって傷付く。
それでも、佐野恵太は決断した。
それなら、私は応援するしかない。
というか、
応援するに決まってるだろ。
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