きっと、今の時代に必要な指南書、古典「養生訓」を読んで 2

 この本を読もうと思ったきっかけは、お世話になっている方に勧めていただいたということもありますが、最近の自粛生活で、生活に張り合いがなくなって自堕落気味な状況を改善したく、心や身体を良くする考え方を知りたかったからです。

 この本の作者は貝原益軒という江戸時代の藩士兼儒学者(医師であり薬剤師でもあったそう)が83歳の時に書いた指南書です。
平均寿命が50歳の江戸時代で、貝原益軒は85歳まで生き天寿を全うしました。元々身体が強くなくむしろ病気がちな幼少期を過ごしていた益軒が、日々の生活で必要な身体と心の養生方法や考え方を記した本です。

 私が読んだ本はこちら。


 その中で、いいなと思った文章はこちらです。

人間は五十歳にならないと、血気もまだ定まらないし、知恵もそなわってこない。古今のことにもうとく、世の中の変化(世変)にもなれていない。言うことに間違いが多く、行いに悔いを残すことも多い。人生の道理も楽しみもまだ知らない。
五十歳にならないで死ぬのを若死に(夭)というが、これもまた不幸短命と言わなければならない。
長生きすれば、楽しみも多く、有益なことも多い。日々これまで知らなかったことを知り、月々いままでできなかったことができるようになる。だから学問が明るくなるには、長生きしないといけない。
こういうわけだから、養生の術を行って、なんとしても天寿をたもち、五十歳を越え、できればもっと長生きして、六十代の年齢の域に達するべきである。(すらすら読める養生訓より、引用)

 現代の日本の風潮は若さに価値を置きがちで、その価値観の影響を受けて育った私も若さという価値の池に浸かっているなと思います。
 年を重ねることに恐怖を感じることはなくても「楽しみ」とはいえないのが正直なところです。年齢とともに落ちる体力や肌の弾力、太りやすくなってきたことなど、メンテナンスしなければならないところが増えてきました。親や職場の上司から年をとるとこうなるという話を聞いて、まだ先であって欲しいと思うこともあります。
 でも、みんな平等に時間はあって、平等に年をとります。だから年齢を重ねたほうが楽しいと思えるようにしたい、プラス思考で物事を考えたいと思っている矢先に、この文章に出会いました。

《日々これまで知らなかったことを知り、月々いままでできなかったことができるようになる。だから学問が明るくなるには、長生きしないといけない。》


 この文章の通り、年齢を重ねる喜びを感じるには、知らないことを知って出来なかったことが出来るようになることが大事だと思いました。
 大人になって、会社と家の往復の毎日で、昨今トキメキが少ないと感じていましたが、

・新しいことを経験すること
・知っていることをもっと深く知ること
・知ったことを実行して行動に移すこと

これを繰り返し行うことで、今後の人生に目標ができたり楽しく年齢を重ねられるのではないかと思いました。


他にも身体や心のあり方について、実践方法を交えた内容を盛り込んだ書になっておりますので、興味のある方はぜひご覧ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?