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参加リポート「First Step #5 専業主婦後、あなたはどう生きる?」~薄井シンシアさん×福田若菜さんトークショー~

2020年7月26日(日本時間)にオンラインで開催された、薄井シンシアさんのグッドモーニング。企画5回目となる参加リポートです。
17年間の専業主婦生活を終え、47歳で再就職されたシンシアさんが、今一番気になるゲストをお招きして繰り広げる対談形式のトークショー。

今回は、First Stepを共に立ち上げられた福田若菜さんがゲストでした。米国の大学院へ母子で進学され、今は私が暮らすシリコンバレーのNPOでも完全リモートで日本から勤務されているなど、親近感の溢れる方でもあり、とても楽しみにしていました。

時間がオーバーしてしまう程に盛り上がった今回のトークショーから、私が掘り下げてみた点を書き留めていきたいと思います。

●華やかな経歴に限らず、女性の特性を含めた共感

若菜さんのご経験を詳しくお聞きする中で、どうしても「母子での米国大学院進学」に注目してしまいがちです。しかし、時間をかけてお話を聞く中で、参加者共通の共感として、「変化や環境・流れに対応し続ける」という女性の特性を感じた人も多かったようです。
この「適応や対応」というスキルは、受け身というネガティブなものではなく、目の前の物事に対して「そういう見方もあるのか」「それは面白い」といったポジティブな向き合い方が欠かせないと感じました。「話を聞いていて、ずっと理解できないところ(笑)」とシンシアさんからの言葉にもあったように、全ての人が簡単に持てるスキルではないようです。
他にも、若菜さんの夫婦観について「子供を一緒に育てる戦友のような存在」とのコメントも、子育ては大きなプロジェクト故に、素敵な考え方であり、自分の中にも取り入れてみたいと感じています。

●女性は組織で「上」に行くべきか

若菜さんも、これまでの経験をもとに「誰かをサポートしていきたい」という想いをコメントされていました。それを関してシンシアさんは、「サポートしたいという気持ちをもつ女性は多い」という点に注目されました。また、「その女性の中でも、チカラのある人は組織の上に行かなくては変革が起きにくい」との言葉と、現状の社会で「組織において管理職になること」による仕事内容の実態にも触れておられました。
一方で、若菜さんからの「ミレニアル世代の女性は、上に行くという意識は持っていないかもしれない」という視点や、これからは上下の関係だけではなく横のつながりが重要である、といったコメントもあり、このお二人の言葉から、私自身も自分の「今を経て何をやりたいか」への考え方について大きなヒントを得ています。

●女性が見ている母親像

「なぜ組織に入り、上を目指さないの?」というシンシアさんからの問いかけに、とても印象的なお答えをされた若菜さん。それは「仕事や職場」という観点に限らず、「家族や人生」を含めて考えた上での、一女性として大きな共感をもつ考え方でした。また、娘と母、息子と母も関わり方が全然違うものだとも。
参加者の中で20代の方が自分の将来をイメージしてお話された時にも、ご自身のお母さまのことに触れておられました。どの世代の女性にとっても「家庭における母」という存在は大きく、自分のキャリア観に密接に関わるのかもしれません。だからこそ、母としての自分の姿が、子供に何を印象付けるのか、にはとても関心があります。
私自身も母国を離れて今の生活を経験したことで、「自分ひとりのキャリア観だけを追求して生きていくことで、幸せなのだろうか」と深く考える機会になっています。

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●一時期だからこそ、フレキシブルに

専業主婦の時期を過ごす女性の多くは、子育てという一時期の活動に注力しています。私自身も海外生活の中で専業主婦という立場にある駐在妻の一人です。家庭にまつわる事由は、たとえ一時期であっても「仕事というキャリアを手放すのは仕方ない」という考え方も根強い印象です。
それ故に、キャリアを手放すことへの対応策もなく、ブランク期間が再就職にネックとなるケースが多い現実。そして再就職に向けても「柔軟な働き方」は、より狭き門だと聞きます。
ブランク後の再就職にネックになりやすいのは、スキルではなく、9時―17時という定時、だそうです。この「定時」という概念について緩やかになることで、再就職によるキャリアの可能性が広がるのではないか?との話題にもなりました。
ここで「柔軟な」について、これからの時代に何があれば望ましいのだろう?と考えてみると、答えは2つありました。
① 成果を時間という物差しで測らないこと
定時という物差しの存在感が大きいからこそ、その時間内でやる事が予め決まっていたり、成果を一律に見込まれている、という状況は多いかもしれません。
時間ではない成果の測り方、達成基準についての考察は、海外に限らず日本国内でも実践している方は多いと思います。これが浸透していくことで、時間に縛られて諦めていた選択肢を人生に取り入れることが出来ると感じます。
② 今のメディアが描く「両立」という理想モデルに囚われないこと
キャリアと人生を併せて考える時に、必ず「両立できるか」という問いが標準になっているように感じます。そして「簡単ではない」というのが大半の答え。これを受けて、トークショーでも「両立だけが理想なのか?」という話題が何度か出ました。少子高齢化である日本では、一時期と言われる子育てに限らず、介護も重要なテーマ。いずれも大きな影響がある出来事であるからこそ、キャリアに関わるフレキシブルな選択肢が増えることを期待したいと感じました。

●特に印象に残ったこと

シンシアさんが感じられた「専業主婦の社会的地位が低い事への課題感」から始まった企画も、女性の若い世代への今までの偏った情報提供を正すような動きになってきていると感じます。
今までの数回の中で、もっとも「女性とは」という点にフォーカスしたトークが多かった印象です。また参加者のchatでも、多くのコメントや質問が出てされていました。
この熱量が今後のビジネスや働き方にどのように作用していくか、その為にシンシアさんが構想されている新たな団体づくりもとても注目です。