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もっとドラマ「大病院占拠」を考える。

これ↓の続きです。


トロッコ問題

暴走したトロッコが線路を走っています。あなたの前にトロッコの進行方向を変えるレバーがあります。あなたがレバーを切り替えなかった場合、線路の先には5人の作業員がいます。あなたがレバーを切り替えると、線路の先には1人の作業員がいます。この時、あなたはどうしますか。

これは私が高校の時に倫理の授業でやった有名な思考実験です。功利主義がどーたらこーたら、みたいな話の中で出てきた(と思うけどよく覚えてない)。

もしレバーを切り替えなかったら、5人を見殺しにすることになる。
もしレバーを切り替えたら、5人救う代わりに1人殺すことになる。

ざっとこんな感じだけど、登場人物に設定を付け加えるたらあなたの答えは変わるかもね、ということです。

今回の場合5人と1人ではなく1億2000万人と1人だから物凄く数が違うけど、1人の方はあなたの「愛する人」だから、これは人によっては厄介かもしれない。
長門知事の場合、和泉というきっかけがあって1億2000万人のためにワクチン開発をすることにした。ただ、そのワクチン開発の過程で山城琴音などが死んだ。よって、鬼たちは事件を起こしてP2計画を公にした。

ワクチン開発ならちゃんと正規の手順を踏んでからやればいいものを、と思うものだが作中のハイドラウイルスともなればそうもいかない。
レベル4と言っていたのは、おそらくBSL-4のことでしょう。
ちなみに前の記事でチラッと書いた新型エボラウイルスも、フィクションですがBSL-4です。TBSの「インハンド」というドラマで出てきたので知ってます。現実に起こったら恐ろしいどころじゃない話だったけど、あくまでフィクションなのであまり考えないでおこう。相羽村だけで終わるわけないよな、とあの後コロナを経験したから想像はつく。

BSL(バイオセーフティレベル)とは、 細菌やウイルスを取り扱う実験施設の分類のこと。

取り扱うことのできる病原体の危険度を4つに分けていて、最もヤバいやつがBSL-4と呼ばれる。具体的にはエボラとか天然痘とか。検索したら秒で分かりやすく書いてあるページが出てきたので貼っておきます。

ちなみに「インハンド」では新型エボラの生ワクチン開発~なんて言ってました。コソコソ研究してたら因縁のウイルスが漏れて、相羽村ロックダウン、これが第10話です。ウイルスが漏れてロックダウン、やばすぎだろ。リアルにこんなことになったら迷惑どころの話じゃなくて死者めっちゃ出るので、そりゃBSL-4なんて一般人は拒否るわ。相羽村の住民もめちゃくちゃ拒否ってたわ。
こちらも大病院の如く新型エボラを巡る過去があり、と言ってもこんな説明の仕方ではわかりづらいでしょうね、それはわかってるけど私の貧弱な知識からではこれが1番伝えやすいんですわ。許されない研究をネタにしようとすると、ウイルスやら細菌って使いやすいんだと思う。「アルジャーノンに花束を」的な感じにしようとするとSFみたいな世界観になってしまってもはやファンタジーの領域。想像を絶する想像力がないとゼロから書くのは無理。

話がだいぶ逸れましたが、ウイルスのヤバさについてはこれくらいで大丈夫でしょうか。
BSL-4なんかそう簡単にはできないけどどうしてもやりたい、やらなければならない、という長門知事らの思いを踏まえると、隠れて研究しようとする気持ちがわからないこともない。

簡単に1億2000万人を選択することもできないことは、愛する人を犠牲にされた鬼の気持ちを考えればわかること。

これはまさしくトロッコ問題だな、と。

トロッコ問題について考えるなら、、、
欲を言えば鬼たちの動機(過去)とか思考が進んでいく様とか12人が集まった経緯とかもっと深掘りしたいところ。でも、それを描こうとすると本題から逸れて何を伝えたい話なのかが伝わりにくくなるという創る側の事情もあるだろうし、やめとこ。武蔵側についても、鬼と同様の理由でやめとく。

「愛する人」に全振りしてる鬼と「1億2000万人」に全振りしてる(した)和泉や長門、このように2つの主張が真っ向から対立する構図はまるで「プラチナデータ」や「流星の絆」や「検察側の罪人」のようですな。

武蔵「お前は生きろ……!」

ドラマ「流星の絆」

ラストでは、3兄妹の両親を殺した仇の柏原(なんとなんと警察官で、両親が殺された時真っ先に駆け付けた人)と対峙するんですけど、有明功一(一番上の子)が「生きて罪を償え」みたいなことを言ってたと思います。持っている銃を投げ捨てて生かします。原作では全然違って柏原は自殺してますが、結局仇に殺人の償いをさせたという意味では変わらなかったはず。その場で死んでも刑務所行きでも、どっちにしろ真実が明らかになって柏原が罪人となるわけだから。記憶が曖昧でうまく書けないが読み返す&見返すとなると大変すぎるのでご勘弁を。

大和を死なせずに生かした(撃たなかった)ことと柏原をあの屋上で撃たなかったこと、どうも似てるように感じてしまう。ちなみに柏原は事件後3兄妹にすごく親身になっていました。

柏原と3兄妹、武蔵と大和、どちらも両者はそもそもの段階で繋がっている。功一が柏原に科した罰は生きて死ぬよりつらい思いをしろということで、罰の形を問うようなもの。
大和にはトロッコ問題のような強いメッセージ性を感じる。
ひぃん( ߹꒳​߹ )
なんか共通するものを感じる( ߹꒳​߹ )


トンチキドラマだと思われる原因は明らかに現実には起こりえないからだと思うんですが、それを言い始めたらフィクションの物語は全部トンチキになってしまうよ……!
というのも、あんなデカい病院から人質やら鬼やら以外誰一人いない状態にするなんて無理だろ。だからそもそも占拠なんか無理。武蔵の生命力が強すぎる以前の問題です。占拠しようとしたけど無理でした~~チャンチャン、で終わったら第1話すら成り立たねえ……笑
よって、あまりストーリーにツッコミどころを探さない方がいいと、個人的には思う。そりゃあ、ツッコもうと思えばツッコめるけどさ。

タイトル「大病院占拠」から

タイトルが事件の名前ということで、これ一つで何が起こるのか誰でも分かる。

「流星の絆」や「検察側の罪人」は意味深、「プラチナデータ」は一見しただけでは意味不明。意味不明のくくりなら「ブラックペアン」とか「VIVANT」も当てはまりますね。まァ、ある程度のヲタクならぺアンと付けば医療ものって分かるんだけど、シルバーではなくブラック? となる。

ちなみに医療用語の方の「コード・ブルー」はドクターヘリとは何の関係もないです。だからわざわざサブタイに「ドクターヘリ緊急救命」って入れてるんだろうね。
大病院では相当ヤバい患者がいる時に放送で「コード・ブルー! コード・ブルー!」とかかります。これは手が空いてるスタッフは全員○○(何が当てはまるかは放送で言います)に集合という感じで、私遭遇したことあるんだけど、ずらりと並んだ診察室から医者が一斉に飛び出してきて白衣をたなびかせながらみんな同じ方向へ走り去っていった。劇場版に翔北の院内で「コード・ブルー!」って放送がかかるシーンがあるので、もしよければそちらを参考にしてもいいかもしれないです。そのシーンに関しても本当にドクターヘリ関係ないです。

「検察側の罪人」

これは、検事だから罪を犯す話です。

検事は刑事裁判で原告側として警察が捕まえた人間の悪さをあれこれ追及していく立場なので、検事だからこそ罪人を放置なんてできないから、殺しちゃうっていう感じ。私情により極刑に処したい奴がいて、そいつを裁判を通して極刑に処すためには真犯人が邪魔で、真犯人を検事が殺す。ざっとこういうことなのだが、説明が下手で申し訳ない。

罪を犯す検事・最上と、その部下である沖野の仲が決裂するんだけど、そこが肝というわけではない、というのは私の解釈。映画ではだいぶカットされちゃってる(私が読み取れてないだけだったら悔しい)けど、
正義とは何かを問う話なのでは
と思っています。
原作の最後の方で沖野が、最上検事は検事だから罪を犯した、みたいなことを言ってたというか、ああ、ちゃんと覚えてないけどとにかくそんな感じです。そこが題にされてると思う。

沖野は「せっかちで直情的」な性格とされていて、うーむ、武蔵も直情的だし激情型ではあるよな……🤔

余談だが、完全に決裂したように見せかけて、実はお互いに気にしてるはずだと思ってる。ラストシーンで沖野が「うおおおおおお‼‼」と絶叫してるんだけど、この姿を最上さん見てるよね? 原作では別の形で二人が互いを気にしてたけど、これはこれでしんどい、ひぃん( ߹꒳​߹ )

「VIVANT」や「プラチナデータ」

意味不明タイトルの方は、作中でタイトルの意味が明かされる。これがどこで起こるかは場合によるけど、ちゃんと最初から最後までこの謎の単語が活かされてる。

VIVANT即ち別班は、乃木さんが別班としてテントに辿り着き、その任務の一環で父親と会う。
プラチナデータはDNA捜査システムを確立する段階において作られたもので、プラチナデータって何? を探しながら話が進んでいく。個人的にはスズランの存在は大きいと思うんだが、いなくならないでほしかったが、まあいいや。神楽が見てる幻を映像化ってどうやってやるのか想像つかない。

結局何が言いたいかって、

タイトルって難しい上に重要だよね~
ということです。

話の肝心な部分を全部カバーできるようにしなくちゃいけない、だから超真面目に付ける。結果、つまらなさそうになってしまった、では困る。
題を観る側が付ける場合は見たことないんで、題こそ観たり読んだりする上で最重要かと思う。付ける人も、たとえ無題だとしても、その「無題」に何か込めてると思う。ペラペラと創作論もどきみたいなものを語る(いや、書く?)ことができるのは、趣味とはいえ私もやったことあるからなんでしょう、きっと。

「新空港占拠」へ

武蔵がナレで、正義が何なのかもうわからない的なこと言ってたので、結論は全部視聴者に丸投げということですね。なるほど、つまり、みなさんが考えてくださいって問題提起をしたかったんでしょうな。長々と書いていますけども、これを基にして私なりに答えを出したら、そこまでしてやっと鬼の目的は達成されるのかもしれない。
今放送中の「新空港占拠」も、きっと最後に何か投げかけてくると思って楽しみにしてる。「大病院占拠」という事件からこれだけ広げられる。それは観る者がうまく読み取らなきゃいけないし考えることは十人十色なんだけど、創る者も何かしら込めて創ってるはずだと思ってますんで。

最後に

キモいネタバラシをしますと、気付いた人いると思うけど、例に出したやつは二宮くん絡みばかりです。
二宮くんが出てる作品、なぜか私好みである確率高いんですよねェ……🤔

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