追い続けたいもの
もう2年以上になるのだろうか。
だいたい月1ペースで通っている骨格矯正院がある。
矯正院と言っても、自宅の一室を使って個人でひっそりとやってらして、
ほとんどが口コミのお客さんのようだ。
私もお気に入りの化粧品サロンのセラピストの紹介で通い始めた。
一度VERYか何かの雑誌に小さく記事が載った事があって、その時はものすごく反響があって、予約も取りにくい状態になってしまった。
雑誌の反響はすごくて1年くらい続き、その間先生は、超タイトなスケジュールで施術を行い続けていたが、いい加減自分の生活を大切にしようとペースダウンされた。
今年はコロナの影響でご多分に漏れず客足は遠のいてしまっているのかもしれないが、私は自粛解除になって以来、また通い続けている。
男性の先生でマンションの個室。
信頼しているセラピストの方の紹介だったので、初めは何も考えず伺った。全身の骨格矯正なので、ベッドの上に横になって手足を色んな方向に動かされたりして、私の身体の上にも乗っかられるような状態にもなる。
一回目終わった後は、冷静に考えるとちょっと怖い状況だよな、とも思った。
自意識過剰のようだが、襲おうと思えば簡単だ。
もちろん先生はそんな方ではなく、施術も信頼できるし、日常の生活における姿勢について事細かにアドバイスをくれる。
通い始めて、私のO脚気味の足はだいぶ良くなったし、以前あった膝の痛みもなくなった。あと頭蓋骨矯正もしてもらっているので、頭の重さや眉のあたりのコリなどがすごく改善されたのを実感している。
通い続けて気心も知れるようになり、実は最初は怖かったと話したら、先生も「ホント皆さんよく来てくれるなーと思いますよ」とご自身で仰っているのが可笑しかった。
30代後半の小柄な先生なのだが、「でも僕はゲイなのでそういう心配は大丈夫ですよ」とのこと。
まあ、そうならば確かに安心だけど、なんかそれをそういうことで片付けるのも何となく気が進まない。
この気持ちをどう言うのかわからないけれど、でもちょっとそう思う。
最初は怖いと思ったのだし、女性だったらそもそも安心って思うし、それは素直な気持ちだったので、それでいいんだろうけど。
すでに先生を信頼している今となっては、セクシュアリティでどうのということに抵抗があるんだろうなとは思う。
逆にかえってただの偽善のような気がしないこともないけど。
私は自分の健康、身体には割とお金を払う。
骨格矯正は、今もこの先も付き合っていく自分の身体への投資だと思っている。
でも通い続けているのは、おそらく施術の力だけではない。
施術してもらいながら、他愛ないおしゃべりをする時間が楽しい。
安心してなんでも話す。
コーチングとは違うけれど、でもそれに近い充実感がある。
心がなんかほっこり満たされているような気がする。
人の持つ力だ。
スキルはもちろん大切なのだけど、その上にその人だから良いというもの。
そうやって人って付いていくものだ。
スキルを身につけるのもそれなりに大変だけど、それは色んな手法や時間をかければ目に見えてわかるものも多い。
でも人間力は目には見えないけれど、人は無意識に感じ取り、そうでないことも見破ることができる。
私がコーチングを学び続けたいと思うのは、そういうものを磨くひとつの手段となりえることだからだけど、これは途方に暮れるほど終わりが見えない。
でもそれをずっと理想に置いて自問自答し続けることが、私にとって楽しくやりがいがあることなのかもしれない。
ただ終わりがないから、どうしたらいいか、どうしたいのかわからなくなる。
でもそのあまりにも魅力的な力を追い続けたいのは確かだ。
骨格矯正に通いながら、そんなことを考えたりしていた。
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