おとなになったこども
「どうして大人はわたしの気持ちをわかってくれないのだろう。こんなに傷付いているのに、どうして誰も救ってくれないのだろう。わたしは大人になったら子供の気持ちに気付いてあげよう。だから、今の気持ちを忘れないでいよう。」と、子供の時に思った。
その時の状況(私は車に乗っていた)、その時の景色(山の中を走っていて、葉っぱの間から光がキラキラしていた)を鮮明に覚えている。強く心に誓ったことも思い出せる。
なのに、肝心の内容がすっかり抜け落ちてしまった。どうして傷付いたのか、何が不満だったのか、まったく思い出せない。残ったのは心がぎゅーっとしたことと、大人への不信感だけだ。
そのまま子供の気持ちのわからない大人になってしまった。だからこそ、あの頃の自分にこう言ってあげたい。
「わかってあげられなくて、ごめんね。けっこう頑張っているのだけど、大人もまだまだ子供なんだ。」って。
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